外国人材に新たな方向性?新しい在留資格? メルマガ第169回、2018.7.1発行
外国人美容師育成事業。外国人美容師の制限付きでの就労について。
メルマガ第210回、2022.4.1発行
<2002年(平成14年)10月創刊>
行政書士の折本徹と申します。
4月になりました。
都内では桜が満開になりました。
花粉症の季節が始まりましたが、暖かい日が続いてほしいものです。
依然として、ウクライナが大変で、停戦合意がされないです。
日本人とウクライナ人、日本人とロシア人の両方の国際結婚手続きに
携わっていますし、お客さんもおり、心境としては複雑です。
多くのウクライナの国民もロシアの国民も戦争を望んでいないと思うので、
一日でも早く終わることを祈っています。
朝ドラ。「カムカム・・・」面白かったですね。
今まで、ドラマのセリフに影響されることはないけれど
「日々鍛錬しいつ来るともわからぬ機会に備えよ」は心にしみました。
日々、勉強していますが、自分で自分のしていることついて、
「あぁ、こういうことなのかもしれないな」と腑に落ちました。
今年も、時期に関係なく(古くても)、新聞・雑誌・書籍に掲載された、
外国人にまつわる内容で、興味深い記事を紹介・簡単なコメントや、
このメルマガは、平成14年(2002年)の10月から発行しているので、
過去と現在は、どのように違ってきているのか、の視点で書きたい、
とも考えています。
<感染拡大防止に伴う情報>
外国人生活支援ポータルサイト
http://www.moj.go.jp/isa/support/portal/index.html
水際対策に係る措置
https://www.moj.go.jp/isa/hisho06_00099.html
新型コロナウィルス感染症で困っている人向け
https://www.moj.go.jp/isa/content/001322500.pdf
入国制限について
https://www.moj.go.jp/isa/content/001347329.pdf
新型コロナウィルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/fna/page4_005130.html
現在、動画配信のテストをしています。
国際結婚の手続きの話。
国際結婚を考えている人、国際結婚をしている人の知的好奇心を満たします。
http://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/5084001
本題です。
今回は、国家戦略特別区域外国人美容師育成事業の話です。
昨年、内閣府から発表もありましたし、マスコミでも報じられたので、
知っている読者も多いと思います。
東京都が名乗りを上げたので知られるようになりました。
実は、この事業、本メルマガの第187回(2020.3.1発行)に紹介した
「日本の食文化海外普及人材育成事業」に似ています。
http://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/5047978
当該の外国人—採用事業所—監理団体-役所
と四層になっていて、キツメの要件がある、という仕組みです。
それで、
「外国人美容師育成事業」
はどういうのか?と言うと、制度の趣旨からの解釈になりますが、
「我が国で美容に関する実務経験を積んだ人材が
海外における活躍を推進することを通じて、
日本の美容製品の輸出による産業競争力の強化や
ブランド向上を含むクールジャパンの推進を図るとともに
インバウンド需要に対応するために
外国人美容師を育成する」
です。
実際はどうか?ですが、5年間限定の就労です。
美容の専門学校へ通学している専門学校生が、美容師の免許取得や見込みで
卒業後、美容所にて上限で5年間働けますよ、
終了したら、帰国して日本で身につけたことを広めてください、
という制度です。
なぜ、この制度ができたのか?ですが、
美容の専門学校を卒業し、美容師の免許取得や見込みでも、
「技術・人文知識・国際業務」などの就労の在留資格は得られないからです。
発案された当時は、
インバウンド需要を見越す、また、日本の美容技術を海外コンテンツとして輸出する、
という背景があったのだと思います。
では、少し詳しく見ていきます。
外国人美容制度育成事業は、
外国人美容師-採用事業所-監理団体-役所になっていますが、
・採用事業所は、美容所です。
制度としては、「育成機関」としています。
・それで、育成機関なので、育成計画を作ります。
どこが作るか?ですが、採用事業所である「育成機関」が作ります。
おそらく、後述の監理団体も手伝うなり、助言をするのだと推測します。
・その監理団体です。
制度としては、「監理実施機関」としています。
美容業界の組合を想定しているのかな、と推測します。
・外国人美容師は?ですが、
1 美容師育成施設での知識・技術の修得し、成績優秀で素行善良
2 美容師免許の取得(見込みを含む)
3 日本語能力試験N2相当以上
4 満18歳以上
5 日本式の美容に関する技術・文化を世界へ発信する意思
がある人です。
・育成事業の流れですが、
1 育成機関が監理実施機関に作成した育成計画を提出。
育成計画を受け取った監理実施機関は、意見を付けて役所(関係自治体としています)へ提出します。
2役所(関係自治体)が計画を認めます。
3 そうしたら、出入国管理在留管理局へ在留資格の申請をします。
4 OKがでたら、外国人美容師として、働くことができます。
5 育成計画が終了します。彼/彼女の本国又は他の国で、
日本式の美容に関する技術や文化を発信する活動をします。
・シンプルな例
自分のお店でアルバイトをしている、美容の専門学校の留学生がいるとします。
卒業したら、5年ぐらい雇いたい、とします。
業界の組合や留学生の在籍している美容の専門学校と相談し、
この制度を利用し進めることになります。
「日本の食文化海外普及人材育成事業」や
在留資格「特定技能」外食分野と飲食料品製造業とかぶりますね。
監理実施機関の要件
1 事務遂行体制の確保
2 財産的基礎
3 無料職業紹介許可の取得
4 非営利法人
5 苦情相談窓口の設置
6 欠格要件の非該当(犯罪歴など)
などがあげられています。
育成機関の要件
1 本邦の公私の機関
2 事業実施区域内に適切な美容所の所有
3 管理美容師の設置
4 健全で安定的な経営状況
5 法令遵守
6 欠格要件の非該当(犯罪歴など)
7 日本人と同等額以上の報酬額での雇用
外国人美容師の要件
1 美容師育成施設での知識・技術の修得し、成績優秀で素行善良
2 美容師免許の取得(見込みを含む)
3 日本語能力試験N2相当以上
4 満18歳以上
5 日本式の美容に関する技術・文化を世界へ発信する意思を有するがある人です。
実習計画の記載事項
1 実践的な美容に関する知識及び美容に関する計画及び施設に関する事項
(シャンプー、カット、トリートメント、ブロー、セット・アイロン、
カラー、パーマ・縮毛矯正、ヘッドスパに掲げる業務を含むものに限る)
2 育成期間
3 在留中の住居の確保に関する事項
4 外国人美容師が母国に一時帰国可能な程度の休暇の取得に関する事項
5 美容に関する指導を行う者
及び
我が国における生活上の留意点について指導するとともに、
外国人美容師の生活状況を把握し、
外国人美容師の相談を受けるなど問題に関する事項を
未然に防止するための生活指導を行う者
の任命及び配置する管理美容師関する事項
6 報酬及び労働・社会保険への加入等を担保する財産的基盤に関する事項
7 外国人美容師との面接及び外国人美容師からの生活・労働等に係る相談への対応(苦情処理を含む。)
8 外国人調理師の特定美容活動にに係る経費の確保及び担保措置に関する事項
9 特定美容活動の継続が不可能になった場合の措置に関する事項
10 外国人美容師に特定美容活動以外の業務(物品の販売、客引き等)を行わせない旨の誓約
11 その他関係自治体が必要と認める事項
認定の要件
1 計画の内容が期間全体を通じて実践的な美容に関する知識
及び技能の向上が図られることが確実に認められること
2 実践的な美容に関する知識及び技能を必要としない業務
又は同一の作業の反復によって修得できる美容に関する業務
に従事させるものではないこと
3 実践的な美容に関する知識及び技能に係る修得状況の評価について、
その実施体制、方法、実施項目等が適切であると認められること
4 実践的な美容に関する知識及び技能を習得するための期間を5年以内としていること
5 特定美容活動を行う外国人美容師の育成を行う美容所が
明確になっており、育成人数を1つの事業所当たり3人以内としていること
6 外国人美容師が、特定美容活動に日本人が従事する場合に受ける報酬
と同額以上の報酬を受けること
7 外国人美容師が、監理実施機関及び育成機関から保証金等を徴収されないこと
及び労働契約の不履行に係る違約金を定める契約等が締結されていないこと
尚、育成機関の指導監督のもと、育成計画に基づく美容に関する業務であって、
下記に掲げるものを行うことはできます。
シャンプー、カット、トリートメント、ブロー、セット・アイロン、
カラー、パーマ・縮毛矯正、ヘッドスパ
まつげエクステンション、ネイル、エステティック、着物着付け、
メイク、洋装ブライダル、出張美容、、
その他関係自治体が必要と認める業務、その他付随業務
記載項目や用意する書類
1美容所名、所在地、概要(従業員数、施術メニュー、面積及び座席数)
を記載。店舗内部の図面・写真などを添付
2管理美容師を記載
3財産的基礎に関する事項
過去3年間の経営が安定していることを証する財務諸表等を添付
4報酬、労働・社会保険の加入状況
外国人美容師に支払う予定の報酬額が、日本人と同等額以上である旨を記載
労働保険の事業所番号、年金の事業所番号を記載
⇒監査実施機関が監査をするため
業務実態、賃金の適正な支払い、健康診断の適正な実施、安全衛生教育の適正な実施、
労働保険・社会保険の加入状況等の確認事項がある。
確認する資料として、賃金台帳、タイムカード、就業規則、時間外労働及び休日に
関する協定、雇入れ時と定期の健康診断の実施記録、安全衛生教育の実施記録
等が挙げられている。
4-2 労働条件の確保⇒労働条件通知書の写し
雇用保険⇒その証明書
安全性の確保⇒労働災害の防止及び安全衛生の管理に係る取組内容
労働安全衛生法に基づく雇入れ及び作業内容変更時の安全衛生教育の実施
・美容器具等の安全な取り扱い方法
・作業手順
・作業開始前点検に関する事項
・疾病の原因及び予防に関する事項
・整理、整頓及び清潔保持に関する事項
・事故時における応急措置及び退避に関する事項
・その他安全及び衛生に関する対策等
5法人や役員に指定されている犯罪歴がないなどの犯罪歴要件などに非該当であること
6美容師法第12条に規定する確認を受けたことを証する旨の書類を添付
7外国人美容師が用意する書類
・成績証明書など成績優秀かつ素行が善良であることを示す書類
・美容師養成施設の卒業証明書又は卒業見込み証明書など
⇒特定美容活動に従事する時点で卒業していることがわかる書類
・N2程度その他これと同等以上の能力を有することを証する書類
・在留カードの写し等特定美容活動に従事する時点で満18歳以上であることを
証する書類
・美容師免許証の写し(美容師免許証がない場合は、美容師国家試験の受講申込書、
受験票又は美容師国家試験合格証の写し)
8育成計画の作成 1-7を基に作成する
実習計画の記載事項について
(1)実践的な美容に関する知識及び美容に関する計画及び施設に関する事項
[実践的な美容に関する知識及び技能を修得するための計画案]
1年目 目標は? 業務内容は? 目標を達成するための事項は?
2年目
3年目
段階的に従事する美容業務に内容と目標とする知識及び技能レベルをまとめた計画案を作成する。
その中に、安全衛生教育の内容がすべて網羅されていること。
・美容器具等の安全な取り扱い方法
・作業手順
・作業開始前点検に関する事項
・疾病の原因及び予防に関する事項
・整理、整頓及び清潔保持に関する事項
・事故時における応急措置及び退避に関する事項
・その他安全及び衛生に関する対策等
[施設]
美容所名、所在地、概要(従業員数、面積及び座席数)を記載。
店舗内部の図面・写真などを添付
(2)在留中の住居の確保に関する事項
賃貸物件又は自社所有建物などの住所及び概要
賃貸借契約を締結している場合は、その契約書を添付
(3)外国人美容師が母国に一時帰国可能な程度の休暇の取得に関する事項
労働条件通知書、雇用契約書など休暇に関する事項がわかる書類を添付
(4)美容に関する指導を行う者
及び我が国における生活上の留意点について指導するとともに、
外国人美容師の生活状況を把握し、
外国人美容師の相談を受けるなど問題に関する事項を
未然に防止するための生活指導を行う者の
任命及び配置する管理美容師に関する事項
A 美容業務に関する指導を行う者
氏名、勤務先、経歴
勤務する会社及び美容所、美容に関する実務経験を記載
美容師免許の写しを添付
B 我が国における生活上の留意点について指導するとともに、
外国人美容師の生活状況を把握し、
外国人美容師の相談を受けるなど問題に関する事項を
未然に防止するための生活指導を行う者
氏名、勤務先、経歴
勤務する会社及び美容所、人事管理等に関する実務経験を記載
C 管理美容師
氏名、経歴
勤務する会社及び美容所、美容に関する実務経験を記載
美容師免許の写し及び管理美容師であることを証明する書類を添付
(5)報酬及び労働・社会保険への加入等を担保する財産的基盤に関する事項
外国人美容師に支払う予定の報酬額が、日本人と同等額以上である根拠を提出
⇒日本人向け求人票や外国人美容師との雇用契約書の写し、現に働いている者
の給与例などを添付。
労働保険の事業者番号、年金の事業者番号等が確認できる書類を添付
過去3年間の経営が安定していることを証する財務諸表等を添付
(6)外国人美容師との面接及び外国人美容師からの生活・労働等に係る
相談への対応(苦情処理を含む。)
(7) 外国人調理師の特定美容活動に係る経費の確保及び担保措置に関する事項
(8) 特定美容活動の継続が不可能になった場合の措置に関する事項
(9)外国人美容師に特定美容活動以外の業務(物品の販売、客引き等)
を行わせない旨の誓約
労働条件通知書、雇用契約書など労働条件がわかる書類を添付
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第項
に規定する「接待」を行わせない旨の誓約書を添付
外国人美容師に特定美容活動以外の業務(物品の販売、客引き等)
を行わせない旨の誓約書を添付
最近の制度ですので、どのくらいの自治体が手を挙げているのか?
そして、準備しているのか?はわかりません。
ハードルが高そうな感じがしますが、美容の専門学校の留学生にとっては、
日本の美容所でスキルをみがくチャンスではあると思います。
最後まで、読んでくださり、ありがとうございました。
このメルマガも、平成14年(2002年)の10月から発行していて、
何気に、19年目に入りましたので、今後も引き続きよろしくお願いします。
このメルマガは、まぐまぐを利用して発行しています。
登録は
http://www.mag2.com/m/0000097197.html
よりできます。
ビザ・在留資格研究会 行政書士折本徹
http://www.toruoriboo.com
http://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column