外国人に日本の文化を伝える事業と在留資格「文化活動」(Culturalビザ)
-国際交流の在留資格-
外国人の国際交流の在留資格ではないかな?と思える在留資格を独断で上げています。
既存のページ・コンテンツで紹介している在留資格からまとめています。
重なりますので、ご了承ください。
国際交流には、様々なものがあります。
国際結婚、留学、会社単位での外国人の雇用、研修活動にて技術指導をする・又は、技術指導してもらう等々があり、入国管理法は、それぞれの在留資格を用意しています。
国際結婚、留学、会社単位での雇用、研修以外の活動で、国際交流に該当するかも?という在留資格をご案内します。
国際交流、という言葉を多角的な視点でとらえますと、本当に様々なものがあります。
在留資格の観点からすると、各在留資格には、それぞれ活動が決められていますが、ここでは、
純粋な国際交流として考えられるものとして、文化や芸術での交流に関する在留資格を考えてみます。
この活動を目的とした在留資格はあるか?と言いますと下記の在留資格が考えられます。
1 芸術
2 文化活動
3 研究
4 特定活動(ワーキングホリデー)
5 特定活動(報酬がもらえるインターンシップ)
6 特定活動(英国人の福祉ボランティア活動)
7 特定活動(国際文化交流)
8 ALT,CIR,SEA
1 在留資格「芸術」
収入を伴う音楽、芸術、文学その他芸術上の活動で、
在留資格「興行」の項の欄に掲げる活動を除く、となっています。
芸能等を公衆に見せるなどして、収入を得ることを目的とする興行の形態で行われる芸術上の活動は
該当しない、ということです。
具体的な例として、
① 創作活動を行う作曲家、作詞家、画家、彫刻家、工芸家、著述家、写真家等の芸術家
② 音楽、美術、文学、写真、演劇、舞踊、映画その他芸術上の活動について、指導を行う者
です。
ですので、それ相当の実績がある外国人で、日本国内での芸術の活動にて、
安定した生活が送ることができる人、ということになります。
2 在留資格「文化活動」
収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動
又は、我が国特有の文化若しくは技芸について、専門的な研究を行い
若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動
在留資格「留学」の項から「研修」の項までに掲げる活動を除く、となっています。
在留資格で活動が決められる、と言っても重なることがあります。
OOOOOの活動は、「文化活動」ではなく「留学」に該当する、という考えです。
① 収入を伴わない学術上の活動
② 収入を伴わない芸術上の活動
③ 我が国特有の文化又は技芸について、専門的な研究を行う活動
④ 我が国特有の文化又は技芸について、専門家の指導を受けてこれを修得する活動
専門家から個人指導を受け、修得する場合は、在留資格「文化活動」
教育機関に在籍して修得する場合は、在留資格「留学」
となります。
3 在留資格「研究」
① 大学(短期大学を除く)を卒業し、
若しくは、これと同等以上の教育を受けた後、
従事しようとする研究分野において、
修士の学位
若しくは
三年以上の研究の経験(大学院においては研究した期間を含む)を有し、
又は、従事しようとする研究分野において10年以上の実務経験
(大学において研究した期間を含む)を有すること
②日本人が従事する場合に受ける報酬と同額以上の報酬を受けること
研究活動でも、報酬を受ける場合は、在留資格「研究」
報酬を受けない場合は、在留資格「文化活動」となります。
奨学金を得ていても、その金額が少額の場合、
在留資格「文化活動」に該当する可能性もあります。
4 在留資格「特定活動」の中のワーキングホリデー
・そもそも、ワーキングホリデーとは?
ざっくり言えば、
日本と各々国との二国間の取り決めに基づいたもので、
相互理解の促進として、相手国の青少年に対して、自国の文化、生活様式を
理解してもらう機会を提供しようとするものです。
一定期間の休暇を過ごす活動とその間の滞在費を補うための就労を相互に認めています。
・現在、日本との間で実施されている国は?
オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、ドイツ、英国、アイルランド、韓国、デンマーク、フランス、台湾、香港 など
・「青少年」ですので、年齢制限はあるのか?
18歳から25歳。問題が無い、と判断されれば30歳まで可能。
・手続きは?
在外日本大使館又は総領事館で、ワーキングホリデーのビザを申請。
・働く職種に制限があるか?
まず、入国後の在留資格は「特定活動」で原則として1年を超えない範囲です。
上記の趣旨であり、必要な旅行資金を補うための報酬を得るための活動ですので、具体的な基準はないものの、風俗営業に従事することは認められていないです。
5 在留資格「特定活動」のなかの、報酬がもらえるインターンシップ
外国の大学生が、日本の会社で短期間働き、日本のビジネスを学ぶ場です。
外国の大学生は、インターンシップが可能です(卒業又は修了した者に対して、
学位の授与がされる教育課程に在籍する者です。通信教育課程は、除くことに注意!)。
従来は、外国の大学に在学中の学生が、その大学の教育課程の一環として、日本の会社等で、就業体験をする場合、受け入れて来ました(1年を超えない期 間で、通算して大学の修業年限の二分の一を越えない期間)。
その後、単位の取得を伴わなくても、日本の公私の機関から、報酬を受けて、三ヶ月を超えない期間であれば良い、ということも認めるようになりました。
サマージョブ、と呼ばれている制度です。
学生が在学する大学が指定する、上記の機関の業務に従事する活動を行うものについても、
認められる、ということになりました。
就労期間については、当該大学の授業が行われない期間で、三ヶ月を超えない期間です。
⇔在留資格「文化活動」報酬がもらえないインターンシップ
Q
弊社は、アジアのある大学から、学生を受け入れたいと思っています。
弊社の経営しているホテルに入社を考えていますが、
ある程度の期間、インターンシップで受け入れたいと思っています。
その大学では、ホテル・観光を履修科目に取り入れており、
第二外国語も日本語の選択ができ、学生も「おもてなし」を学びたいらしいです。
日本国内のホテルや老舗旅館等へ、
無給のインターンシップ(在留資格「文化活動」)にて、
受け入れることは可能なのでしょうか。
A
無給のインターンシップですと、在留資格は「文化活動」になります。
あくまでも、学業の一環です。
ただ、ホテル・旅館でのインターンシップですと、
無給のアルバイトみたいな扱いになる可能性がありますので、
なかなか、許可を出さないと思います。
履修科目の内容とインターンシップの内容がマッチし、
学業の一環である、との計画書を提出した方が良いと考えます。
例えば、インターンシップの計画ですが、下記のようなことを、座学と実施で学ぶ、
ということで、どうでしょうか?
ホテルにしても旅館にしても、日本では、サービス業の頂点、とも言われ、
設計、開発、装飾、調度品、人材教育、調理、客室、宴会、婚礼、
料飲施設、企画、施設管理の色々な部門で、多くの人が携わり、運営していきます。
それで、日本の旅館では、どのような思いで経営をし、
一般の利用客が目にするオペレーションの部分
一般の利用客が目にしないバックヤードの部分
働く人の人材教育
どのような接客態度をし、
利用客がくつろげる演出をどのようにしているのか等々
快適な空間と時間を提供することを、学び、研究することが目的であります。
おもてなしの技術や
ホスピタリティ技術を備えるとは、自分で状況を判断し、
状況に応じて行動する力を身につけること、即ち、心遣い・心配りの世界です。
下記のことを、座学や実施で学びます。
経営の仕方をはじめ、各役割についてです。
・料理に関しては、食材の仕入れ、調理・衛生管理
・宴会に関しては、並べ方、料理を運ぶタイミング、宴席のバックヤードの下膳
・接客では、美しい所作
ホテル・旅館の顔とも呼ぶべきものなので、実地で学ぶことが必要です。
・接客用語
全ての客に対して、どのような場面においても、自然と口に出るように覚えておく。
どういう場面で使用するか、を座学(ロールプレイング)と実地で学ぶ
・接客会話のポイント
お客とのやりとり会話の糸口を見出し、気持ちをほぐしていくので、
利用客が、日常から非日常の世界へ移る上でも、会話のやりとりは大事なので、
座学(ロールプレイング)と実地で学ぶ
・身だしなみのマナー
敬語の使い方
お辞儀の基本
客の出迎え 等
・清掃の仕方
・装飾や用度について
どのような視点で装飾品を飾るのか、どのような視点で選んで調達しているのか
・集客や広告宣伝について
・顧客管理について
予約の受け付け方、過去の宿泊・利用情報(食事の好み、部屋の暑さ・寒さの加減等々のデータを記録し把握)から万全な対応でできる
・クレーム及びアンケートをとっている場合の取り組み姿勢とその対処の仕方
そして、指摘された点をどのように改善しているか
等々を、一日の行動、一週間又は月単位で、3-6ヶ月の滞在で計画書に落とし込む、
という感じでしょう。
申請時に必要な書類は、
① 申請人が在籍する大学と日本の受け入れ機関との間のインターンシップに係る契約書の写し
② 単位取得等教育課程の一部として実施されることを証明する資料
大学からの承認書、推薦状、申請人の既習単位を証する資料
③申請人の活動内容、期間、処遇を証明する資料
④申請人の在学証明書
⑤ 受入機関の概要を明らかにする資料
⑥ 在留中の経費支弁能力が明らかにする資料
は、最低限となります。
上記のおさらいですが、
ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化
されましたので、記載します。
ホテル・旅館等で、外国人材を在留資格「技術・人文知識・国際業務」で、
雇用したときに、どの業務が専門業務で、どの業務が単純労働か?が、
今まで曖昧なところがありましたが、入国管理局から発表がありました。
ホテルのインターンシップの活動内容についても、準じると思われますので、
注意が必要です。
主な許可事例
・大学の観光学科を卒業した者が、外国人観光客が多く利用する日本の
ホテルにおいて、月額22万円の報酬を得て、外国語を用いたフロント業務、
外国人観光客担当として、ホテル内の施設案内業務に従事
・本国において大学を卒業した者が、本国から観光客が多く利用する日本の旅館において、月額20万円の報酬で、集客拡大のための本国旅行会社との交渉にあたっての通訳と翻訳、従業員への外国語指導
などです
(他に、集客拡大のマーケティングリサーチ、外国人観光向けにホームページ
の作成などの広報業務、宿泊プランの企画立案業務などが認められています。)
主な不許可事例
・宿泊客の荷物の運搬及び客室の清掃業務
・通訳業務ではあるが、外国人宿泊客の大半が使用する言語と申請人の母国語が違う
・駐車誘導、レストランにおける料理の配膳・片づけ
・採用後最初の2年間は、実務研修と称して専らレストランの配膳や客室の清掃に従事予定
などです。
(これらの業務については、勤務先における研修の一環であって、採用当初の時期に留まる場合は、許容されますが、日本人を含む他の従業員の入社後の
キャリアステップや各段階における具体的な職務内容とその研修の内容との関係性の資料を提出する)
許可事例の活動内容はOKですが、不許可事例の活動内容は、基本的にNO だと考えられます
ですので、踏まえて検討することになります。
「上記の例はホテルですが、他の業種でも上記のような思考で進めたほうが良いかもしれません」
6 在留資格「特定活動」のなかの英国人の福祉ボランティア活動
・日本国政府のグレートブリテン及び北部アイルランド連合王国政府に
対するボランティア査証に関する口上書
・日本において1年を超えない期間の適用を受ける者
早い話、英国に居住する英国市民のことです。
・国、地方公共団体、日本赤十字社、公益社団法人、公益財団法人
社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO)、独立行政法人に
受け入れられること
・前述で非営利の福祉に係るボランティア活動をすることです。
非営利の福祉の活動では注意があり、
ア 管理事務的な活動や専ら食事の準備、洗濯などの単純作業ではないこと
イ 日本の医療関係の免許を所持しない者は、その免許を所持しない者が
行ってはならない行為はしてはならない
ウ 無報酬であること
ただし、日常生活に必要な実費弁償として支払われるものは除く
住居費、食費、交通費等の手当ては良い
実費弁償以外にお小遣いが支払われる場合は、週7,000円程度以内
エ 配偶者又は子を同伴しない
オ 帰国のための旅行切符又は切符を購入するための十分なお金を所持
カ 滞在期間中に生活を維持するための相当なお金を所持
キ 滞在終了時に日本から出国をする意図を持っている
1年を超える期間は認められないことと、原則、資格変更は不可
(例外は、人道上の配慮と婚姻の身分関係が生じた場合)
ク 健康であること
7 在留資格「特定活動」のなかの国際文化交流
外国の青少年で
「卒業又は修了した者に対して、学位が授与される教育課程に在籍している、
外国の大学の学生。ただし、通信教育課程に在籍している外国人は除く」
です。
どんな活動ができるのか?
・地方公共団体が実施する国際文化交流を目的とした事業に参加している
・日本にある公私の機関との契約に基づき報酬を受ける
・その申請者に対する授業が行われない期間で、かつ、3ケ月以内
・小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校、
各種学校で、国際文化交流に係る講義を行う活動
その国際文化交流事業を実施する地方公共団体が、
・学生に対し、在留期間中の住居の提供、その他必要な支援を行う体制の整備
・学生の出入国及び在留に係る十分な管理を行う体制の整備
をしていることが必要で、
・学生が講義を行う場所、期間及び報酬を明確に定めていること
も必要。
又、公私の機関には、受け入れ機関が公立と私立の教育機関の違いによって、
契約者が地方公共団体、独立行政法人、私立の教育機関の場合があり、
国際文化交流事業は、語学の指導や講義形式に限らない、
となっています。
8 ALT,CIR,SEA
「ALT」
語学指導等を行う外国青年誘致事業、いわゆるJETプログラムと呼ばれている事業の中の職種の一つです。
この事業は、
外国語教育の充実を図るとともに、地域レベルでの国際交流の進展を図ることを通じて、
日本と諸外国との相互理解を増進し、日本の国際化を図ることを目的にしています。
実際は、財団法人自治体国際交流化協会が中心になって運営されていて、
招へい先は自治体。対象になる外国人は外国青年です。
以下は、財団法人自治体国際交流化協会のウェブサイトに掲載されているものです。
日本と世界との「草の根の交流」を目指すJETプログラムは、
1987(昭和62)年の開始以来、50ヵ国以上から5万人以上が参加しています。
参加者は、在外公館で行われる書類選考及び面接試験で合格したものから選抜されます。
職種は、
ALT(外国語指導助手:Assistant Language Teacher)
教育委員会や学校で、外国語授業等における外国語担当教員の助手を務めます。
CIR(国際交流員:Coordinator for International Relations)
地方自治体の国際交流部局等で主に国際交流活動に従事しています。
SEA (スポーツ国際交流員:Sports Exchange Advisor)
スポーツを通じた国際交流活動に従事しています。
ちなみに在留資格ですが、
ALTは「教育」
CIRは「人文知識・国際業務」
SEAは「技能」
です。
国際交流の活動によって、様々な在留資格が用意されていることがわかります。
ただ、国際交流の在留資格は、一本に決められているわけではないので、
申請するときは、注意してください。