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空き家問題に新たな展開

寺田淳

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テーマ:最近の話題から



 総務省の「住宅・土地統計調査」によりますと
2018年の空き家は約849万戸、住宅総数に占める比率は約14%に達しています。
これは20年前の戸数役570万戸の1,5倍で増加傾向が止まりません。

 14%ということは、概ね7戸に1戸が空き家ということになります。

 将来も誰も住む予定のない空き家は所有者にとっては、
固定資産税だけが発生する「負動産」でしかなく、
空き家がある地域にとっては景観の悪化や倒壊危機と
それに伴う隣接する住宅への影響、犯罪の温床や不法ゴミの投棄場所になる等
これまたいいことは皆無の厄介者でしかありません。

 現在でも「特定空き家」の指定によって空き家の放置への対策としていますが
今回の「空き家対策特別措置法改正案」では、新たな制度を盛り込むことで
より踏み込んだ対策を進めようとなっています。

 まだ法案の段階ではありますが、
仮に6月までの通常国会で成立した場合には
早ければ年内に施行という見通しのようです。

 そうなれば、許された時間はそう多くはないことになりますね。


 さて、現在すでに施行されている特定空き家へのペナルティは
具体的にどういったものでしょうか?

 特定空き家に指定される要件としては、

・倒壊の恐れなど保安上の危険がある場合
・著しく衛生上有害になる恐れがある場合
・生活環境の保全上、放置することが不適切と認定された場合

 この様な要件に合致し、
特定空き家に認定された場合には以下のような措置が取られます。

〇 固定資産税の住宅用地特例の解除
 200㎡以下の土地の部分について「課税上の評価額を1/6に」
 原則として「市街化区域でかかる都市計画税は1/3に」
 といった特例が解除されます。

〇さらに除却の命令に従わない場合には50万円以下の「過料」
 行政代執行の費用負担といったペナルティが課せられます。

 今回はこの前段として「管理不全空き家」という設定を設け
 以下の要件を想定しているようです。

・適切に管理がされていない 
・倒壊の可能性は低いものの一部には破損や変形が認められる
・このまま放置が続けば「特定空き家」になる可能性がある

 この要件を満たしたと認定された場合には
「固定資産税の住宅用地の特例を解除」が適用されるというものです。


 現在使用のあてのない空き家住宅を所有されている方は
今後は以下の点にも注意と適切な管理保全が求められることになります。


・外壁が変色して一部に剥がれが目立つ
・屋根瓦が一部欠損したまま放置されている
・破損した屋根などにブルーシートが長年かけっぱなし
 かつ修理の跡が見られないまま
・庭木の剪定が長年されていない
・庭が雑草に覆われたまま
・窓や玄関先のガラスが破損したまま

 この様な状態が長年続いていると周囲からも認められた場合には
今後は管理不全な空き家=適用案件を満たした空き家ということになります。

 近郊に住んでいればまだしも、
遠くの郷里にある実家などで出向くにも苦労するといった立地の場合ならば
思い切って住宅の解体、更地化も検討の価値ありです。

 ただこの場合は
先に挙げた受託用地の特例の対象でなくなるのと同じく
固定資産税が6倍に跳ね上がるといった問題が生じるので
売却までを想定して検討する必要があるでしょう。

 可能であれば
現地で活動するNPO法人が使用する施設としての利用を考えることも可能です。
場合によっては隣家等への売却や寄付といった選択肢もあり得るでしょう。

 
 この他、自治体による空き家対策として、
新税による空き家問題の解決を図るケースも出てきています。

 詳しい内容については以下のリンクを参照して下さい。
京都市空き家新税
 

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専門家

寺田淳(行政書士)

寺田淳行政書士事務所

 起業・独立や転職、再就職を考えるシニア世代に対して、現時点での再就職市場の動向や起業する際の最低限の心構えを始め、私自身が体験した早期退職から資格起業に至るまでの経験やノウハウを紹介します。

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