知識が無料になる時代、会社の価値はどこに残るのか(知識流通革命)
オフィスは時代を映す鏡である。ー交わる「場」を考える
「オフィス」と聞くと、どんな風景を思い浮かべるだろうか。
机が並び、社員がパソコンに向かって仕事をする姿。
会議室で打ち合わせをする様子。
あるいは近年では、フリーアドレスやABW(Activity Based Working)など、新しい働き方をイメージする人もいるかもしれない。
もちろん、それらもオフィスの大切な役割である。
しかし私は、これからのオフィスは「働く場所」というだけでは、その役割を十分に果たせないのではないかと考えている。
オフィスは、人が交わる場所である。
人が偶然出会い、言葉を交わし、新しい発想が生まれる場所である。
そして、会社の価値観や文化が育まれていく場所でもある。
私は長年、オフィスづくりに携わる中で、「オフィスは時代を映す鏡」
」だと感じてきた。
時代が変われば、働き方が変わる。
働き方が変われば、オフィスも変わる。
近年では、オフィス家具メーカーや販売会社、設計会社なども、単に机や椅子を納めるだけではなく、共創スペースやコミュニケーションエリア、カフェのような空間など、新しい働き方を支える提案を数多く行うようになってきた。
こうした変化は、とても歓迎すべきことだと思う。
一方で、少し気になることもある。
魅力的な空間は増えている。
しかし、その空間をどう生かすのかという「ソフト」の議論は、まだ十分とは言えないのではないだろうか。
どれほど素晴らしい共創スペースをつくっても、そこに人が集まり、語り合い、新しい関係やアイデアが生まれなければ、その空間は本来の価値を発揮することはできない。
空間という「ハード」があり、その場を生かす「ソフト」がある。
私は、この両方がそろって初めて、企業文化は育つのだと考えている。
コロナ禍を経て、私たちは「仕事はどこでもできる」ことを経験した。
だからこそ、社員がわざわざ会社へ集まる意味が、改めて問われている。
仕事をするためだけなら、自宅でもできる。
では、オフィスでしかできないことは何だろう。
私は、それは「人と人が交わること
だと思う。
何気ない雑談。
部署を越えた会話。
立場を超えた相談。
話題の中から生まれる「創発」が
やがてイベントやワークショップに発展。
そうした偶然の出会いが、新しいアイデアや信頼関係を生み、関係性を少しずつ育てていく。
もちろん、企業には情報管理やセキュリティという重要な責任がある。
しかし、その一方で、これからのオフィスは、もう少し地域や社会に開かれた存在になってもよいのではないだろうか。
取引先や協力会社。
学生や地域の人たち。
あるいは、未来の仲間になるかもしれない人たち。
さまざまな人が行き交い、新しいつながりが生まれる企業には、新しい価値も生まれてくる。
ガバナンスとは、守ることだけではない。
企業の未来へ向けて、新しい可能性を育てることでもある。
その意味でも、オフィスは「働く場所」から「人が交わる場」へと、さらに進化していくのではないだろうか。
そして、その場を本当に生かすのは、日々そこで交わされる言葉であり、人と人との対話である。
この「対話」というテーマについては、次回のコラムで考えてみたい。
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モノコトフロー研究所
モノコトフロー研究所では、「流れ」という視点から、経営・組織・地域・文化を見つめ直し、人や組織が自然と動き出す環境づくりについて研究と実践を続けています。


