経営を「四次元」で捉える(第2部) 時間軸 ―物流課題を経営戦略へ導くロジスティクス思考
ガバナンスとは「監視」ではない。──会社の舵取りを考える。
「コーポレートガバナンス」と聞いて、どんなイメージを持つだろうか。
社外取締役、コンプライアンス、情報開示、不祥事防止……。
新聞や経済誌では、こうした話題とともに語られることが多いため、「上場企業のための仕組み」という印象を持つ人も少なくないだろう。
もちろん、それも間違いではない。
しかし、本来のガバナンスは、企業規模に関係なく、すべての経営者が向き合うべきテーマである。
そもそもガバナンスの語源は、ラテン語で「船の舵を取ること」を意味する gubernare に由来するといわれている。
つまり、会社という船を、変化の激しい時代の中で目的地まで導く「舵取り」のことである。
そう考えると、ガバナンスとは「管理」や「監視」のためだけの仕組みではない。
会社がどこへ向かうのか。
何を大切にするのか。
変化にどう向き合うのか。
そうした意思決定を支える考え方そのものが、ガバナンスなのだと思う。
だから、制度だけを整えても十分ではない。
もちろん、会社法や内部統制、情報開示といった仕組みは重要である。
しかし、それだけで会社が良くなるわけではない。
理念だけを掲げても、人は動かない。
制度だけを整えても、人は育たない。
では、何が会社を前へ進めるのだろう。
私は、その鍵は「人の内側から生まれる動機」にあると考えている。
この会社をもっと良くしたい。
お客様の役に立ちたい。
仲間と一緒に挑戦したい。
そんな思いは、命令では生まれない。
評価制度だけでも育たない。
経営者の仕事とは、制度をつくることだけではなく、人が自ら考え、自ら動きたくなる環境を育てることでもあるのではないだろうか。
近年、「人的資本経営」という言葉を耳にする機会も増えた。
人を「資源」ではなく「資本」として捉え、その成長や可能性を企業価値につなげていこうという考え方である。
私は、この考え方もまた、ガバナンスの延長線上にあるように感じている。
人は管理される存在ではなく、自ら価値を生み出す存在である。
そう考えたとき、企業に求められるのは、人を管理する仕組みではなく、人が主体的に力を発揮できる環境づくりなのではないだろうか。
会社には、お金の流れがある。
モノの流れがある。
情報の流れがある。
そして、人の思いや言葉にも流れがある。
どれほど優れた制度を整えても、その流れが滞れば、組織は少しずつ活力を失っていく。
反対に、人が自ら考え、自ら動く流れが生まれれば、制度は初めて本来の力を発揮する。
ガバナンスとは、制度を整えることだけではない。
会社の中に、良い流れを育てることでもある。
そして、その「流れ」を育てるためには、これからのオフィスや組織のあり方も、もう一度見つめ直す必要があるのかもしれない。
その話は、次回のコラムで考えてみたい。
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モノコトフロー研究所
モノコトフロー研究所では、「流れ」という視点から、経営・組織・地域・文化を見つめ直し、人や組織が自然と動き出す環境づくりについて研究と実践を続けています。


