パワハラが怖くて「何も言えない上司」が一番危険な理由【人事トラブル相談室④】

桐生英美

桐生英美

テーマ:人事トラブル

「何も言わない上司」は本当に安全ですか?

「パワハラと言われるのが怖い」
「トラブルになるくらいなら関わらない」

最近、こうした管理職が増えています。

その結果、現場では──

・仕事を振らない
・指導しない
・関わらない

という状態が生まれています。

一見すると穏やかに見えますが、

⇒  実はこれ、別のリスクを生んでいます

■ 結論

⇒  「仕事を振らない」「関わらない」という行為は、場合によってはパワハラ(過小な要求)に該当する可能性があります

そして実務上は、

⇒  「厳しい上司」より「何も言わない上司」の方が問題になるケースが増えています

■ なぜ「何もしない」がリスクになるのか?
■ ① 「何もしない」は中立ではない

多くの管理職が誤解しています。

⇒  何もしない=安全

ではありません。

実際には、

・成長機会を与えない
・評価のチャンスを奪う
・職場で孤立させる

という状態を生みます。

⇒  これは「静かに不利益を与えるマネジメント」です

■ ② 「過小な要求」に該当する可能性

厚生労働省のパワハラ指針では、

⇒  過小な要求(仕事を与えない等)はパワハラの類型の問題行為とされています。

具体例として、

・能力に見合わない低い業務しか与えない
・意図的に仕事を与えない

⇒ つまり、

⇒ 「仕事を振らない」という行為そのものがリスクになる

ということです。

■ ③ 「パワハラが怖い」は免罪符にならない

現場でよくある心理です。

・注意すると問題になるのではないか
・トラブルを避けたい

しかしこの状態は、

⇒  管理職としての責任を放棄している状態

とも評価されかねません。

⇒  “何もしない”ことも判断であり、責任が伴います

■ ④ 一番ダメージが大きいのは「無関心」

ここが最も重要です。

人は、

・叱られることよりも
・無視されることに

強いストレスを感じます。

なぜなら、

⇒ 「自分がどう評価されているか分からない」からです

この状態は、

・不安
・不信感
・モチベーション低下
・離職

につながります。

⇒  静かに組織を壊すタイプのリスクです

■ 根拠(法令・通達)

・労働施策総合推進法(パワハラ防止法)
・厚生労働省「パワハラ指針(令和2年)」
 → 過小な要求(仕事を与えない等)
・労働契約法第5条(安全配慮義務)

⇒ ※個別事案は状況により判断が異なるため確認が必要です

■ 注意点(ここを間違えない)
■ すべてがパワハラになるわけではない

以下は適法です:

・教育目的の段階的な業務付与
・ミスが多い社員への一時的な業務制限
・業務量の調整

⇒ ポイントはこれです

⇒ 「合理的な理由を説明できるか」

■ 危険なパターン

・関わらない
・評価しない
・期待を示さない

⇒ これは、

⇒  “排除型パワハラ”に発展しやすい状態

です。

■ 本質は「指導」ではなく“関係性”

ここが一番重要です。

⇒ ハラスメントの本質は「強さ」ではなく「関係性の歪み」です

・強くても適切な指導は成立する
・弱くても不適切な関係は崩壊する

⇒  問題は「言うか言わないか」ではなく「どう関わるか」です

■ まとめ

今回のポイントです。

・何もしないは安全ではない
・仕事を振らないこともリスク
・過小な要求に該当する可能性
・無関心が最大のダメージ

「優しさのつもり」がリスクになる時代です


まずはここを見直してください。

・部下に仕事を振っているか
・期待を言語化しているか
・フィードバックをしているか

⇒  どれか1つでも欠けていれば、

⇒  すでにリスクが始まっています

■ 動画でさらに詳しく解説しています

このテーマは、

・どこからが過小要求になるのか
・現場でのNG事例
・管理職の具体的行動

を動画で解説しています。

⇒ 実務レベルで理解できます
パワハラ6類型のうち2つに同時該当?

■ ご相談について

この問題は、

・ハラスメント
・評価制度
・マネジメント

すべてに関係します。

⇒ 「指導していいのか分からない」
⇒ その状態が一番危険です

⇒ 管理職研修・組織改善まで対応可能ですので、お気軽にご相談ください
ご相談はこちらから

※本記事は一般的な実務整理であり、個別事案は事実関係により判断が異なるため確認が必要です

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桐生英美
専門家

桐生英美(社会保険労務士)

日本経営サポート株式会社

民間企業での人事経験25年、社労士登録30年。労基署対応、労務トラブル対応など、現場実務を中心に支援してきました。経営と法令のバランスを考え、実務としてどう整えるかを経営者と伴走する社労士です。

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