三陸の鉄道に捧げる頌(オード)の完結作『志津川の海』を書きました!
本日も、言問学舎HP塾長ブログに書いた記事を転載させていただきます(掲載日、8月9日) 。
今日、平成30年8月9日の田上富久長崎市長の長崎平和宣言から、「平和への思いは共有できます」という言葉を、深く受けとめたい。もちろん、あらためて深く、という意味においてである。
平和祈念式典が行なわれていた時間、私は塾で小学生の授業に当たっていた。夏休みの読書感想文指導のために、低学年、中学年、高学年と大きく分けて用意してある本の中から、今年は『ガラスのうさぎ』を3人、『つるにのって』を2人が選んだ。後者は「原爆の子の像」の佐々木禎子さんをモチーフとした本(原案ミホ・シボ/1994年4月初版 金の星社版)で、短編アニメーション映画「つるにのって」をもとにしたものだという。
子どもたちが本を選ぶ前に、こちらから内容に関する話は一切しない。年齢に合わせいろいろなテーマの本を示してある中から、子どもたちが自分で選び出すのである。一人一人の子にどのような経緯があって、それらの本を手に取る結果につながっているのかを、聞くこともない。家庭や学校、そのほか彼ら自身がこれまでの何かの折に、何かしらのことがらを見聞した経験が、こうした機会に「本を読んでみよう」という行動に結びつくのであろう。
私自身は、高校の修学旅行と満30歳の夏の二度、長崎をたずねている。広島は、大学時代とやはり30歳手前のころ、そして言問学舎で『碑』の授業をはじめて4年目の平成18年の夏に訪問しており、双方の資料館等で購入して来た書籍も何点か、塾の書架におさめてある。また『はだしのゲン』全巻も書架にあり、こちらは子どもたちが自発的に手にとる機会も多い。
今日の長崎平和宣言は、長崎の核兵器廃絶運動をけん引して来た二人の被爆者が、昨年他界したことにふれ、その思いを引き継がなければならないと述べている。その思いとは、「戦争をしない」という日本国憲法に込められた思いだという。
『ガラスのうさぎ』と『つるにのって』を読んだ生徒たちの中に、もう戦争はしないと誓った日本国憲法を、それぞれの主人公がよろこびを持って受けとめたというくだりが心に残ったと書いた子たちがいる。彼らは自ら本を手にとり、自分たちの感性で受け止めて、その部分をとり上げたのである。
「平和への思いは共有できます」という長崎平和宣言を、みなが受けとめられる可能性があることを、この子たちも示していると言えるだろう。私自身も、まだまだ新たな取り組みの方向性をさぐって、自分のできることを増やし、続けて行かなければならない。
平成30年8月9日
小田原漂情