2016年8月9日に
豊野で飯山線と別れた信越本線の線路は、やがて鳥居川に沿って、山の高みへと向かってゆきます。「深み」ではなく「高み」と書いたのは、川と地方道、鉄道の三すじの流れが、山あいを抜けてゆくのですが、狭隘な谷すじではなく、まさに信濃と越後の国ざかいの“山越え”をする味わいだからです。
春を迎えるころは、黒姫や妙高などの高い山はまだ真っ白な雪に覆われて、時々吹雪いていそうな雲の様子を目にする中で、川のほとりはもう雪が消えかけており、流れが雪解け水でゆたかな水量をたたえている様子を、ゆっくり通る列車の車窓から楽しんだものです。
そして在来線の特急「あさま」が走っていた頃は、黒姫や妙高高原の駅のホームには長距離優等列車の号車札が掛けられ、駅弁売りもまだ健在で、駅はスキー客でごった返していました。妙高高原からは関山、二本木というスイッチバック駅を経て新井、上越(市)へと下って行くのですが、特急、急行は、これらの駅のホームには入らず、本線を素通りして行きました。
現在の妙高市の中心駅が新井ですが、合併前は新井市という単独の市でした。ここは雪国越後の中でも名にし負う豪雪地帯です。新井高校の職員室に所用でお邪魔し、15分ほどして車に戻ると、一度屋根の雪をすべてかき落として行ったのに、わずか15分の間に30センチ近くも雪が積もっていて、たまげました。国道沿いに「豚汁定食」の店がありましたが、雪が降る中ではことのほか、温められる思いがしたものです。
ウィキペディアによると、昨日10月19日から、新井駅の二つ先の旧「脇野田」駅が「上越妙高」駅としての営業を、開始したようです。この駅が、北陸新幹線の「上越妙高駅」として、在来線(第三セクターえちごトキめき鉄道妙高はねうまライン)との接続駅になります。このあたりまで来ると、あとは比較的なだらかに日本海の海べりへと下ってゆく地形となり、信濃から越後への山越えも、終わりだなと感じられます。北陸新幹線で飯山からここへ着く時、どのような感覚がするのでしょうか。
そしてさらに二つ先の駅が、高田です。出張で宿泊したのは一度だけでしたが(多くは直江津駅の近く)、雪がある時も、ない時でも、味わいの深い街です。駅近くの商店街は、雁木をつらねて古くからの商家が並んでおり、また寺の多いのが特徴です。また、旧高田城址である高田公園も趣深い公園で、夜桜が著名なようですが、私は雪景色が印象に残っています。高田駅も長距離列車の出入りが似合う落ち着いた駅でしたが、第三セクター移管後は、どのような駅になるのでしょうか。
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