なぜ愛子さまは天皇になれないの?―英語で考える皇室典範

豊田朋子

豊田朋子

テーマ:今週の授業(Global youth)

愛子さまから考える、高市政権と日本の未来

政治って、面白くない? 難しそう? 自分には関係ない?

実は、政治に関心を持つきっかけは、意外なところにあります。

今回は、愛子さまを入り口に、今の日本を動かしている高市政権の思想を考えてみましょう。

愛子さまは、皆さんと同じ時代を生きるユースのお一人。
身近に感じられる皇室の存在です。
そして、皇位継承をめぐる問題には、高市政権が大切にしている価値観が、ぎゅっと詰まっています。

少し芸能ニュースに近い感覚で読み始めても、たどり着くのは、

**日本の伝統、ジェンダー平等、憲法、国民の意思、そして日本がこれからどんな国を目指すのかという大きな問い**なのです。

### 1. なぜ、愛子さまは天皇になれないの?

現在の皇室典範第1条は、皇位を「皇統に属する男系の男子」
が継承すると定めています。
つまり、愛子さまは天皇陛下の直系のお子さまであっても、現在の制度では皇位を継承できません。

2026年7月に成立し、この10月に施行される皇室典範等の改正は、皇族数を確保するため、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持できるようにすることや、一定の条件を満たす男系男子を養子として皇族に迎えられるようにすることなどを盛り込みました。

しかし、**女性天皇を認める改正ではありません。**

なぜ、女性天皇を認めるのではなく、こうした方法が選ばれたのでしょうか。

ここに、**高市首相が重視する保守的な価値観
**を理解するための、大きな手がかりがあります。

### 保守とリベラル――何を守り、何を変える?

**LIBERAL — 自由・平等・変化**

リベラルな考え方では、個人の尊厳や平等を重視します。昔から続いてきた制度であっても、今を生きる人々にとって公平なのか、時代に合っているのかを問い直します。

愛子さまは、天皇陛下の直系のお子さまです。それなのに、女性であるという理由で皇位継承の可能性がない制度は、今の時代に合っているのでしょうか。

英国やスウェーデンなど、欧州の複数の王室では、性別にかかわらず、出生順位を基準に王位継承順位を決める制度への改革が進みました。国連の女性差別撤廃委員会も、日本の男系男子に限る皇位継承制度について、見直しを勧告しています。

リベラルな立場からは、こんな問いが生まれます。

**「伝統だから」という理由だけで、今の時代にも同じルールを守り続ける必要があるのだろうか?
Should we keep this rule just because it is a tradition?

**
**CONSERVATISM — 伝統・秩序・継続性**

一方、保守的な考え方では、長い歴史の中で受け継がれてきた制度や伝統を、簡単に変えるべきではないと考えます。

男系継承を重視する人々にとって、それは単なる古い慣習ではありません。皇室の歴史的な正統性や、日本独自の文化的なアイデンティティーを守るための原則なのです。

高市首相が男系男子による皇位継承の維持を重視する姿勢も、こうした保守の価値観から理解できます。

保守的な立場からは、こんな問いが生まれます。

**「時代が変わったからといって、長く受け継がれてきた制度を変えることが、本当に最善なのだろうか?」
Is it always best to change old rules when times change?

**
伝統には、今を生きる私たちだけでは測りきれない歴史的な意味があるかもしれません。守り続けることそのものに価値がある、という考え方です。

どちらも、ただ「古い」「新しい」という話ではありません。**何を大切にし、何を次の世代に残したいのか。その優先順位が違うのです。**

### ここで、日本国憲法を読んでみよう。

日本国憲法第1条には、こうあります。

「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」

そして第2条は、皇位が世襲であり、国会の議決した皇室典範に従って継承されると定めています。

この二つの条文を並べると、考えずにはいられない問いが浮かびます。

**天皇の地位が国民の総意に基づくのであれば、皇位継承の制度は、国民にどこまで理解され、納得されている必要があるのでしょうか。**

制度を法律に従って変更することと、その変更が国民の理解や納得を得ることは、同じでしょうか。

私は、この二つの関係をもっと考える必要があると思っています。

国民統合の象徴である天皇の地位を支える制度だからこそ、制度をどう変えるのかだけでなく、

**なぜその方法なのか、国民はその理由を理解し、納得できるのか**という問いを大切にすべきではないかと考えます。

政治を考え、語る人は変人か?

政治の話を友達とするのは、ちょっとハードルが高いかもしれません。

中高生だけでなく、大学生だって、社会人だってそう。
今まさに動いている政治について、意見を交わす機会は多くありません。

「政治の話をする人は、意識高い系の特別な人」どころか、「変わっている」なんて空気さえあります。

でも、考えてみてください。

**人間は社会的な生き物です。私たちは、政治と無関係に生きることはできません。**

税金、物価、教育、働き方、エネルギー、安全保障、ジェンダー平等。政治家が決めることは、皆さんの毎日の生活にも、将来の選択肢にも影響します。

政治は、特別な人だけが考えるものではありません。**自分の人生に関わることだからこそ、知る意味があるのです。**

政治は選べる。だから、まず関心を持とう。

世界を振り回すトランプ米大統領については、授業でも何度も取り上げてきました。

しかし、アメリカの大統領を、私たち日本の有権者が直接選ぶことはできません。

**でも、日本の政治には、私たち自身が選挙で意思を示す機会があります。**

皆さんも、やがて有権者になります。

そのとき、何を基準に候補者や政党を選びますか。

誰かの意見に乗るのではなく、政策を知り、異なる立場の考えを聞き、自分なりの判断をする。そのためには、今から少しずつ社会に目を向けておくことが大切です。

政治に詳しくなければ、話し始めてはいけない?

そんなことはありません。

「これって、どういうこと?」

「海外では、どう報じられているんだろう?」

「私はこう思うけれど、あなたはどう考える?」

その一言からでいいのです。

そして、英語でニュースを読むことには、もう一つうれしい効果があります。社会について考えながら、語彙も、読解力も、英語で自分の意見を伝える力も伸ばせることです。

**英語を学ぶ。世界を知る。社会を読み解く。そして、自分の未来を選ぶ。**

これらは、別々の学びではありません。

英語は、世界を知るためのフックです。そして、社会リテラシーを育てるための入り口にもなるのです。

政治の話をするのは、「変人」だからでも「意識高い系」だからでもない。
自分たちが生きる時代に関心を持つことは、
自分たちの未来に責任を持つことにつながります。

**Read the World. Think for Yourself. Witness the Times.**

世界を読み、自分の頭で考え、時代の目撃者になる。

そして、いつか皆さん自身が、この社会の未来を選ぶ一人になってください。

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豊田朋子
専門家

豊田朋子(英語講師)

株式会社ダイバース・キッズ / Global kids英語会

文字と音の法則で学ぶ「フォニックス教授法」をベースに、日本の子どもに欠けがちな発信力をはぐくむプログラムを実施。本格的な英語プレゼン大会で成果を発表。専門訓練を受けたプロ講師たちが熱意を持って指導する

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