マンション管理組合の合意形成に必要な「論理プラス感情」
マンション居住者間で起こる身近なトラブル、皆さんご存知ですか?
1.ゴミ出し
2.ペット飼育
3.隣接住居間の騒音
どのマンションでも、上記のいずれかについてトラブルを抱えていると言われています。
『うちはトラブルがない』と言う方もいますが、それは問題が表面化していないのです。迷惑を受けている人が我慢しているので、トラブルになっていないことが多いです。
さて、上記の3大トラブルのうち、ゴミ出しマナーについては、
・玄関ポーチに生ゴミを置かれ臭う
・廊下に生ゴミの汁を垂らして臭い
などはありますが、実は居住者間で問題になることはあまりありません。
問題は「ゴミ置き場」で起こります。
地域によっては、ゴミ分別ルールの厳しいところがあり、清掃車が持っていってくれないような混ざったゴミについては、管理員や清掃員が仕分けし直さなければなりません。
この場合、ゴミ出しマナーのなっていない人はだいたい決まっています。
この、一部のマナー違反者の被害者は、
・管理員や清掃員と
・区分所有者全員
です。
まず管理員や清掃員にとって、そもそも人のゴミ袋を開封して漁るようなことは業務の範疇ではありませんし、個人情報保護の観点からも本来したくない作業です。
しかも、管理員や清掃員として、お客様であるマンション居住者に対しマナーの悪さを指摘することが困難なのも問題です。
ゴミを出した現場に偶然出くわして、その場で丁寧にお願いできればまだ良いですが、マナーの悪い人は生活が不規則であることが多く、ゴミを出す時間もまちまち(夜中や早朝)だったりしますから、直接会うことができません。
また、ゴミの中に公共料金の明細やクレジットの支払い明細などが入っていれば誰のゴミかがわかりますが、『プライバシーの侵害だ』などと逆切れされることが多く、却って非協力的になってしまうことが考えられます。
ゴミ問題は管理員にとって、管理会社にとっても厄介な問題です。
次に、区分所有者全員が被害者である点について。
あなたのマンションの購入や賃借を検討する人にとって、ゴミ置き場は意外とチェックポイントです。ゴミ置き場を見ればマンション全体のモラルや民度が透けて見えるからです。私も不動産仲介業に従事していた時は、お客様をゴミ置き場へ案内するようにしていました。
ほとんどの居住者がルールを守っているのに、一部の人が無視して出すだけで、外部者からは『マナーの悪いマンション』などと思われてしまいます。せっかく何千万円もの高い買い物をしても、その価値がゴミ置き場の乱雑さで目減りしていることに多くのマンション所有者は気づきません。
このゴミ問題は、管理会社(管理員)へ任せきりにせず、居住者間(理事会)で動くことが大切です。居住者間でマナーの遵守を促すことで、「少しずつ改善する」ことが大切です。
くれぐれも急いで違反者を捕まえ厳しく注意するようなことはしないでください。長く住み合う仲間でもありますので、納得してマナーを守ってもらえるまで粘り強く接することが大切、と私は思います。
ゴミ出しマナーの悪い状態を放置しておくと、次第に住み心地の悪いマンションになっていきます。しかも「類は友を呼ぶ」のことわざのように、マナーの悪い人が次から次へと入居するようになり、長い目で見るとスラム化の道を進むことになります。
たかがゴミ、されどゴミです。
マンション管理コンサルタント メルすみごこち事務所