「共通言語」がない組織の末路【コンサルの視点14】

「社長は孤独ですね。」
経営者の方と話をしていると、そんな言葉を耳にすることがあります。
確かに、経営者には最終的な意思決定を自ら下さなければならない場面が数多くあります。
その責任は社員と分け合うことはできません。だから「孤独」という表現は、決して間違いではないと思います。
しかし、私はその言葉を聞くたびに、少し違う見方をしています。
社長が孤独なのは、本当に相談相手がいないからなのでしょうか。
実際には、多くの経営者には相談できる相手がいます。
税理士や金融機関の担当者。取引先。家族。幹部社員。場合によっては、私のような経営コンサルタントもいます。
それでもなお、「孤独だ」と感じる経営者は少なくありません。
その理由は、相談相手の数ではなく、「本音を話せる相手」が少ないことにあるのではないでしょうか。
経営者は、社員の前では不安を見せられません。取引先には弱気な姿勢を見せたくありません。家族には心配をかけたくない。銀行には慎重な言葉を選ぶ。
そうしているうちに、自分の中で迷いや葛藤を抱え込むようになります。
私が面談で大切にしているのは、すぐに助言をすることではありません。まずは、経営者が安心して本音を話せる時間をつくることです。
不思議なもので、人は話をしているうちに、自分の考えを整理できることがあります。
「実は、私が一番気になっていたのはそこだったんです。」「話してみて、自分でも考えがまとまりました。」そんな言葉をいただくことがあります。
そのとき私は、コンサルタントとして何か特別な答えを示したわけではありません。ただ、経営者が安心して考えられる場を一緒につくっただけです。
私は、経営コンサルタントの役割とは、正解を教えることではなく、「経営者が自分自身と対話できる環境を整えること」でもあると思っています。
経営とは、決断の連続です。その決断に迷いが生まれるのは、決して弱いからではありません。会社のことを真剣に考えているからこそ、簡単には答えを出せないのです。
だから私は、経営者が迷うことを否定しません。むしろ、迷いながら考え続ける姿勢こそが、より良い経営判断につながると考えています。
社長の孤独は、一人でいることではありません。誰にも相談できないことでもありません。
本音で考え、本音で迷える時間が失われてしまうこと。
私は、それこそが経営者の本当の孤独なのではないかと思っています。
だから今日も私は、答えを急いで伝えるよりも、経営者が安心して本音を語れる時間を大切にしています。
そこから生まれる対話こそが、その会社らしい経営判断につながると信じているからです。
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