鏡像関係は、絶対的孤独な人間の寂しさと孤立感を癒す
コロナウイルスの蔓延により人との接触、ステイホームが余儀なくされ、益々うつが発症しやすくなりました。それを証するように、昨今有名人の自死が相次ぎ報道されました。
有名人のみならず、コロナ禍で先々が不安な方がほとんどではないでしょうか。この先仕事があるだろうか、収入は得られるだろうか、家族を守れるだろうか、など様々な不安が過り、不安と緊張の毎日を過ごされている方も少なくないと考えられます。
一口にうつと言っても、「うつ病」と、うつ病の一歩手前の「抑うつ神経症」があります。
どちらにしても、うつは粘着気質でそこから離れられず、それが自分のすべてとなり汎化して絶望感と無力感に囚われて、うつへと至ります。
したがって、囚われている考えを解くこと。全否定してすべてに汎化せず部分否定にし、そこだけに限局化して限定する。すべてではない、それはほんの一部だと気づくことにより、囚われている考えから離れられます。
うつになりやすい人の特徴
【3つの特徴】
1.徹底性
2.遅れ感
3.責任感
これらの性格は、完璧主義のために、他者を許さないと同時に自分を許しません。したがって自分を追い込みます。その事に対して離れられず固着してしまい、その事、考えだけに囚われそれが自分のすべてとなります。どんどん追い込んで絶望感・無力感へと至り、果ては自死に至ることさえあります。
うつの原因
原因には内因性と心因性の二つがあります。
【内因性の原因】
1.自我構造論:自我脆弱、自我未成熟、自信喪失、要するに自我(自分)が無い。
2.発達論:口唇期の基本的信頼の欠如、基底不安。肛門期の分離不安
3.愛着論:母性欠如、母性喪失、見捨てられ
母との間で信頼が築けなかった。母に委ねたが応えなかった、それはありのままの自分が承認されなかったことになります。そのため自己嫌悪・劣等感に苛まれやすく自分に自信が持てません。したがって安心・安全がなく日々不安で緊張の下、生活しています。
その不安と緊張は、内因性の自我脆弱なための自信喪失や自分を信じられない基底不安、会社や家族、友人から見捨てられるのではないかという不安。それらがうつへと促がしてしまいます。
このような情態では辛いので、明るく振る舞って不安や緊張を見ないように和らげるために、明るいフリをして防衛している人を「明るいうつ」と言います。そういう人は、表情は明るく饒舌ですが下半身は冷たい。そういう人ほど、フリができなくなると追いつめられます。
内因性は真正うつに移行する可能性があります。「無気力」「死にたい」「やる気がない」などというフレーズを言う場合、それに当たります。
【心因性の原因】
1.挫折 学校受験、会社の入社試験、頑張った結果が出なかったなど
2.失敗 事業、商売など
3.失恋 失恋や離婚など
心因性とは初めての抑うつの場合で、一過性の自信喪失が当たります。
うつ病・抑うつ神経症、うつはフリから始まる!
うつは図のように元はフリから始まっています。フリが様々な症状、病理へと発展していきます。
フリは、その時、その人、その場面に応じて合わせます。根本に対人恐怖があるため、他者の言葉や言動が気になり、お気に入り、楽しい人、いい人、従順な人など、他者が望む人のフリをします。
先ほどの「明るいうつ」もその一つです。
それが破綻してできない場合や、最初からしたくない人は、図のように引きこもりや不登校、適応障害などに至ります。
うつからの脱却法
【心の向きを変える】
承認されたという意識が無いので自己肯定感も少なく、ほんの些細なことでも全否定して「もうこの世の終わり」のように考え、それが拭い去れず自死へと至ってしまうこともあります。
すべては終わりではないと、すべてに汎化せず部分否定にし、そこだけに限局化し限定します。そしてこだわりや囚われを解くこと。原因は偶々だった、そして自分の得意な所を見直したり、新しい恋を探したり、心を別な次へと切り換えます。視点の向け換えをすることにより、うつから脱却できます。
【何でも言えること】
心の向きを変えるために最も重要な第一歩は、何でも言えることです。不安だ、心配だ、取り返しがつかないことをしたなどと、声を上げること。何でも言える人が居ることです。周囲の人は絶対に否定しない、励まさないことです。
何でも言えて聞いてもらえる人が居ると、少しずつ言えるようになります。弱音を吐けるようになります。フリをやめることができます。そのためには、話を聞く人は意見や教え、励ましは追い込みますので、「そうだね」と肯定し、絶対否定しないこと。すると次第に自分が生まれ自我が形成されていきます。後に自信へと繋がります。
そして、0か100かの完全主義から離れ、曖昧な領域を不安なく維持できるようになります。すると、他者も自分も許せるようになり、責めることは無くなります。死へ向かうことも無くなるでしょう。
まとめ
【唯一の理解者、それはセラピスト】
周囲にそういう人が居れば、その方にお願いして聞いてもらうのがいいでしょう。
もし居ないようであれば、精神分析があります。セラピストに語るのもいいでしょう。
セラピストは、黙って話を聴き全受容し全肯定します。質問されない限り、語ることも説教も教えることもありません。ひたすら傍で寄り添い聴き続け、唯一の理解者となります。
語っているうちに、自分の不安は何なのか、何に拘っていたのか、囚われていたものが何か朧気ながら見えてきます。それをセラピストは言語化します。言語化されると不安は払拭されます。
不安とはそれだと言えないから不安が蔓延します。判明すれば不安ではなくなります。
それは拘りや固執していたもの、囚われていたもの、不安の意味を言語化により判るからです。
そして、うつを克服し、明日への希望を持つことが可能になるでしょう。
セラピストの格言
⇨ 格言‐26「生きる意味を求める人へ」
⇨ 格言‐45「悩みを抱えている人へ」
⇨ 格言‐78「悲観に暮れる人へ」
⇨ 格言-88「引きこもっている人へ」
関係コラム
⇨ 不安障害:不安でたまらない心の構造と原因。不安が消える!
⇨ 不安・抑うつ・怒り・自責の念の原因が、幼い時期にある場合があります
⇨ 病気と心のメカニズム(うつ・PTSD・心身症・器質障害など図式化)
⇨ うつ病とはどんな病気?うつ病を作る3つの要素
⇨「自分が嫌い!」心の構造と原因を理解して 、自分嫌い克服
⇨ 自殺する人の心理-実行行為に至らせる流れと自殺の方法から判ること
⇨ 精神分析が目指すもの、カウンセリングの効果の実例
クライアント様の声
⇨《引きこもり 》
参照:うつの診断基準
【うつの3大症状の発生】
1.不眠
2.食欲不振
3.性欲減退
他に、極端な冷え性・低体温、子宮が冷たいなど。
【7つの身体症状(1.5才まで)】
1.高熱
2.小児喘息
3.肺炎
4.ひきつけ
5.自家中毒
6.腸重積
7.股関節脱臼
8.アトピー
これらは基本の症状です。これらを口唇期欠損による心身症と言います。母子関係において基本的信頼が形成されなかった。すなわち、不安と緊張が高まっている状態を示します。
【仮面うつ病】
1.糖尿病
2.胃潰瘍・十二指腸潰瘍
3.椎間板ヘルニア
【その後の症状】
1.乗り物酔い
2.若年性胃潰瘍
3.若年性糖尿病
2と3は稀ですが18才以降に発症する場合もあります。
【問題行動】
1.不登校
2.引きこもり
3.家庭内暴力
4.摂食障害
5.リストカット
6.自殺企画
7.非行全般
【挫折体験】
1.失敗 例:商売失敗
2.挫折 例:受験失敗
3.見捨てられ 例:失恋、離婚
他に、両親との3ヵ月以上の離別体験(特に4才まで)
以上のどこかに該当しているかが、うつに罹患しているかの判断基準になります。