嫌なことばかり思い出す心理。なぜ思い出したくもないのに浮かぶのか?

大澤秀行

大澤秀行

「思い出したくもない嫌なことばかりが頭に浮かんできてしまう。いい思い出もあるはずなのにどうして嫌なことばかり思い出すのだろう?」と思ったことはありませんか?

ここでは嫌なことを思い出す要因と、良いことも悪いこともあるはずなのにどうして嫌なことばかり思い出してしまうのか、そして嫌なことを思い出してしまう理由など、嫌なことばかり思い出す心理について書いています。

嫌なことを思い出す要因

嫌なことを思い出すということがあります。自分が抱えている不快な黒いイメージ、そういう嫌な記憶が人には当然あります。意識化される前の層を前意識と言います。前意識の下の層は完全な無意識の領域です。思い出すということは、その嫌な記憶が意識の世界に出るということです。つまり、それらの記憶は意識化を目指しているということです。

意識化を目指す第一要因は、あくまでも構造仮説的に捉えると、嫌なことを貯蔵する容器(貯蔵庫)が無意識の領域にあるとします。容器に入れられる量には限界がありますよね。その容器が満杯になるとすると、そこから出て行ってもらうしかありません。つまり、これ以上抱えていられなくなったために出てきたということです。

良いことも悪いこともあるはずなのに、なぜ嫌なことばかり思い出してしまうのか?

今、嫌なことを貯蔵する容器と言いましたが、実は無意識の貯蔵庫の中にはいいことも悪いことも、一緒くたに貯蔵されています。よくも悪くも無意識は貯蔵だからです。

では、無意識に貯蔵されている良いこと(その人にとってのプラスのイメージ)とは何でしょうか。例えば「甘えたい」は別に悪いことではありません。人を好きになるというのも悪いことではありません。でも、好きと恥ずかしくて言えないということがあります。甘えたいも、人を好きになるというのも、プラスの領域です。これすらも無意識は一緒くたに貯蔵されているのです。

それらがしっかりと分けられているかというと、決して分けられてはいないと私は考えます。ここにいい悪いはありません。ただ表に出せないという抑圧を受けた一群のものと考えます。するとここに詰まっているのは愛と憎しみです。この貯蔵庫はいい悪いではなく、愛と憎しみの集積庫と考えてみます。ここにプラスマイナスの記号はありません。あるのは表に出せないだけです。「言ってはいけない」「出してはいけない」という言語がふたをします。いわゆる抑圧システムを作り出します。

よくあるのは「好きですと恥ずかしくて言えない」です。これも正に恥ずかしいというストレス、いわゆる抑圧を作ったのです。

中には惚れてはいけないと、「惚れる」という言葉ですら抑圧している人が居ます。「惚れる」を抑圧しないと、やりたい放題になってしまうからです。惚れたり惚れられたり、絶え間がなくなってしまうからです。これは恐ろしいことです。だとしたら、惚れるというこの心的機能は、サイドブレーキを引いてロックして動かないようにしておかないと危険です。そうでないと自分が暴走してしまうからです。誰でも惚れてしまうからです。

ここで知ってほしいのは、愛も抑圧の対象になるということです。本当の無意識というのはプラスもマイナスもない、純粋な言語なのです。惚れるという言葉を抑圧している人がいるのですから。惚れっぽいというのは危険だというのがあるので、それで勝手に出た時にマイナスをつけられてしまうのです。

では最初に書いた自分が抱えている不快な黒いイメージの無意識というのはどうでしょうか。これは破壊に繋ります。だから当然悪しきものと考えたくなります。しかし、破壊が全てマイナスではありません。なぜなら新しいビルディングを作る時は破壊しないと建ちませんし、トンネルだって掘るには山を爆破しないとできません。改革や革命など変える時には絶対的に破壊は必要なので、これは決して全てがマイナスではありません。ですから、元々の破壊の元素記号にはプラスマイナスはついていないのです。使い方で変わるだけです。

知ってほしいのは、全ての記号は、意識界に姿を現わした時に付けた記号だということです。元々の無意識界には、プラスもマイナスもないということを承知してください。プラスマイナスの記号をつけていないものは、容量が一杯になれば必然的に浮かび上がってきます。それが全てマイナスの記号が付くものではないです。

でもなぜマイナスに受け取るかというと、無意識に元々ある抑圧された文字というのは全部「求(求める)」だからです。破壊も愛も全部対象に求めることです。破壊の要求というのは消えてくれ、消え失せろです。一方、愛は誕生、作り出す、育てるという、要するにクリエイティブなエネルギーです。これを総称してフロイトは「エロス」と言いました。一方、破壊のメカニズムを求めて対象を一回無き者にして作り出す前提を「タナトス」と言いました。だから死は誕生の始まり、誕生は死の始まりという言葉になります。

嫌なことを思い出してしまう理由

嫌なことを思い出すというのは、それが何歳であれ、ただ子供時代を送っているというだけのことです。それしか意味しません。なぜならば未来があったら過去を見ないからです。だから嫌なことを思い出すということは未来がないということです。未来がないというのは自分が目標とするアイデンティティが決まってないという意味です。自分はこういう人間になろうという自我理想を描けた時に子供時代を脱出できます。


関連コラム
⇨ PTSD(心的外傷後ストレス障害)のセラピー
⇨ フロイトの「エスが語る」動物と人間の間にあるもの
⇨ 他人の言葉に傷つく自分を変える方法!どうして他人の言葉に傷ついてしまうのか?
⇨ あんな風になりたくない! なのに真似てしまうのはなぜ?

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

大澤秀行
専門家

大澤秀行(精神分析家)

合同会社LAFAERO1(ラファエロワン)

精神分析家として30年の臨床実績があり、現在もメールや電話も合わせると、一日平均10名の精神分析によるセラピーを行っている。

大澤秀行プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

プロのおすすめするコラム

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

生きる意味への気づきをもたらす精神分析家

大澤秀行プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼