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大澤秀行

生きる意味への気づきをもたらす精神分析家

大澤秀行(おおさわひでゆき) / 精神分析家

合同会社LAFAERO1(ラファエロワン)

コラム

【フロイトの発見】人間の中心は無意識で、意識は氷山の一角だった!

2022年5月17日 公開 / 2023年4月7日更新

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

人間の心の中で一番中心、もしくはコアは無意識です。無意識は意識の中で潜伏していて、顔を時々ちょろちょろと出します。どう出すかというと、言葉、体の病気、行為で出します。

この世で最大の発見は、無意識が我々の中心だったということです。正に宇宙物理学のコペルニクス的転回を成し得たのが、精神科学の中でフロイトの無意識の発見だったのです。

無意識とは?


簡単にいえば、無意識とは否定された自我です。言い方を変えれば、自分はこうしたかった、ああしたかった、ところが日の目を見ずに、否定されて抹殺された自我というものが言語となって、意識上には上がれないところに封印されています。まるで地下倉庫の貯蔵品みたいなものです。ですから、無意識の象徴は大体地下(水の中など)に置き換えられます。

このように一度日の目を見ようとしたけれども日陰者になってしまった意識、いわゆる言語というのが意識上に浮上できない、海で言うと深い海底に沈殿してそこに留まっている言語たちです。この言語というのは深海魚みたいなものです。

深海魚は高い水圧で生きているから、水圧がなくなると破裂してしまいます。無意識は意識上に上がってくると破裂してしまって、文字が読めなくなってしまいます。だから捕まえられないのは当たり前なのです。だから潜水と潜水艦、すなわち海に潜るという形で無意識探しは象徴化されます。

◆前意識、深層意識、潜在意識とは?

そのように、無意識というのは言語が映像的には深海魚となって魚となって泳いでいます。浅い部分にあるのを「前意識」とフロイトは名付けました。深くなっていくと「深層意識」と言いました。潜っている意識ということで、全体を「潜在意識」と言います。だからやはり海でしか表現できない内容、世界、これが無意識です。

◆意識と無意識と氷山

意識というのは海面上に突き出た山や島のようなものです。これを氷山の一角と言います。
海の底に隠れているあの氷山の土台部分がいわゆる無意識で、泳いでいる魚はその無意識の中の言語と捉えれば最も近いでしょう。

無意識の出現場所

無意識の言語は潜在しています。何のために? いつか意識化されてこの世に出るために、浮上するためにです。現実界・想像界・象徴界という三つの世界のどこかからか顔を出したいのです。それで機会を窺っています。

例えば、自分は赤いバッグや赤い靴が欲しかったとしましょう。そういう人が精神分析を受けに来ると、赤いバッグや靴が夢に出てきます。夢に出てきた場合は想像界です。ある方の夢にいきなり赤いバッグが出てきたので「赤いバッグって何を思いますか?」と精神分析家が聞くと、自分が若い頃持ちたかったのに持てなかった、正に禁止された赤でありバッグでした。それは街の女になってしまうからだと忌み嫌われて否定された、禁止された超自我の象徴がこの赤いバッグだったのです。これは想像界に顔を出したのです。

現実界に顔を出すというのは、ウインドー・ショッピングをしている時にショーウインドーの赤いバッグに目が留まり、釘付けになった。とても素敵だと見えた。何故このバッグに惹かれたのだろうという形で、衝動買いをする。これが現実界に浮上するという形式です。

要するに、無意識の出現場所は三つ世界があるという話です。

最後に、赤いバッグが象徴界で顔を出す場合です。これは精神分析中に語るという形式です。「私は青春時代悔しかった。母親に、赤のバッグを持つというのは街の女だから下品だと言われて、それを禁止されてきました」と言葉で言います。

三つの経路があるということをまず知って頂きたいです。

精神分析のメリット


精神分析というのはあくまでも象徴界なので、言語化においてです。セラピーという現場で言語で語るという、その形式を精神分析と言います。

しかし、三つあるのならば別に精神分析でやることは3分の1だから、大したメリットはないではないかと思いませんか。別に赤いバッグのことだったら、精神分析まで必要ないと思うでしょう。

ところが、人間が忌避してきた事や物というのは、赤いバッグだけではありません。あいつは憎たらしい奴だ。憎たらしい奴に対して思う言葉は何でしょうか。「殺したいほど憎い」ではないでしょうか。現実界で殺したいほど憎い奴を殺したら、これは殺人罪と言います。夢で殺人する場合には責任は問われません。血みどろの夢を見ます。象徴界で語れば言葉で「あいつをぶっ殺したかった」で終わります。そして自分で気付けなかったもう一人の自分、これを「殺意を抱く私」と言います。人はいつでも殺人兵器になり得るという自分を認識するのです。

ここでメリットが分かります。精神分析のメリットを一言で言うと「行為化しない省エネルギー分析」と言います。現実界は代償が大きすぎます。刑務所に入らなければなりません。ところが、精神分析で語る上には無答責です。そして気付けます。行為化しないので現実に裁かれることもないし、断罪されることもありません。しかし、その心的エネルギーは放出されることで殺意のレベルは下がります。これが精神分析のメリットです。

⇨ 嫌なことばかり思い出す心理。なぜ思い出したくもないのに浮かぶのか?
⇨ 夢分析│フロイト・ラカンの精神分析の手法を臨床の場に活かしたい方
⇨ フロイトの「エスが語る」動物と人間の間にあるもの

この記事を書いたプロ

大澤秀行

生きる意味への気づきをもたらす精神分析家

大澤秀行(合同会社LAFAERO1(ラファエロワン))

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