電力不足や災害時の停電でも光インターネット固定回線を維持する方法

古賀竜一

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テーマ:専門家からの提言と考察


地震や台風、大雨といった自然災害時に、インターネット回線は重要な情報インフラとして重視されるようになりました。災害時だけでなく、今では国際情勢による石油の安定供給が危ぶまれていて、電力供給への不安が増大しています。停電が起きると光などの固定回線が使えなくなる場合がありますが、多くの人は「スマホがあれば何とかなる」と考えています。しかし、過去の災害を振り返ると、スマホだけでは必要十分とは言えないことがわかっています。

スマホに依存するリスク

大規模な災害が発生した直後、通信インフラには一斉にアクセスが集中します。いわゆる輻輳(ふくそう)と呼ばれる状態です。これまでの震災でも送信ができない、通信速度が極端に低下する、といった状況が広く発生しました。

さらに見落とされがちなのが、携帯基地局そのものの電源喪失です。基地局にはバックアップ電源が備えられているものの、その持続時間は無限ではありません。停電が長引けば、やがて通信エリアそのものが失われ、スマホがあってもネットにつながらなくなります。

また、スマートフォン自体にも長持ちしないバッテリー消費という問題があります。今時のスマホは高性能な充放電制御回路を持ち、省電力化が進んでいますが、長時間の連続使用には限界があります。モバイルバッテリーを予備として準備していても数回程度の充電分しかありません。つまり、スマホやモバイルルータなどの回線は「長時間にわたって確実に使い続けられる手段」とは言い切れない弱点があります。

見落とされている足元の固定回線

そこで思い出していただきたいのが、自宅のインターネットの光回線、いわゆる「固定回線」です。

停電になると、当然「家のインターネットも使えなくなる」と考えるのが普通です。しかし、この認識は半分正しく、半分は誤解でもあります。

光回線は、電気信号ではなく光信号によってデータをやり取りしています。そして、その信号を送り出している通信事業者側の設備には、大規模なバックアップ電源が備えられています。もちろん無制限ではありませんが、場合によっては通信インフラ自体は維持されているケースが少なくありません。

ではなぜ使えなくなるのか、理由はシンプルで、自宅のネット機器の電源が落ちているからです。ONU、いわゆる「モデム」やルーターといったネットの回線機器類は家庭用電源で動作しているため、停電時には通電が止まってここで通信が途絶えてしまいます。せっかく光通信が家まで届いていても、ネットの機器で止まってしまうことになります。

ということなら自宅側でネット機器用の電力さえ確保できれば、固定回線がそのまま使える可能性があるということになります。そこで、今注目されている「ポータブル電源」で固定の光回線を利用可能にしてしまおう!というのが今回の提案です。



ポータブル電源とは

ポータブル電源とは、内部に大容量のバッテリーを搭載し、ACコンセントやUSBポートで電力を供給できる持ち運び可能な電源装置です。キャンプや車中泊などのアウトドアシーン、あるいは停電や災害時の非常用電源として幅広く活用されています。外でコンセントプラグがある通常の家電製品が使えるということで、今注目されているアイテムです。

モバイルバッテリーよりも高出力・多機能で、扇風機や炊飯器といった家電製品が使えるのが大きな特徴です。充電方法は家庭用コンセントのほか、専用のソーラーパネルや車のシガーソケットからも給電が可能で、場所を選ばずコンセントを確保できます。

固定回線を回復することのメリット

このポータブル電源から固定回線の機器、Wi-Fiネットワーク機器などへ電源を供給することで、停電時でもこれまで通りのネット環境を使うことが可能になります。光の固定回線を復旧した場合、モバイル回線より以下のような多くのメリットがあります。

1.回線速度が高速であること。
2.通信が安定していること
3.家庭用ネットワークプリンタやその他のネットワークデバイスが今まで通りに使える
4.電話をネットとまとめている場合は電話、FAXが使える。※回線種類による

回線とPC1台程度なら満充電の高容量ポータブル電源で最大約2日程度は連続稼働が可能でしょう。情報収集や連絡、仕事の継続などが可能で、緊急時に八方ふさがりになってブラックアウトするのを防ぐことができます。ソーラーパネルなどで充電すれば停電が長期間になっても続けて稼働可能です。

実際の接続手順


利用方法は極めて簡単です。

1. ポータブル電源を通信機器の近くに設置する
2. 機器の電源プラグを壁のコンセントから抜き、ポータブル電源に接続する
3. 電源を入れ、通信ランプが正常に点灯することを確認する


ネットの機器類は不揮発性メモリに設定値が書き込まれているため、電源が落ちても設定内容は消えません。ですから特別な設定は不要で、通常の電源供給先をポータブル電源のコンセントに切り替えるだけでWiFi環境が復旧します。



注意点
この方法は、すべてのネット回線で同様に利用できるわけではありません。以下の条件ではできない場合があります。

・CATV回線
途中の増幅器が停電で停止すると通信できなくなる可能性があります。

・VDSL方式(マンションなど)
共用設備の電源が停止すると各戸の通信も停止します。

・物理的な損傷
災害による断線や設備破損がある場合は通信は不可能です。局舎・中継設備が生きていることが条件です。

事前に自宅の回線方式を確認しておくことが重要です。

ネット回線維持に適したポータブル電源の選び方

通信維持だけであれば300~500Wh程度の容量でも対応可能ですが、停電中の生活全体を考慮する場合は1000Wh以上のモデルが現実的です。このクラスであれば、通信機器の運用に加えて、PCや照明、小型家電などにも電力を分配でき、停電時の生活の自由度が大きく向上します。

そのほかの注意点としては、通信機器やITデバイスには正弦波出力が必要です。必ず対応しているモデルを選ぶことが必須となります。

データのバックアップと同時に電源のバックアップも必要

停電時にインターネットが使えなくなる主な原因は、回線そのものではなく「自宅側の電源喪失」です。ポータブル電源を活用すれば、条件付きですがこの弱点を補い、固定回線を含めた通信環境を維持できる可能性が高まります。

異常気象や混乱の国際情勢が予想される昨今、正しい情報確保には高速で安定した通信環境が必要です。また、データのバックアップを取っているからと言っても電源がなければ元データ共、利用することも取り出すこともできません。その時点で「詰み」とならないための準備が災害の多い日本では必要です。

通信手段を一つに依存するのではなく、複数の選択肢を持つことが重要です。その一つとして、固定回線の非常時運用を検討する価値は十分にあると言えるでしょう。

筆者の実績 :http://www.kumin.ne.jp/kiw/#ss

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古賀竜一
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古賀竜一(システムエンジニア)

九州インターワークス

ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

古賀竜一プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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