ブルーレイ機器の製造販売終了が語る古いデバイスとデータの危うい未来

古賀竜一

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テーマ:ITで今起きている問題と課題


今月初め、ソニーのブルーレイレコーダー製造終了の報道があったばかりですが、PC周辺機器メーカーのバッファローからもブルーレイドライブの販売終了が発表されました。

ブルーレイドライブ販売終了のご案内
https://www.buffalo.jp/press/detail/20260226-02.html


相次ぐブルーレイ機器の製造や販売終了の知らせは、現代のデータ保存方法が短期間に移り変わっていくことの実情を色濃く反映しています。

ITの歴史上ではこれまでに、データ保存方法の大きな変革の波が何度も訪れました。カセットテープやフロッピーディスクをはじめ、MO、CD-R、DVD-Rなど、消え去っていくメディアに私たちはその都度、翻弄されてきました。

現在では高速なSSDなどのフラッシュメモリやクラウドなど、大容量化と高速アクセス化が進んだ保存方法に移行しています。その進化は以前よりも速く、新しい方式や媒体が次々と登場しては去っていくという状況です。そこで問題になるのは、「データの可用性」が危機的な状態になることの危うさです。

ブルーレイの製造販売中止は、私たちにこれから訪れるかもしれない「デジタル財産喪失の危機」を浮き彫りにしています。

例え今、問題なくデータが保存できていても、それを可視化できる環境やデバイスがこれから先の将来も安定的に維持・確保可能かどうかは、非常に不透明になってきているといえます。

そこで、今回はデータ保存・再生の未来について考えてみたいと思います。



これからもデータの可用性が確保できるのか

「いつでも、どこでも、確実にデータが使える」という「可用性」。クラウドが急速に発達し、高速大容量化も進んで私たちはかつてないほど手軽にデータの管理が行えるようになりました。しかし、これは「サービスが存続していること」が大前提の、極めて依存度の高い利便性です。

物理メディア(BDやDVD)は、一度書き込めば手元で管理する安心感がありました。しかし、メディア媒体や再生機器の製造販売が終了し、規格自体が「過去の遺物」となれば、いくらディスクが手元にあっても中身を取り出すことは困難になります。データの寿命よりも、「そのデータを抽出する手段」の方が先に尽きてしまうリスクに、私たちは直面しています。

デバイス機器の消滅と接続インターフェース規格の衰退

データを保存していても、それを読み取る装置や接続規格が失われれば、実質的に取り出せなくなります。ここに大きな問題があります。

最も懸念されるのは、メディアを読み取る「デバイス(装置)」や「インターフェース規格」が姿を消していくことです。

たとえばフラッシュメモリは、現在ではSDカードが主流ですが、以前は多くの規格が乱立していました。その結果、ユーザーは規格ごとに対応するリーダーを探さなければなりません。過去のメディアを読み込もうとすると、当時の規格に対応した装置が必要になります。しかし、そのような機器はすでに製造・販売が縮小しており、xDピクチャーカード対応のリーダーは入手が難しくなっています。さらに、DVD-RAMに対応したドライブも、市場から姿を消しつつあります。

接続規格の変化も同様です。かつて一般的だったIDE (PATA)接続のHDDや、ビデオカメラで広く使われていたIEEE 1394は、変換アダプタの入手が難しくなり、最新のOSでは動作保証も期待できません。物理的に接続できなければ、どれほど貴重なデータであっても取り出すことはできません。物理的な断絶は、そのままデータの消失につながります。

現在では通販サイトを探せば、無名メーカー製の対応機器や変換アダプタが見つかることもあります。しかし、それらの多くは品質や信頼性に不安があり、大切なデータを安心して扱えるとは言い難いのが実情です。現実的には、データ抽出のための「一度きりの使用」を前提とした、いわば一発勝負の手段になってしまうことが少なくありません。

データ面の問題点:フォーマットの互換性

仮にデバイスが確保できたとしても、次に立ちはだかるのが「ソフトウェアの壁」です。データには「ファイル形式(フォーマット)」がありますが、特定の機種でしか再生できない独自規格や、古いコーデック(圧縮技術)で記録された映像は、最新のOSでは開けないことが多々あります。

特に日本国内の録画文化において、著作権保護技術(コピーガード)が施されたデータは、再生環境の制約が極めて厳格です。メディアの製造終了は、こうした「鍵のかかったデータ」を永遠に開けられなくする、デジタル的な「封印」に近い意味を持ちます。

また、最近話題になったブルーレイ再生できないPCの問題があります。Intel製CPU(第11世代?第12世代以降)を搭載したPCで再生できなくなったという問題です。これには様々な要因が絡み合っているのですが、規格の古さや衰退以外でもデータの可用性が損なわれるという象徴的な事例です。

これからは定期的なデータ管理の見直しが必要

私たちは今、利便性と引き換えに、データの「永続性」をクラウドという手元にない不確かな実体に委ねています。しかし、ブルーレイの製造販売終了が語るのは、「保存すること」と「再生できること」は全く別物であるという厳しい現実です。

今後、大切なデータを守り続けるためには、以下の「デジタル・マイグレーション」の意識が不可欠になるでしょう。

1.デバイスの確保と温存、保存を行いつつ新しいデバイスや媒体にも移行する
2.古い規格やインターフェースを定期的に見直し新しいものへ都度移行する
3.様々な保存形態で分散してデータを保存する

絶対的な保存媒体など存在しないという前提に立ち、技術の波に乗り遅れないようデータを「メンテナンスし続ける」ことこそが、デジタル時代の新しいリテラシーなのかもしれません。

筆者実績:http://www.kumin.ne.jp/kiw/#ss

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古賀竜一(システムエンジニア)

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ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

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