「ライフサイクルマネジメント」:コンクリートの劣化
約100年ぶりの修理が進む奈良市の「正倉院」の屋根瓦の下地について、宮内庁は9月11日、大正時代に瓦を全面的に新調した西側で腐食が進んでいたと発表しました。天平時代の瓦を残していた東側は傷みが少なかったようです。宮内庁は、『大正の瓦の焼きが甘く、湿気がこもりやすく蒸れ腐りの状態だった。』と分析し、西側の瓦を新たに制作して葺くとのことです。
今回の大改修は、屋根瓦の破損により、屋根の一部にコケや雑草が繁殖し、雨漏り等が懸念されたためです。屋根瓦や金物が全て撤去され、下葺の「土居葺き」や下地の状態が露わになりました。100年前の大改修で、「土居葺き」や銅板のカバーが施された「こけら板」の長さは1尺2寸で、厚み1センチの「サワラ」が使用されていたようです。
「土居葺き」とは、屋根の野地板の上に、水に強く桶などによく使われる「サワラ」、若しくは「杉板」などの薄板を葺くことです。
瓦と屋根の裏板の間にある「土居葺き」は、瓦から漏れる雨水などが屋根の裏板まで届かないようにする防水の役目をしています。
また、薄板をリズミカルにトントンと釘を打っていくことから、「トントン葺き」とも言われています。
《讀賣新聞2013.03.15夕刊》
タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所