「建築って何?(45)」マンション「大規模修繕工事」に要する費用と「修繕積立金」

高塚哲治

高塚哲治

テーマ:建築の仕組み

 1回目の「大規模修繕工事」では、50万円/戸程度で済ましているマンションから、100万円/戸以上かけているマンションもあり、千差万別です。これは工事項目と仕様の違いなどからです。資産価値が向上していると周辺からも評価されているマンションは、1回目の「大規模修繕工事」で1戸当たり100万円、2回目の「大規模修繕工事」で1戸当たり200万円、3回目の「大規模修繕工事」で1戸当たり300万円程度を投じています。経年とともに対象工事が増え、手間とお金がかかる傾向が見られます。3回目の「大規模修繕工事」を迎える築30年から36年あたりまでで、躯体を除く仕上材/建築二次部材/設備などの部材が耐用年数を終えて入れ替わることを意味しています。それぞれの部材が入れ替わった時点で耐用年数がゼロにリセットされます。
 各戸の「修繕積立金」に置き替えてみると、36年トータルで600万円/戸の修繕費が必要となることから、毎月14,000円/戸を積み立てなければなりません。 ㎡単価にすると、75㎡のファミリータイプでは一戸当り毎月187円/㎡となります。国土交通省のマンション総合調査に基づくと、「修繕積立金」の平均値が一戸当り毎月10,000円台に乗ったものの、まだ不足しています。さらに、今後は「省エネ」などに配慮した改修も求めら、旧耐震基準のマンションでは「耐震補強」にも取り組むとなると、一戸当り毎月200円/㎡から300円/㎡必要といった試算になります。
 詳しい専門家を交えて、じっくりと検討/計画したいものです。

近年の「大規模修繕工事」費用(参考値)


設計監理/調査鑑定/CM(コンストラクションマネジメント)
タウ・一級建築士事務所

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高塚哲治
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高塚哲治(建築家)

タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所

大手設計会社での豊富な経験を生かし、多くの欠陥住宅問題を手がけ、日本ではまだなじみの薄いCM(コンストラクションマネジメント)を広く世間に発信し、遂行している

高塚哲治プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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