「アウアーバッハス・ケラー」:ドイツ「ライプチヒ」
現在、フランス/ドイツなどで壮大な姿を見せる「ゴシック建築」の誕生には、壁の上まで直接に建設資材を持ち上げることが可能な「起重機」の登場が重要な役割を果たしています。この「起重機」が、建築に大きな変化をもたらしています。
また、「足場」は単に資材を置く場ではなくなり,「石工」の作業のために利用されるようになったことから、きわめて簡単なものへと変化しました。地面から延々と組まれた「足場」ではなく、壁に引っ掛かっている台秤のような足場で済むようになったのです。
作業員が垂直方向へ移動できるように、前もって「らせん階段」が作られていたため、作業場までは容易に上ることができました。水平方向の移動には、厚い壁をくり抜いて作った通路が利用されることもあったようです。
「交差ヴォールト」の建設も、古代ローマ時代のように地面から丸天井にまで伸びる「足場」は不要となり、壁から壁へと架け渡された「足場」が用いられるようになり、広い作業場が確保できたため、大掛かりな木製の担架(アーチを築造する時、石材などを積み立てる支えとする型枠)も容易に扱うことができるようになりました。
もう一つの大きな利点は、「足場」が簡単に分解できたため、建設作業の進捗に応じて再利用することができることです。
「ゴシック建築」時代の建築家は、「足場」の問題を重視し、「足場」を簡略化/縮小化しようと努めていたのです。
現代の建築技術と何ら変わるところありません。
《添付図は「大聖堂ものがたり」:創元社から引用》
ゴシック建築画像