「建築って何?(25)」建築物の【修繕/更新/改修】

高塚哲治

高塚哲治

テーマ:建築の仕組み

 住宅を含めた建築物は、竣工時から時間と共に機能や美観上の劣化が始まります。通常、劣化に応じて「修繕」「更新」という行為を繰り返しながら機能や美観上の維持に努めることになります。ところが、そのレベルが一定の性能水準以下になった時点で、使用上不都合を生じることが多くなります。外壁面の防水材が劣化し、漏水が始まるなどの現象を実用上支障のない状態まで維持保全することを「修繕」と呼び、漏水を止めることがこれに相当します。また、老朽化に伴う機能や美観の劣化を、竣工時の性能水準や美観まで回復させる行為は「更新」といわれる行為です。劣化した扉や空調機を新しいものに取替えることなどがこれに相当します。
 一方、建築物に対する要求は時代と共に変化します。特に設備面では技術の発展に伴い、従来の技術では難しいとされた機能も低コストで対応可能となる場合もあります。新しい機能を有する建築物が増えると、要求に対応できなくなるなど建物としての機能上・外観上の陳腐化が目立ち、周辺建築物との競争に支障が出るようになります。そこで、要求される平均的な性能水準まで新たな機能向上を図る必要が生じます。この行為を「改修」と呼んでいます。テナント誘致のため、引き違い窓の外装をアルミカーテンウォールに交換したり、空調システムを全体空調から個別空調へ替えることなどが「改修」行為に相当します。
 住宅を含めて建築物を長持ちさせるために、適切な「修繕」「更新」「改修」を行いたいものです。



ライフサイクルマネジメント/調査鑑定/CM(コンストラクションマネジメント)/設計監理
タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所

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高塚哲治
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高塚哲治(建築家)

タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所

大手設計会社での豊富な経験を生かし、多くの欠陥住宅問題を手がけ、日本ではまだなじみの薄いCM(コンストラクションマネジメント)を広く世間に発信し、遂行している

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