「粗利益アップとコスト削減」を実現させている・・・ 「部下の教育」という最強最大の戦略をとれ!
電気代、人件費などコストの高騰と、仕入原価の高騰。そして人手不足。
ウィズ・コロナ(コロナと共存する世界)で、人の動きも新たな方向に向かっています。消費者も徐々に新たな生活様式を取るようになって来ているように思います。
「買い物時間や手間の削減」と言った便利さからネットスーパーを活用する消費者が増えていることや、外食の機会を増やしていることから、スーパーマーケットの来店客数の減少が現実のものとなってきています。
これらのことから、中小零細のスーパーは、今までに経験をしたことのない厳しい経営環境になっていますが、「少なくなった客数は、元に戻ることは無い」と考えて、今後の経営戦略と店舗運営の見直しを行う必要があると思います。
今回は、弊社のコンサルティングの現場で起こっている事例を上げながら解説を加え、「売上の伸びない時代の業績向上策」のヒントをお伝えできたらと考えています。
パート社員だけの力で大幅利益アップ
過去の記事で紹介した、私のクライアントのある店舗のパート社員(全員女性)だけで運営している惣菜部門の事例です。
16%以上あった米飯類のロスを、短期間に8%、そして、1ケ月半後には、5.7%に改善しました。年換算では、200万円程度粗利益拡大に繋がります。
欠品(チャンスロス)を減らし、見切ロスや廃棄ロスを削減して、売上も確実にアップさせています。
しかも、私が、15分程度の改善方法のアドバイスを、たった1回行っただけなのです。
そして、店長はこの期間、彼女たちの改善行動に一切関与していません。
この事例の大きなポイントは、彼女たちはマネジメントの潜在能力を持っていたということです。
ただ、それを引き出す社内の仕組みが無かったということです。
私は、この事例の様な中小零細の会社は、日本中に山ほどあると考えています。
このチームにはその後、2回目のセッションで一つの課題を与えています。
ムダな作業が減って、気持ちにも時間にも余裕が出たところで、「美味しいポテトサラダの新商品」を開発して、売上アップの記録を作るということです。
ポテトサラダの売上が伸びれば、冷蔵惣菜トータルの売上と粗利益は確実にアップします。
結果を出すチームと、出せないチームの違い
弊社のコンサルティングの現場でも、改善がスムーズに進み良い結果を出せる会社と、なかなか改善が進まない(変わらない、変われない)会社があります。
それを分ける大きな要因の一つが、組織とリーダーシップの問題が大きいと言えます。
なかなか改善が進まない組織は、過去の成功体験を引きずり、各リーダーも変化を好みません。
自分達の遣りたいことを遣って、それ以外の余分なことはしようとしません。組織が縦割りの場合も多く、面倒なことことには我関せずの構えです。
当然、組織のコミュニケーションが取れていなく、チームとしての相乗効果など望めません。
一方、改善が進む組織は、目的とゴールを全員で理解し共有しています。
チームとして働き、皆がアイデアを出し合って方法を探り、目標に向かって進む様なイメージです。
リーダーとメンバーのコミュニケーションが日々取れていて、「遣るべきこと」「進むべき方向」を全員が正しく理解しています。失敗しても、話し合いで次の手立てを皆で考えて行動します。
一人ひとりが主体的に考えて動き、リーダーもリーダーシップを発揮します。
この様な場合、改善過程で記録的な結果を出すことも少なくありません。
中小のスーパーは、社長もパート社員も同時に話を聞くこと、
この厳しい経営環境の中で、中小零細の企業が、生産性を向上させるための業務改善を進めていくことは容易ではありません。
そこで、私が実行しているやり方が、全員同時教育です。
先述の惣菜部門の場合も、社長も部長もバイヤーも店長も、そして、担当のパート社員全員に集まってもらい、同時に伝える方法です。
現場の課題や解決策について、第三者の私の話を全員で聞いてもらいます。
そのことによって、全員が同じレベルで目線を合わすことが出来ます。
①今までのやり方の良いところと問題点
②新たなやり方と得られる成果
③遣る意味と、目標設定
などを聞いてもらい、社員全員のベクトルを合わせてもらい、行動のための役割分担などを決めてもらいます。
そうすることで、一人ひとりの強みを引き出し、行動のムダが減り、チームとしての力は飛躍的に向上します。
そして何より、成功の確率が確実に高まります。
リーダーのマネジメント力の低さで業績が低下する
結果が思う様に出ないというのは、上述の様な行動を取っていない場合が多くあります。
要するに、リーダーのマネジメント力の低さです。
マネジメントと言っても、難しいことではありません。
私はマネジメント力とは、「目標に向かって進み成果を出す」ということについて、最善の方法を考え行動し、必要に応じてコントロール(修正)を加えながら、目標を達成するリーダーの力量のことだと考えています。
カリスマ的な経営者が良い結果を出すということも有るでしょうが、そういう人は決して多くいないと思います。
重要なことは、メンバー全員の力を借りて行動を起こすということです。
また、このメンバーとは、パート社員やアルバイトも含めた全員のことです。
リーダーが一人で悩み苦しむというイメージではありません。
そこからは、なかなか良いアイデアは出ませんし、多くの時間をムダに使ってしまうことにもなります。
また、社内に無い発想(思考)を持っている、第三者の専門家の話を聞くということも、リーダーの重要なマネジメント力でもあります。
労働分配率が高く、パート比率の高いスーパーマーケットという業態は、何もやり方を変えていかなければ、そのことが『弱み』になってしまいます。
しかし、その人たちが潜在能力を発揮してくれれば、逆に『強み』に変えることが出来るのです。
働いた時間に対して世間並みの時給を払うのではなく、時間当たりに生み出してくれる付加価値に対して、世間以上の時給を払うという発想(思考)が生産性を高めていくことに繋がります。
この厳しい競争の中の経営では、特に重要な考え方だと思います。
この記事を読んでくれたあなたは、何から取り掛かりますか・・・。