甘いものが無性に欲しくなる理由

野口由美

野口由美

テーマ:病気、症状の解説


「甘いものが好きだから、つい食べてしまう」
そのように思っている方は多いのではないでしょうか。

けれども、甘いものを無性に食べたくなる背景には、単なる好みだけでなく、低血糖やエネルギー不足が関係しています。

私自身も、低血糖が改善する前後で、食べたいものが変わりました。

以前は、カボチャの煮物や煮豆、酢の物が大好きで、私は健康的な食べ物が好きなのだと思いこんでいました。

ところが、低血糖が改善すると、甘く味付けされた煮物を、以前ほど食べたいと思わなくなったのです。

振り返ってみると、食材そのものよりも、そこに含まれる甘さを求めていたのかもしれません。

エネルギー不足になると、甘いものが欲しくなる



血糖値が下がり、体がエネルギー不足になると、すぐに血糖値を上げられるものを食べたくなります。

ケーキやクッキー、チョコレート、甘い飲み物だけではありません。
甘く煮たカボチャや豆、砂糖を使った酢の物なども含まれます。

本人は、
「これが好きだから食べている」
と思っています。

しかし、実際には、エネルギー不足を補うために体が甘いものを求めているのです。

甘いものを食べると、血糖値が上がり、一時的に元気になったように感じます。

ところが、血糖値が急に上がったあとには、再び下がりやすくなり、体はまたエネルギーを補おうとして、甘いものを欲しがります。

この繰り返しによって、
「私は甘いものが大好き」
という感覚が、さらに強くなるのです。

甘いものが好きだから食べるのではなく、食べることで、さらに甘いものが欲しくなる循環に入ってしまうのです。

いつも飴をなめている



不眠のご相談で来院された方に、一日中、飴をなめている方がいました。
甘い煮豆も大好きで、よく食べるそうです。

飴をなめると血糖値はいったん上がりますが、その後に血糖値が下がると、体は血糖値を維持しようとして、アドレナリンやコルチゾールなどを分泌します。

このような血糖値の変動が夜間にも起こると、眠りが浅くなったり、途中で目が覚めたりする原因の一つになります。

そこで、飴をやめ、低血糖を起こしにくい食事に変えていただきました。

熟睡できるようになると、その方は、
「以前ほど、煮豆を食べたいと思わなくなりました」
と話されました。

煮豆が嫌いになったのではありません。

低血糖が改善し、体が甘さを強く求めなくなったことで、「どうしても食べたい」という欲求が弱くなったのです。

食べたいものから、体の状態が見えてくる



甘いものを食べること自体が、悪いわけではありません。
好きなものを楽しむことも大切です。

ただし、
「甘いものを毎日食べずにはいられない」
「空腹になると、お菓子を一気に食べてしまう」
「いつも飴やチョコレートを持ち歩いている」
「最近、甘いものが無性に食べたくなる」
という場合は、単なる好みだけでなく、体の状態にも目を向けてみるとよいでしょう。

仕事が忙しくなっていないか。
食事の間隔が空きすぎていないか。
睡眠不足が続いていないか。
強いストレスがかかっていないか。

甘いものを欲しがる自分を責めるのでもなく、欲求のままに食べ続けるのでもなく、体からのサインかもしれないと考えてみるのです。

食べたいものの変化に気づくことが、自分の体の状態を振り返り、体調を整えるきっかけになることがあります。

食べたいものは、自分の好みだけで決まっているわけではないと知ると、食事の見方も変わってくるかもしれません。

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野口由美
専門家

野口由美(医師)

クリニック千里の森

患者一人ひとりの個性を重視した「患者ファースト」の治療方針のもと、薬に頼らない医療を提供。近代西洋医学の最前線で培った豊富な知識、自身の体験を裏付けに、幅広い選択肢の中から最適な治療法を提案します。

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