診察は「こころ」と「からだ」両方の視点から
「なぜ病気になるのか」
「症状は薬で抑え、腫瘤は摘出する」
それだけでは、本当に治ったことにはならないのではないか。
高校生のころから、ずっと疑問に思っていました。
薬や手術でいったんよくなったように見えても、病気になった本当の原因を取り除かなければ、また病気になってしまうのではないかと考えていたのです。
医学部では、薬や手術をはじめ、全身の病気について学びます。
けれども、
「なぜ病気になったのか」
「病気を繰り返さないためには、何を変えればよいのか」
ということを学ぶ機会はありませんでした。
そんななか、「全人的医療」という考え方に出会います。
全人的医療とは、病気だけを見るのではなく、病気を抱えるその人全体をとらえる医療です。
強く共感しましたが、そのような医療はどこで身に着けられるのか、どのように学べばよいのかはわかりませんでした。
まずは西洋医学を身につけなければならないと考え、内科、放射線科、心療内科で経験を重ねます。
臨床、学会発表、論文作成に懸命に取り組み、医学博士、専門医も取得しました。
しかし、頑張れば頑張るほど日々の仕事に追われ、いつの間にか、あれほど求めていた全人的医療から遠ざかっていたのです。
自分自身が病気になる
そのような多忙な生活を続けるなかで、私はがんを患います。
入院と自宅療養を経験し、自分の人生や働き方を見直す機会を得たはずでした。
ところが、病気休暇を終えて仕事に復帰すると、再び以前と同じように忙しく働き始めてしまいます。
そして数年後、別の病気が見つかることになるのです。
なんと皮肉なことでしょう。
学生のころから
「病気になった原因を見つけ、生活や考え方を変えなければ、治ったことにはならない」
と考えていたにもかかわらず、医師である私は、自分の生活を変えることすらできず、再び病気になり、自分の考えを自分の体で証明する結果になってしまったのです。
「病気になった本当の原因は何だったのだろう。
病気になってまで、私の体は何を伝えようとしているのだろう」
その答えを求めて、常勤医を辞め、西洋医学以外のさまざまな補完代替医療を学び始めました。
実際に治療を体験し、心に響くものがあればセミナーに通い、多くの方から話を伺いました。
そうして、たどり着いたのが「統合医療」でした。
統合医療とは、西洋医学にさまざまな補完代替医療を組み合わせ、その方に合った方法を提案する医療です。
病気だけを見るのではなく、食事や生活習慣、心の状態、生き方も含めて、病気を含めたその人全体を見る医療です。
「私がずっと探し求めていたのは、統合医療だった」
長い遠回りの末に、ようやく答えを見つけることができました。
こんなにすばらしい医療があることを、多くの方に知っていただきたい。
その思いから、統合医療クリニックを開設しました。
病気は「本来の自分」を取り戻すためのメッセージ
病気は、
「本来の自分を見失っていませんか」
「自分の人生を生きていますか」
と知らせているのかもしれないと感じています。
私自身、病気にならなければ、常勤医を辞めることも、補完代替医療を学ぶことも、統合医療にたどり着くこともありませんでした。
病気はつらい経験ですが、自分の生き方を見直し、本当に進みたい道へと方向転換する機会を作ってくれたのではないかと感じています。
患者さんも、ただ症状がよくなるだけではなく、病気をきっかけにして、そのかたにとって大切なことに気づいていただいて、よりその方らしい人生を歩んでいただきたいと願いながら、診察に向き合っています。



