管理職による部下評価とフィードバックの実態

真田直和

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テーマ:人事制度

ALL DIFFERENT株式会社とラーニングイノベーション総合研究所が2025年5月20日~7月17日の期間で、管理職531名を対象に「管理職意識調査」を行い、その結果を公表しています。

管理職の半数以上が「部下へのフィードバックを躊躇した経験がある」と回答しました。

1.管理職の「評価者としての自身の課題」  (部下はいないと回答した人を除く341人の回答)
・チーム内で極端な評価をつけることをためらってしまう 27.9%
・評価時、一人ひとり十分に時間をとることができていない 27.0%
・評価の期間全体で評価せず、直近の部下の状況に引きずられてしまう 25.2%
・部下に嫌われたくないために、厳しい評価から逃げている 15.8%
・部下に対する情や好き嫌い、苦手意識で評価が影響してしまう 14.1%
・会社の評価基準を十分に理解せず、評価している 7.3%
・なぜその評価にしたのか理由を具体的に説明できない 4.1%
・特になし 15.8%
・わからない 3.8%

2.フィードバックすることを躊躇したことがあるか
・はい 55.7%
・いいえ 44.3%

3.部下へのフィードバックを躊躇した理由  (「2」で「はい」と答えた188人対象)
・部下の反応に対して不安があるから 54.2%
・適切な伝え方がわからなかったから 34.7%
・自分が本当に正しいか自信がなかったから 28.9%
・もう少し様子を見てからでも良いかと思ったから 26.3%
・自分の伝えるスキルに不安があるから 22.6%
・フィードバックする時間がないから 4.7%

調査結果から読み取れること


この調査結果から管理職の評価・フィードバック業務における3つの大きな課題が浮き彫りになっています。
1.評価の公平性・客観性の欠如
2.評価スキル・知識の不足
3.心理的障壁・時間的制約

特に深刻な問題点


半数以上(55.7%)の管理職がフィードバックを躊躇しているという事実は、組織の人材育成機能が十分に機能していないことを示しています。
最も多い躊躇理由が「部下の反応への不安(54.2%)」であることから、管理職自身が心理的な負担を感じており、評価・フィードバックが本来の目的である「部下の成長支援」ではなく、「避けたい業務」になっている可能性があります。

この調査結果は、多くの企業が抱える共通の課題を示しています。
重要なのは、管理職を責めるのではなく、適切なスキルとサポート体制を提供することです。
評価・フィードバックが部下の成長と組織の発展につながる前向きな活動となるよう、計画的に改善を進めていくことをお勧めします。

◇調査結果の詳細は下記でご覧いただけます
https://q.bmd.jp/91/266/17716/88105

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専門家

真田直和(特定社会保険労務士)

真田直和社会保険労務士事務所

解雇、残業、労働時間など「人」に関する労務問題を4万件以上解決。また、大企業から中小企業まで幅広い業種の人事評価制度設計のコンサルティング実績も豊富です。

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