評価制度はコミュニケーションツール
岸田総理は施政方針演説の中で日本型職務給の確立と表明した。
具体的な内容は6月までに日本企業に合った職務給の導入方法を類型化し、モデルを示すようです。
ところで、職務給とはどのようなものなのでしょう。
簡単に言えば「労働者の職務を基準として決められる賃金形態」です。
欧米やヨーロッパでは広く採り入れられています。
では、今後、日本でも普及するのでしょうか。
現状、日本企業の大半は勤続年数や年齢に応じて賃金が決まる年功型の賃金形態(職能給)を採用しています。
この制度により賃金は上がらず、男女の賃金格差も是正されない、
そして職務に応じてスキルが適正に評価されないなどの不満があるはずです。
そのため、年功型賃金や終身雇用を見直す動きが加速しています。
しかし、本当に職務給制度に見直すことで、これらの不満が解決するのでしょうか。
高度経済成長期には、企業は従業員を大量に雇い入れ定着させる必要がありました。
そのため、終身雇用制度や勤続年数に応じて賃金を上げていかなければ人材の確保が難しかったのです。
しかも、経済が停滞する今日、採算が合わない仕事は淘汰されるかもしれません。
では、その仕事に従事する労働者は職種転換をせざるを得ません。
また、勤続年数による過去の業績に対しての評価はなく、
現在の業績にのみ評価されるようなことになると、将来が不安ですね。
職能給か職務給かではなく、バランスの良い人事制度が必要と考えます。
まさに、施政方針演説で取り上げられた「日本型職務給」に期待したいところです。