第33回 お客さまの「反応」が最大の教師である

「業務が忙しすぎて、新しい企画を考える時間がない」。そう嘆くリーダーは、一日の中で膨大に存在する「隙間時間」を無駄にしています。 隙間時間はただの待ち時間ではありません。その短い時間に、どのような行動を組み込むかで、店舗に新たな付加価値を生むかどうかが決まります。 第37回は、店長が隙間時間を活用し、新たな付加価値を生み出す技術を身につけた物語です。
前回、定量的な数字目標と定性的なスタッフのモチベーションを見事に両立させた店長。店舗は非常に順調に動いていました。 しかし、利益体質が向上し、新規顧客も増えたことで、店長業務そのものの量が増え、再び「時間が足りない」という悩みを抱えていました。「スタッフが自律的に動いてくれるようになったので現場は回っています。しかし、私自身が事務作業やイレギュラー対応に追われ、次の一手を考える時間が取れません。どうすればさらに時間が作れるのでしょうか」店長は、「時間を捻出する」という発想で、スケジュールを詰め込んでいました。私は彼に伝えました。 「『忙しい』と言っているうちは、効率の定義を間違えている。時間は作るものではなく、すでに存在している『隙間』の密度を上げることだ。」
【「効率化」から「付加価値創造」へ】私は店長に、これまでただの休息や、緊急の対応で埋めていた隙間時間を、「付加価値を生み出す時間」に変えるためのアクションプランを提案しました。
5分の「思考の観察」: トラブル処理が終わった直後の5分、すぐに次の作業に移るのではなく、「なぜ今のトラブルが起きたか」「どうすれば根本的に防げるか」をメモに取る。
10分の「スタッフ対話」: 書類作成の手を止め、売場を一回りし、一人のスタッフと「今の課題」について直接会話する。これにより、次の施策のヒントを得る。
15分の「顧客観察」: 休憩時間の代わりに売場の隅に立ち、顧客の視線や動きを観察し、新しい陳列アイデアを考える。
これらは、どれも短時間ですが、店舗の未来を変える「新たな付加価値」を生む行動です。
【隙間時間が店舗の武器になる】店長は、この行動をルーティン化しました。すると、不思議なことに業務時間は増えていないのに、店舗の改善スピードが上がりました。「これまで『企画を考える』というのは腰を据えて行うものだと思っていましたが、隙間時間にアイデアをメモし、それをスタッフに伝えるだけで、次々と新しい施策が実現していくんです」店長は、まとまった時間を作ることにこだわらず、短い時間を最大限に活用することで、店舗の生産性を飛躍的に高める技術を身につけました。
【コーチの視点】リーダーの時間は、組織の中で最も価値のある資源です。その時間を、緊急ではない事務作業や、ただの待機時間で無駄にしていませんか? 一日のスケジュールを見直し、5分、10分の隙間時間に「店舗の付加価値を高める行動」を計画的に組み込んでください。その積み重ねが、組織の成長速度を劇的に変えます。
次回は、「第38回 「チームワーク」から「経営改善」へステップアップ」です。


