第18回 「やらされている仕事」から「自分で決める仕事」へ

何か問題が起きるたびに新しい「ルール」を増やしていませんか? 「ミスをしたら、報告書を書かせる」「遅刻をしたら、罰金を科す」。これらはすべて問題の解決を目的とした「対策」のつもりでしょうが、多くの場合、スタッフを縛り付け、組織のやる気を削ぐだけの「押し付け」になっています。 第29回は、「対策」と「ルール」の違いを理解し、本質的な問題解決のための「思考の整理」についてお話しします。
前回、データに基づく仮説・検証によってトラブルを「先読み」する力を身につけた店長。店舗のトラブル対応は劇的に冷静になりました。 しかし、店長は新たな悩みを持っていました。 「問題が起きるたびに、再発防止のために新しいルールを作ってきたのですが、今度は『ルールが多すぎてスタッフが覚えられない』『ルールを守るだけで精一杯で、接客に集中できない』という声をスタッフから聞くようになったんです」店長は、「対策を立てなければ」と焦るあまり、本質的な原因の解決ではなく、ルールという「枷」を増やすことで、スタッフを管理しようとしていたのです。私は店長に言いました。 「対策とルールを混同するな。ルールは、本質的な対策の結果として自然に生まれるものであるべきだ。」
【「本質的な対策」と「一時的な処置」を区別する】私は店長に、問題の本質を掴むための「思考の整理」を教えました。
本質的な対策(根本解決): ミスが起きないような「環境」や「仕組み」を作ること。
例:価格間違いが起きるなら、レジのシステムを変える、あるいは値札のチェックを自動化する。
ルール(行動の指針): 本質的な対策を行った上で、スタッフに守ってほしい最低限の行動ルール。
例:商品のバーコードを必ずスキャンする。
店長は、「価格間違いが起きる→報告書を書かせる(ルール)」という対応をしていましたが、これは全くの本質外でした。これではミスは減りません。 「まずは、なぜ価格間違いが起きるのかのプロセスを見直し、価格変更のタイミングをスタッフの業務負荷が少ない時間帯に変更する(対策)」をして初めて、新しいルールは意味を持つのです。
【思考の整理が「ムダなルール」を削る】店長は、現在店舗にあるすべてのルールを見直しました。 「このルールは、本当に問題を根本的に解決しているか?」と問いかけ、ただの形式的なルールや、現場を縛り付けるだけの「ムダなルール」を大幅に削減しました。代わりに、スタッフ一人ひとりが「何のためにこの作業をしているか」を考えられるよう、目的を言語化することに時間を使いました。結果、スタッフは「ルールだから守る」のではなく「お客様のために、この作業を正しく行う」という自律的な行動を取るようになり、店舗の生産性は飛躍的に向上しました。
【コーチの視点】ルールが増え続ける組織は、病んでいます。 それはリーダーが、スタッフを信頼できず、すべての行動を管理しようとしている証拠です。 対策は「問題を根絶する仕組み作り」です。ルールは、その仕組みを動かすための最小限の行動指針です。今一度、あなたの店舗のルールを見直し、スタッフを解放してください。
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