なぜ、あのクリニックのスタッフは定着率が高いのか?
院外事務長として職員の求人、面接のサポートをさせて頂いております。昨年の夏ごろからは職員の求人募集をこれまでの有料媒体で行っても募集がないというケースもふえてまいりました。今回は職員採用についてお伝えしたいと思います。
<相談事例>
「今年に入ってこれまで応募のあった採用媒体から応募がほとんどなく、求人広告をしても応募者数がゼロになるケースが増えてきました。他のクリニックでも人の採用が厳しくなっているのでしょうか?クリニックの採用の現状と採用に成果をあげている工夫事例を教えてもらいたい。」という開業5年目の大阪府下、整形外科クリニックの院長からの相談です。
<回 答>
☆今後、人を採用できる仕組みを持つクリニックが勝つ!
採用の現状として、医療業界に限らずすべての業種・業界で全国的に人手不足が大きな問題になっています。
今年に入って特に顕著にみられるのがこれまでの募集媒体で求人募集をしても応募が激減しており有力広告媒体で募集を出しても応募人数がゼロか一人しかない。しかも、面接アポイントをとっても当日無断キャンセルで面接ができない。やっとのことで採用しても、入職後、仕事がこれまででは考えられないぐらいのできないレベルに加え仕事に対する姿勢や態度も悪いなど、既存のスタッフに悪い旋風を巻き起こして院内の組織風土が悪くなる事例も多く見受けられます。良い人を採用することが極めて困難な現状となっております。
今後10年でクリニック経営において人材が採用できず、クリニックを継続できないという労務倒産するクリニックもあると考えられますので今後、定期的に人材を採用のできる仕組みをもつクリニックが勝ち組になると弊社では予測しております。
これまでクリニックがやってきた採用というのはスタッフの退職に伴い、今すぐ入職してもらえる人を対象に求人広告を出して、面接に来てもらって即、採用するという流れでした。もはや、この流れで採用活動をしても、成果を得られる可能性は低下し、今後、10年でゼロに近づいていくと思います。なぜなら、特にクリニックはこれまで企業の求人数が少なかったから何とか採用できていたものが企業の求人募集が増えることでクリニックより賃金条件、勤務時間、有給休暇を含む休暇など圧倒的に良い求人が多くあるからです。これからは一般企業と採用で競わなければいけない時代になります。夕方6時には仕事を終えることができる。給与は23万円以上、有給休暇もある程度自由にとれる。など条件の良い会社の求人が山のようにある中で、自院に勤務したいと思う理由がどこにあるのか。この理由を作っていかない限り、おそらく、採用に苦労し続けるクリニックになってしまうかもしれません。
☆人を採用できる仕組みを持つクリニックの工夫事例
人を採用できる仕組みを持つクリニックの工夫事例を下記にご紹介いたします。
1.新卒採用と子育て終了後のミドル採用(30代40代の女性を対象とした正社員募集)を行う
2.経歴にこだわらないなど、採用する層を他社と異なる層に設定する
3.面接ではなく、就職説明会を多く実施し、応募時の敷居をさげる
4.職場見学会や職業体験など自院の業務をみてもらう機会をつくる
5.応募があってから最低でも24時間以内に電話かメール連絡を入れ接点をもつ
6.高校、専門学校、短大の就職課へ足を運び学校主催の説明会に参加する
7.面接設定、選考結果の通知、内定出しなどは他社より早く対応する
8.OB,OGの先輩社員に会ってもらい自院の魅力づけを行なう
9.ホームページに採用ページをつくってPRする
10.動画配信サイトに自院の説明動画を公開する
11.フェイスブック、ブログ、ツイッターなどSNSで採用情報を拡散する
12.地域限定、時間限定など“限定正社員制度”を活用する
13.卒業生(円満退職したスタッフ)に働ける時間帯で自由にパート勤務してもらう
14.職員の友人・知人を自院の食事会に呼んでもらって“つながり”をつくる
15.賃金、有給休暇など、待遇でアピールできるところをつくる
16.看護師、理学療法士など専門職はダブルワーク可で非常勤募集を行う
ここで紹介したのは、人の採用を仕組み化しているクリニックの実践ノウハウの一部です。クリニックにとって職員は大切な経営資源ですので職員を採用するために自院でできる独自の工夫を実践して頂くことをご提案致します。