空き家と住まいの終活を考えるシリーズ②~空き家数・空き家率の推移について~
(はじめに)
住まいの終活のご相談の中には、「空き家を売却したいけど売れなく」という売却に苦戦する話をお聞きします。空き家の売却を決め、かつできるだけ早く手離したいけど買い手がなかなか見つからない状況も少なくないようです。
国などは、民法の共有関係のガイドラインを見直すなど、スムーズな売却に向けた環境整備を進めています。しかし、法制度等が為されたとしても、そもそも市場性が低い地域や物件固有の要因が障害となれば、売り方の知恵が求められます。
今回は、こういった空き家の売却を考えてみます。
(市場性が低い空き家とは)
本コラムで市場性が低いとは、売りに出しても滞留期間が長引き、買い手がなかなかつかない物件です。あるいは度重なる売出価格の値下げで、ようやく売却先が見つかる物件です。つまり、市場換金性が著しく劣っている空き家のことです。
この理由は、地域性とその空き家の個別的要因です。人口減少が著しい過疎や、高度成長期に開発された郊外のニュータウンも交通利便性の悪さなどから売却には苦戦しがちです。
また、土地面積が広すぎると、使い切れずに持て余し、価格の総額も嵩んで経営されます。そして、接道していない土地などそもそも建物が建築できないケースもあります。
不動産会社の収入源は、売買契約が成立してからの仲介手数料です。成約価格が高いほど不動産会社の収入は増えます。そのため、売りやすい物件や高く売れる物件が優先されます。反対に、そうでない物件は取り扱いたくない、或いは、優先順位が低いのが、多くの不動産会社の本音だろうと思います。
(空き家バンクもいろいろ)
市場性が低い空き家の売却方法の一つに、空き家バンクの利用があります。空き家の売却や賃貸を希望する所有者等から申し込みを受付け、定住等を目的に空き家を希望する者に紹介する地方公共団体と不動産会社などが連携した制度です。そのユーザー数は、コロナ渦による地方拠点への関心の高まりもあり、増加傾向が見られます。
例えば、㈱LIFULが運営する空き家バンクでは、ユーザー数を増やす試みとして、「地域」の選択に加え、「住みたい暮らし」という選択肢も設けて物件検索ができるようになっています。
空き家バンクは全国で現在、600を超える自治体で設立されています。積極的に活動しているところもあれば、そうでないところもあり一様ではありません。マッチング件数が多い空き家バンクは、住まい情報だけでなく、仕事やコミュニティに関する情報提供や相談に応じ、積極的に住み替えを支援するといった傾向が見られます。
検討にあたっては、物件情報だけではなく、どのような支援活動をしているかということも是非確認して下さい。
以上