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菊池浩史

「住まい×消費者×教育」のハイブリッドを目指す専門家

菊池浩史(きくちひろし)

住まいの消費者教育研究所

コラム

建築基準法の道路もいろいろ

2023年1月12日

テーマ:住まい教育・消費者教育

コラムカテゴリ:住宅・建物

私たちが建築行為をするには、対象地が建築基準法の道路に2m以上、接道していなければならないのは既にお伝えした通りです(同法43条1項)。そして、建築基準法の道路はいくつかの種別に分類されます。今回は、それを概観しましょう。

下表の通り、建築基準法の道路は全11の種別に分かれます。外観だけで見分けるのは難しく、最もポピュラーなものは、42条1項1号の、県道や市道と呼ばれる道路法上の道路です。
【建築基準法の道路種別】
道路種別

実際の道路の写真をいくつか掲載します。
【道路法上の道路】
道路法の道路
【開発道路】
42-1-2
【既存道路】
42-1-3
【計画道路】
42-1-4
【位置指定道路】
42-1-5
【2項道路】
二項道路

このうち、比較的馴染みが薄いと思われる計画道路と附則5項道路について説明します。

計画道路は、道路法、都市計画法その他の法律による新設や変更の事業計画がある道路です。道路事業者の申請によって、2年以内に事業の執行が予定されるものとして特定行政庁が指定した道路です。

具体例で言いますと、例えば都市計画道路は、都市計画決定から事業認可を得て、用地の買収、道路の整備工事、そして工事完了後に道路として供用が開始されます。この整備工事に着手する2年前から着手までの2年間が計画道路として扱われます。工事着手後に開発道路(42条1項2号)、供用開始後は道路法の道路(42条1項1号)と道路種別が変わります。
【計画道路】
42-1-4②
【開発道路】
42-1-2①

続いて附則5項です。幅員4m未満の道路でも、建築基準法が施行された時点(昭和25年11月23日)に建物が立ち並んでいた道で、一定の基準を満たすものは建築基準法の道路とみなされます。この場合、原則として道路中心線から水平距離2mの線を道路との境界線とみなし、道路部分には建物は建てられません。

このような道は一般に2項道路(42条2項)に該当しますが、自治体により異なる場合があるので確認が必要です。例えば、大阪市では、道路法の道路で幅員4m未満のものの多くが、道の中心線から各2mを隔てた線に建築線を設けており、その建築線の位置に道路の位置指定があったとみなしています。つまり、大阪市では道路法上の道路の内、現況幅員4m以上を「道路法の道路(42-1-1)」、4m未満を「附則5項道路」と呼んでいます。
【附則5項】
附則5項

このように建築基準法の道路もいろいろです。但し、写真を見てお分かりになるように、外観だけではその判別は容易でありません。そこで役所での調査が必要になってきます。

次回は、建築基準法の道路ではないけれど、例外的に建物が建てられるケースを見ていきます。

以上

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