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菊池浩史

「住まい×消費者×教育」のハイブリッドを目指す専門家

菊池浩史(きくちひろし)

住まいの消費者教育研究所

コラム

高齢期の住替えをサポートするコンサルティングに必要なものは何か

2022年1月27日

テーマ:住まいの終活

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: まちづくりバリアフリー 住宅相続対策

〇はじめに
高齢期にはどこで暮らしたいか、という問いに、多くの人は自宅に住みたいと答えます。それでも心身が衰えて今の自宅に住みつづけることが難しくなれば、郊外の戸建住宅から駅近のマンションへ、あるいは高齢者住宅・施設へ住み替えるケースが見られます。この時、住み替える人に対し、どのようなサポートが求められるのでしょうか。

そこには住み替え先の選択と現在の自宅をどうするかという問題があります。高齢期の住替えは特に失敗は避けなければなりません。その為には、住宅問題に加えて医療介護を含めたライフプランの検討が一層重要となります。

今回は、住み替え先のサポート、現在の自宅のサポート、そして顧客本位のサポートについて考えていきます。

〇住み替え先のサポート
若い世代などに比べて残された時間は長くなくやり直しが難しくなるため、高齢期の住替えでは、今後のライフプランや住まい観をしっかり見つめることが特に大切になります。そのため老後の資金計画や要介護状態になった場合の住まい方について、事前に家族としっかり話し合うことをお勧めします。

本来住まい選びは高い買い物ですが、とりわけ高齢期の住まい選びは時間的・経済的な理由から慎重さが求められます。個人差はあっても心身の衰えは阻めません。「いつから、だれと、どこに住み、どのような暮らしをしたいか」を話し合う時間を持ちたいものです。

その上で住み替え先を一般の住宅か、高齢者専用の住宅かという類型の選択があります。一般住宅には住まい方や行動の自由はありますが、体調の急変や事故時、あるいは要介護状態になった場合の不安が残ります。一方で高齢者専用の住宅は、心身の衰えに対し一定程度の備えがあるという意味で安心感はあります。但し、生活の自由という点で一般住宅に劣ることは否めません。

そこでコンサルティングにおいては、一般住宅と高齢者専用住宅の共通点と相違点をしっかり理解した上で選択できるようにサポートすることです。特に高齢者専用の住宅には様々なタイプがあり、それらの特徴やリスクを正しく理解することは簡単ではありません。その場合に高齢者本人やご家族に要望を聞くのは当然ですが、言葉に出さない潜在的なニーズを把握する必要もあります。その上で一人ひとりの高齢者に適った提案が可能になります。

また高齢者専用の住宅では、利用できるサービス内容や費用負担を正しく高齢者やご家族に理解して頂くことも必要です。サービスには高齢者専用の住宅自らが提供するもの以外に、外部サービスもあります。更に基本料金に含まれないオプションのサービスがあります。まずはコンサルタント自身がしっかり把握していなければなりません。

〇現在の自宅のサポート
住替え後の自宅が空き家になりやすいことは各調査結果からも明らかになっています。経済的損失が発生する放置空き家にさせない、あるいは空き家の期間を最小限に留めることは顧客の利益につながります。それには事後対応より事前対策です。

自宅は売却だけでなく、それ以外の選択肢も当然あります。維持管理しながら引き続き保有する選択もあります。例えば、高齢者専用の住宅に住み替えたものの、そこでの生活に馴染めないことも起こり得ます。その時に自宅が残っていれば戻ってくることができます。様々な選択肢を提案できるか、顧客の利益を第一に考えることができるか、その能力が問われます。

〇まとめ
高齢期に住み替えを検討している高齢者や家族に寄り添うコンサルティングをするには、双方向の個別対応ができること、住まいだけでなく暮らし全般に纏わる専門知識を有すること、実績と経験がもたらす信頼性があること、だと考えています。そして、何よりも顧客と心を通じることのできるコミュニケーション能力はマストです。

この記事を書いたプロ

菊池浩史

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菊池浩史(住まいの消費者教育研究所)

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