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菊池浩史

「住まい×消費者×教育」のハイブリッドを目指す専門家

菊池浩史(きくちひろし)

住まいの消費者教育研究所

コラム

住まいの終活①

2021年2月8日 公開 / 2021年2月18日更新

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: まちづくり相続税都市計画

この10年くらいの間に終活という言葉が広く使われるようになりました。財産管理や相続、葬儀やお墓など、人生の終盤に向け様々な課題に対し総合的にサポートする終活アドバイザーといった資格も誕生しました。

当初は葬儀や遺品整理など亡くなった後の準備を指していた終活も、自分の置かれている状況を客観的に把握しつつ最期を迎えるための事前準備という意味にまで及ぶようになりました。「自身の人生を振り返る」「残される家族へのメッセージを残す」「今までお世話になった人への思いをつづる」「やり残したことや叶わなかった夢を書き出す」など、その目的は様々です。

終活の具体例を挙げてみます。
比較的多いのがエンディングノートの作成です。エンディングノートとは、自分の死後に家族にかかる負担を減らすために、人生の終末期に備えて自分の希望を書き留めておくノートです。正式な規格などはなく、書かなければならない項目が決められているわけでもありません。また残された家族が揉めないように準備するものが遺言書の作成です。遺産相続といっても資産ばかりではなく、借金などがある場合はそれらも肩代わりしなければなりません。遺言書の内容次第ではトラブルに発展するケースも存在します。その他にお墓の種類や選び方、葬儀の方法などを決めておく、といったことがあります。

終活ブームの背景にあるのは、高齢化とそれに伴う死亡数の増加です。平成17年には死亡数が出生数を上回り、28年にはその差が30万人以上になりました。いわゆる多死社会に突入したわけです。このような事情を反映して終活をテーマにした映画(「エンディングノート」)の公開や終活に関連する多くの書籍も出版されています。

出生数と死亡数の推移

(出所)総務省「第68回日本統計年鑑平成31年」

終活には次のようなメリットがあります。
1つ目は、自分の意思を家族に伝えることで、家族と死に対する考え方が共有化できることです。当初は家族に戸惑いがあっても、死を前提とした様々な準備を進めることができます。
2つ目は、残された老後生活が充実することです。人生のゴールが死であるとすれば、曖昧な考えで迎えるよりも残りの時間を有効に活用できるはずです。
3つ目は、遺産相続のトラブルを回避できることです。金銭が関わる遺産相続では、「誰がどれだけ受け取れるか」が明確になっていないとトラブルに発展するおそれがあります。遺言書を残すことで相続する家族との話し合いがやりやすくなります。

次回は、終活と住まいの関係を考えていきます。

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