日本のコーチングの現状<No.10> セッションでコーチは何をみているのか(1)
改めてコーチングとは 「クライアントが目標達成に必要な知識や能力を自主的に身につけることができるように、コーチが対話を通じてサポートしていくこと」 です。
“コーチする” あるいは “コーチング” というと、かつてのスポーツ競技のイメージをもって、ある専門領域で優れた技術をもっている人が後輩にその技術を教えたり、アドバイスや指導したりすることを思い浮かべるかもしれません。しかし私たちビジネスコーチは、クライアントの目標達成に必要な課題の解決方法そのものをお伝えするわけではありません。
クライアントが心から達成したい目標は何か?そのために必要な知識や能力は何か?それをクライアント自身が気づくように、さまざまな角度から質問していきます。そして、必要な知識や能力を身に着けていくために、クライアントが自ら考え、工夫し、学び、行動していけるようにサポートしていきます。主人公はあくまでクライアントです。コーチは、クライアントの潜在的な能力を信じ、それを引出し、その人が持っているすべての能力を使って行動して達成できるように応援していきます。
コーチはクライアントと対話をしています。しかしプロのコーチの会話はとても自然ですから雑談や世間話のように思うかもしれません。しかしプロのコーチがしているのは、あくまでもクライアントの目標達成を目的とした意図のある対話です。目標達成に向けてクライアントにとって必要な要素に焦点を当て、今後どのような行動をしていくのかを明らかにしていきます。
目標達成に必要な要素というのは、人によっても目標の内容によっても違ってきます。知識であったり、スキルであったり、強みや価値観、考え方かもしれません。また信念、思い込みかもしれません。そもそも目標が明確でなかったり、本来の目的に照らし合わせると実は違う目標を設定していたということもあったりします。目標達成に必要な要素というのは、そういったことをさします。