日本ゴルフ界伝説のヒーロー“寅さん”のゴルフマナー

谷光高

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テーマ:ゴルフの歴史やエピソード

日本ゴルフ界の伝説的ヒーロー“寅さん”

今の日本男子プロゴルフでの第一人者といえば、松山秀樹プロを筆頭に石川遼プロの名前が上がります。少し古くなると青木功プロ、尾崎将司プロ、中嶋常幸プロのAON時代。
それよりも以前、第二次大戦後の復興期の日本ゴルフ界を支えたプロとして、林由郎プロ、小野光一プロらと共に中村寅吉プロの名前が上がります。

今回は中村寅吉プロ(1915~2008)、愛称「寅さん」のお話しです。

寅さんは、レギュラーツアー通算25勝、シニアツアー通算12勝という素晴らしい戦績もさることながら、2020年のオリンピック会場予定の霞ヶ関カンツリー倶楽部において、1957年に開催されたゴルフの国別対抗戦“カナダ・カップ”で、小野光一プロと共に日本代表として出場。2人は団体戦を優勝し、寅さん自身も個人戦で優勝しました。

当時、優勝記念パレードも催されて日本中が歓喜に湧きました。
カナダカップ
そして、これが日本のゴルフ発展の導火線となり、第1次ゴルフブームとして全国に旋風が巻き起こります。
当有馬カンツリー倶楽部においても、このブーム期だった1960年9月に全国で137番目のゴルフ場として誕生しました。1958年から1962年の5年間で、全国に165コースものゴルフ場が誕生しています。

“寅さん”はゴルフのエチケットも超一流

そんな日本ゴルフの英雄である寅さんはゴルフだけでなく、エチケットマナーについても超一流の考え方を持っていました。

寅さんが書いた1997年ベネッセ発刊『中村寅吉「気」のゴルフ』からのお話しです。

寅さんが所属していた程ヶ谷カントリー倶楽部の会員が、コース内でプレー中にタバコの吸い殻を“ポイ捨て”したまま歩き出しました。
ポイ捨て
それを隣のホールでプレーしていた別の会員が見ていました。そして、走り寄ってきて言いました。
「ここは我々の庭なので。皆できれいにして使おうとしているのに、タバコを捨てたままにしておくとは会員にあるまじきこと。拾いなさい」

叱責された会員は「ムッ」とした表情をしましたが、言い訳ひとつせず、言われた通り吸い殻を拾いました。その場は一件落着です。

そして何日か経ちました。
すると、叱責されたメンバーがフェアウェイを歩きながら、タバコの吸い殻ばかりか、紙くずのようなものまでせっせと拾っては用意してきた袋に入れていたということです。
「たしかにゴルフ場は自分の家の庭と同じなのだから、ゴミが落ちていれば拾うのが当たり前だ」と注意された後、反省したそうです。

昔は、上に立つ人が模範行動をするから自然と他の人が見習った

こんな“ポイ捨て”話は、寅さんがいた戦前の程ヶ谷カントリー倶楽部ではよくあったそうです。
それでも、プレーしながら周りをよく観察していると、偉い人ほど、それとなくゴミを拾ったり、雑草が生えていれば引き抜くという姿が見られました。

寅さんは書いています。

「上に立つ人が模範になることをやるから自然と他の人も見習う。程ヶ谷のエチケットマナーを重んじる伝統はこんなふうにして今でも守られていると思うんだね。守るべきことを守らない人が程ヶ谷のコースへ行けば堅苦しいに違いない。

だけどゴルフのエチケットって、本当はどういうことなんだろう。一度、程ヶ谷へ行って教えてもらおう、という気になれば見るもの聞くもの、みんな勉強になると思うね。勉強のつもりなら注意されても腹が立たない。注意するほうもしやすい。そうやって良い関係が保たれていく。

しかし今の日本のゴルフ場(1997年当時)は「良い関係」が崩れて「悪い関係」が幅を利かせている。多分、これは注意する人がいなくなったからだと思うね。」

この状況は、2015年の現代まで続いています。

「さわらぬ神にたたりなし」

悪いことは悪いと叱責する人が少なくなったこと、またうっかり注意すると暴力沙汰になってしまうかもしれません。下手をすると殺人事件にまで発展しかねません。
みんなが見て見ぬふりをして、マナー違反を見過ごす。
ゴルフに限らず、あらゆる場面で世間全般がそういう風潮になっています。
マナー違反を見たとき
「良い関係」とは、「叱り上手に叱られ上手」、「教え上手に教わり上手」です。反対に「然り下手に叱られ下手」、「教え下手に教わり下手」では「悪い関係」が蔓延するばかりです。

「良い関係」はゴルフ場に行って学ぼう!という風潮になって欲しい!

まずはゴルフから。
ゴルファーのみなさんには、ぜひゴルフのエチケットマナーを考えてみて欲しい、そしてゴルフ規則の第1章エチケットの項を読んでもらいたいと思います。

弊社有馬カンツリー倶楽部では、寅さんがいう“エチケットを学ぶなら程ヶ谷に行け”のように「ゴルフのエチケットマナーを学ぶなら有馬へ行け!」という存在になりたいと思っています。そして、世間全般「さわらぬ神にたたりなし」の風潮を少しでも取り除いていければと願います。
勉強会
ゴルファーのみなさんが、正しい知識を、楽しく、そして気持ちよく学べるゴルフ場になれるように、これからも務めていきます!

■参考文献
「中村寅吉 気のゴルフ」中村寅吉著:ベネッセ
「痛快!ゴルフ学」鈴木康之・杉山通敬・藤岡三樹臣著:集英社
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谷光高
専門家

谷光高(ゴルフ場経営者)

新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部)

一部の人が楽しむゴルフから、誰もが気軽に楽しめるゴルフへ。日本のゴルフ文化を変えるため、ゴルフ初心者へのサポートや子どもたちへのレッスン、学校の授業などを行い、初心者にゴルフを楽しむ機会を提供している

谷光高プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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