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コラム
ゴルフは14世紀から変わっていないシンプルなゲーム
2015年4月14日 公開 / 2019年1月2日更新
ゴルフは複雑怪奇?
ゴルフのマナーやルール、そしてビジネスとの接点まで、ゴルフについて様々な角度からこねくり回して書いています。
少しでも「ゴルフ」の存在価値を高めようとしているわけですが、そのために自分でも「ゴルフ」というものが、「スポーツ」なのか「レジャー」なのか「ゲーム」なのか、はたまた「仕事のツール」、それとも「自己啓発ツール」というべきものなのか、何が何だかわかないくらい複雑怪奇なものに思えてきました。
スポーツのなかでも唯一、フィジカルの差が出ないので、老若男女が一緒に楽しめるスポーツ。しかし、プレー中にアルコールを飲めるスポーツ?も他にはありません。(ご注意を!)
ゴルファーは皆“善人”であるために審判を必要としていないのに、「卵を産む」など“ズルをする方法”がいくつも事例として存在しています。そのためゴルフ規則は、本来「救済」のためにつくられたはずなのに、「ズルを許さない」ためのものと多くの人に思われています。
「最近の若いゴルファーはマナーを守らない!」と憂いているゴルファーが、最低限守るべきマナーを明記している世界共通のゴルフ規則を「一度も見たことがない」ということもよく聞きます。
ビジネスや社交の場として有用だからと「ゴルフ」が好まれているのに、別の視点では、接待に使われるような「ゴルフ」はやっちゃダメだと言われています。
そのひとつとして、国家公務員は、自分の費用を負担する場合でも、利害関係者と共にゴルフや旅行、遊技(麻雀など)をすることはできません。これは国家公務員倫理規定第3条(禁止行為)7項に定められています。
■国家公務員倫理規定 8つの疑問
そもそも「ゴルフ」って一体なんなのでしょうか?
ゴルフはシンプルなゲームだったはず・・・
最近ゴルフに異常なまでにハマっている有馬カンツリー倶楽部の男性キャディー(24歳)がいます。
彼がキャディーとして入社した当初は、色白で少しポッチャリ、見るからに「体育会系じゃないでしょ!」という風貌でした。もちろん、それまでゴルフをまったくしたことはありません。どうしてそこまでゴルフにハマり込んでいるのか不思議でなりませんでした。
そんな彼に「ゴルフのどこがそんなに楽しいの?」と聞いてみました。
すると、「始めたころは、ボールにクラブが当たって遠くに飛んでいくだけで楽しくて。それが、今は単純にベストスコアが一つでも縮むことが楽しくて楽しくて!」と満面の笑顔で答えてくれました。
いたってシンプルな答えです。
“ボールを遠くまで飛ばす楽しさ!”
“スコアをひとつでも少なくホールアウトする楽しさ!”
結局、いろんな理由をつけても、ゴルフの楽しさやハマる理由はシンプルなんですね。
これは、「ゴルフ」というゲームが始まったときから不変の楽しさではないでしょうか。
ゴルフのはじまり
「ゴルフ」の起源には諸説ありますが、ゴルフが発展していったスコットランドでは、14世紀ごろ、リンクスで羊飼いの少年が始めた、「先の曲がった棒切れで石ころを打ってウサギの穴に入れる」という遊びが発展したものと伝えられています。
しかし、これを裏付ける資料や文献はありません。
「ゴルフ」の存在を証明できる世界最古の記録は、スコットランド王ジェームズ2世が議会に命じて、1457年に発布した「フットボールとゴルフの禁止令」といわれています。
1457年ごろといえば、日本は、室町時代で銀閣寺を建立した8代将軍足利義政の時代にあたります。
当時、スコットランドはおとなりのイングランドと犬猿の仲で、絶えず小競り合いが行われていました。いつイングランドと戦争になるかわからないときに、武術や弓術の訓練をおろそかにしてフットボールやゴルフに打ち興じているのは、「けしからん!」ということです。
その頃の「ゴルフ」が現在のような競技形態に近似していたかどうかの明確な記録はありませんが、少なくとも550年前には、禁止令が出るぐらいに、国中を挙げて老いも若きもゴルフで遊んでいたものと想像されます。
しかし、この「フットボール&ゴルフ禁止令」は、さっぱり守らなかったようです。
1471年にジェームズ3世が、そして、1491年にもジェームズ4世が、それぞれ罰則を強化して同様の禁止令を発布しても効果なし。
挙句の果ては、禁止令を出した張本人ジェームズ4世自身がゴルフに魅入られてしまい、それ以降「ゴルフ禁止令」が発布されることはなくなりました。
このスコットランド王ジェームズ4世は、世界史上初めてゴルフを愛した王様と言われています。
スコットランドの海岸各地の緑地帯に、市民の娯楽として根をおろしたゴルフは、ますます発展し、ジェームズ4世の子ジェームズ5世、そしてその娘、有名な悲劇の女王メアリー・スチュアートにゴルフ熱は継承されていきます。
1587年、イングランドのエリザベス1世との争いに敗れ、反逆罪により斬首の刑に処せられた悲劇の女王メアリー・スチュアートは、史上初の女性ゴルファーだったと言われています。さらにゴルフに熱中したばかりに、暗殺された夫のことをないがしろにしたという伝説まで残っています。
このメアリー女王の息子ジェームズ6世は、1603年、イングランドとスコットランドの初代統一王となり、ジェームズ1世として大ブリテン全土を収めることになりました。
このジェームズ1世という人は、あらゆる王室の中で最も熱心なゴルファーで、イングランド王位に即位し、スコットランドからイングランド宮廷に移ったとき、ゴルフクラブを携えてきたと言われています。
いたってこの単純な穴入れ遊びに、時の王様をはじめ多くの人がのめり込んでいったのですね。
長い間、ゴルフルールが成文化されなかった理由
そんなゴルフに世界最古の13条ルールが定められたのが、1744年。
1457年のゴルフ禁止令から287年後も経ったのちに、ようやく初めての規則が成文化されました。この間、成文のルールがなかったのです。
スポーツが競技として成立した時期というのは、その競技のルールが確立したときであると考えます。ゴルフではなぜ、ルールの成立が遅れたのでしょうか?
ゴルフの初期の時代において、ゴルフは私的にプレーされてきましたが、公的な競技大会が開催されなかったこと、また初期ゴルフの競技形式がマッチプレーだけであったことが、その理由だと、多くのゴルフ史家が結論づけています。
1744年以前においても、小さなマッチプレー競技が行われていたと言われています。
したがって、ゴルフルールもかなり整備されていたものができていたに違いないと考えられます。
そして、1744年にスコットランドのエジンバラ市参事会が、アマチュアゴルファーの大会を企画し、賞品には銀製クラブを寄贈し、いわば公的なゴルフ競技大会を開催するにあたり、
競技運営の必要上から「オノラブル・カンパニー・オブ・エジンバラ・ゴルファーズ」というゴルフクラブが、これまでに整備されてきたゴルフルールをまとめて成文化したと考えられています。
まとめられたルールといっても、たった13条。
この10年後の1754年に「セント・アンドルーズ・ソサエティ・オブ・ゴルファーズ」、のちのロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ・オブ・セント・アンドルーズ(R&A)が創設され、その時にクラブで定められたルールは、10年前の13条ルールがそのままそっくり採用されています。
当時においては、この13条さえあれば、マッチプレーのゴルフ競技には十分だったわけです。
■参考文献
「ゴルフ、その神秘な起源」井上勝純著:三集出版
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