「ディボット・スティック」誕生ストーリー  第三話

谷光高

谷光高

テーマ:ゴルファーとしての心得とマナー

2013年10月、弊社が推進するゴルフマナー啓蒙活動の一つとして、ディボットツール&ティー「ディボット・スティック」を開発し、販売を始めました。
2015年1月現在で累計25万本、42のゴルフコース、4つのゴルフ団体、そして10社の企業に利用されるに至っています。

弊社有馬カンツリー倶楽部は、昭和35年(1960年)の開場から今日まで、レストラン、コース管理、キャディーに至るまで人材派遣や業務委託に頼ることなく、ひたすら生真面目にゴルフ場運営だけを続けてきました。
そんな有馬カンツリー倶楽部が、なぜ「ディボット・スティック」をつくったのか、そして、なぜうるさいまでにゴルフマナー、ゴルフマナーと言っているかを少しお話したいと思います。

前回 第二話のつづき

サンフランシスコで訪れた名門ゴルフコース

2013年1月、私用で訪れたアメリカ西海岸サンフランシスコ。
そこで運命の出会いがありました。

滞在中、サンフランシスコ在住の知人に無理にお願いして、プライベート(会員制)ゴルフクラブ『レイク・マーセッド・ゴルフクラブ』を見学させていただくことになりました。
急だったのでプレーはなしです。
見学といっても、コースはゴルフカートで全18ホールを案内してもらい、クラブハウスの中も全て案内していただきました。
レイク・マーセッド ゴルフクラブ
コースを見ると、その日は日曜日でメンバーとその家族だけのプレー日。日本のような5人乗りゴルフカートを使ってプレーしている人は誰ひとりいません。プレーヤー全員がキャディバッグを積んだキャリーを転がしながらの「歩きプレー」です。

思わず案内してくれているメンバーの方に聞きました。
「誰も乗用のゴルフカートには乗らないのですか?」
すると「カートに乗るのは、おじいちゃん、おばあちゃんだけ。他は誰も乗らないわ」と、還暦を過ぎたであろう女性メンバーの方が笑顔で答えてくれました。

この『レイク・マーセッド・ゴルフクラブ』は、比較的フラットなコースですが、アップダウンのあるホールもあります。日本で乗用カート慣れをしている人は、けっして楽ではないでしょう。ゴルフに対する考え方の違いというか、国民性の違いを感じました。

「一本足ディボットツール」との出会いと、その驚愕の修復方法!!

レイク・マーセッド・ゴルフクラブ』のクラブハウス内プロショップカウンターにそれはありました。
鉛筆、マーカーの横に何か見たことがないプラスチックの硬質素材でできた1本足の“モノ”が置いてありました。
ゴルフを分かっていない私は、この“モノ”を見て「ボールの位置に差しておけば、遠くからでも分かるマーカーかな?」と思った程度でしたが、なんとなく気になりました。
そして、たった“1個”だけ日本に持ち帰りました。
ピッチプロ ゴルフ
日本に帰って、土産話とともに当倶楽部支配人にこの“差して置けば遠くからでもよく分かるマーカー”を見せたところ、「これはマーカーじゃないよ。ボールマークを直す道具だよ!」と言われました。
もちろん支配人は、私と違ってゴルフに精通しているので、「いや、1本は意外と直しやすいよ。太目のティーペグなんかは、グリーンフォークよりも直しやすいぐらい」ということです。

持ち帰ったモノの裏に社名があったので、インターネットで検索をしたところ、この製品は「ピッチプロ・ゴルフ(PitchPro Golf)」というメーカーブランドのディボットツールということが分かりました。
ピッチプロ ゴルフ ディボットツール裏
このディボットツールは、アメリカを中心にカナダ、オーストラリアなどにも販路を広げていましたが、日本を含むアジア(※最近シンガポールに1件有)にはまだ入って来ていませんでした。

サイト内にディボットツールの使い方動画がありましたが、これを見てビックリ!



なんと「ボールマーク周辺に抜き差しするだけで修復できる!」と外人さんが言っているではありませんか。

ボールマークの周辺から無理に中心に寄せたり、中心を持ち上げたり、ねじったりして、芝の根を切りながら直す必要がないとまで言っているではありませんか!

それなら実際に試して見よう!ということで、すぐに試しました。
なんと本当に抜き差しするだけで直るじゃないですか!

今までの道具に不満がありました

なぜ、ここまで驚くかというと、今までの修復方法に不満があったからです。

私は長くコース管理の仕事をしていました。
ベントグリーンの芝を管理する中で、「従来のグリーンフォークでは、きれいにボールマークを直すのが難しい」という思いを強く持っていました。
グリーンフォークを使った修復では、どうしても回復が遅くなり、散水や雨の多い時期には、ボールマーク跡に藻やコケが生えることも多く、芝の生育を阻害することがありました。
ボールマークに藻類
ベント芝に出来たボールマークの中心部(患部)は枯れます。周りから芝を寄せて、患部を覆い被せたとしても、時間が経てば、また患部が表面に出てきます。そして患部は黒くなって膜を張ったカサブタのようになり、回復を遅らせるのです。
コース管理の時はこれを嫌って、最初に枯れる部分を抜き取ってから修復するようにしていました。



しかし、ボールマークを抜き差しするだけで修復できる道具となると話は違います。

何度も差す必要があっても、それはエアレーション(空気を通すこと)を行っている作業と同じで、カサブタのように患部を固結させることなく、新芽が出やすくなります。さらに根を切ることもないので、患部の回復はぐんと早くなるはずです。
pitchpro golf
それから数日観察してみると確かに回復が早い!黒い膜のような状態にもならない!
ボールマークが出来てから修復までの時間が早ければ早いほど、回復は早くなります。

また、抜き差しするだけなので、非力な人でも楽に修復ができます。

そこで、どうにかしてこの1本足のディボットツールを、有馬カンツリー倶楽部で導入したい!と考えました。

つづく

※欧米では、ボールマーク修復具の総称を「Divot Repair Tool(ディボット・リペア・ツール)」といいます。日本では「グリーンフォーク」という商品名が、総称となってしまっています。そのため一本足(スティック)型の商品も「一本足のグリーンフォーク」などと呼ばれています。「フォークなのに1本足?」という矛盾がでるので、ここでは「ディボットツール」という言い方を総称としています。
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谷光高
専門家

谷光高(ゴルフ場経営者)

新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部)

一部の人が楽しむゴルフから、誰もが気軽に楽しめるゴルフへ。日本のゴルフ文化を変えるため、ゴルフ初心者へのサポートや子どもたちへのレッスン、学校の授業などを行い、初心者にゴルフを楽しむ機会を提供している

谷光高プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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