「自己管理・進捗管理できない」後継社長の原因と改善策
同族.家族経営の会社で、後継社長が本来果たすべき「先代と従業員の橋渡し役」としての機能を果たさず、むしろ社員側に立って先代を批判するような言動を取るケースが見られます。
この行動は、組織の信頼関係は大きく揺らぎます。社長は経営の軸であり、価値観の統合者であるべき存在です。なぜ後継社長はその役割を果たせず、分断を助長してしまうことになるのか、その原因と、手っ取り早くできる改善策を、以下に整理したいと思います。
原因①:社員からの支持を得たいという焦り
後継社長が就任直後、社内の信頼を得るために「社員の味方である」という姿勢を強調しすぎると、先代との対立構造を演出してしまうことがあります。これは「自分の立場を確立したい」という焦りからくる行動です。
改善策:支持の獲得ではなく「信頼の構築」に軸を移す
社員の支持を得るために先代を批判するのではなく、「両者の理解を深める」ことに注力します。たとえば、先代の経営判断の背景を社員に説明しつつ、社員の声を先代に届けるなど、双方向の理解を促す行動を取ることで、社長自身の信頼が自然と高まります。信頼は対立ではなく、調整によって築かれるものです。
原因②:先代との関係性に未解消の葛藤がある
親子や親族間の感情的な葛藤が残っている場合、後継社長が無意識にその不満を社員との会話の中で表出させてしまうことがあります。これは経営ではなく、個人的な感情が影響している状態です。
改善策:経営と感情を切り分ける「対話の場」の設置
先代との関係性を整理するために、第三者(コンサルタントやファシリテーター)を交えた定期的な対話の場を設けることが望ましいです。経営課題と感情的な葛藤を切り分け、冷静に話し合うことで、後継社長は「経営者としての視点」を取り戻しやすくなります。感情の整理は、経営判断の質を高める第一歩になります。
原因③:先代の経営スタイルへの反発
先代の経営スタイルがトップダウン型であった場合、後継社長が「現場重視」「ボトムアップ」を志向するあまり、先代のやり方を否定する姿勢になってしまうことがあります。これは価値観の衝突からくるケースが多いです。
改善策:「過去の功績」と「未来の方向性」を両立させる発信
社内に対して「先代の築いた基盤があるからこそ、今の改革が可能である」というメッセージを発信します。朝礼や社内報で「先代の〇〇は今でも活かされている」「これからは△△を加えて進化させたい」といった言葉を使うことで、過去と未来をつなぐ姿勢が伝わり、社長の立ち位置が「対立」ではなく「統合」に変わっていきます。
原因④:自らの役割認識が曖昧
後継社長が「自分は社員の代表」「現場の声を代弁する存在」と誤って認識している場合、先代との調整役ではなく、対立の代弁者になってしまいます。これは経営者としての役割理解の不足です。
改善策:「社長の役割定義」を明文化し、共有する
社長の役割は「経営の方向性を示す」「価値観を統合する」「意思決定を担う」など、明確な定義を社内で共有します。役員会や幹部ミーティングで「社長は橋渡し役である」という認識を浸透させることで、後継社長自身もその立場を自覚しやすくなります。役割の明確化は、行動の軸を整える効果があります。
原因⑤:社員の不満に引きずられている
社員から「先代は古いやり方に固執している」「もっと現場を見てほしい」といった不満を聞くうちに、後継社長がその声に感情的に同調しすぎてしまい、先代を責める姿勢になってしまうことがあります。これは共感の過剰による判断の偏りからくるものです。
改善策:「共感」と「中立性」を両立する対話技術の習得
社員の声には耳を傾けつつも、「それをどう経営に活かすか」という視点で冷静に受け止める技術を身につけます。「その意見は重要だね。先代にも共有して、改善の方向を一緒に考えよう」といった言い回しを使うことで、共感しながらも中立的な立場を保てます。これは社長としての成熟度を高めていく重要なスキルになります。
結びに
後継社長が先代と社員の橋渡し役にならず、社員側に立って先代を責める背景には、支持獲得の焦り、未解消の葛藤、価値観の衝突、役割認識の曖昧さ、そして共感の過剰が複雑に絡んでいます。改善には、信頼構築への転換、感情の整理、過去と未来の統合的発信、役割定義の明確化、そして中立的対話技術の習得が効果的です。社長が「統合者」としての立場を確立することで、組織は分断から協働へと進化していきます。
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