息子へ無理に理想の後継者像を押し付ける父親

上原輝夫

上原輝夫

テーマ:同族.家族経営の心理的.感情的な悩み後悔

同族家族経営の会社において、父親が、自身のやり方や成功体験を重んじすぎるあまり、息子の個性や夢を尊重しないできてしまったと感じ、後悔してしまうケースは少なくありません。
これは、親子の関係性、特に男性親が息子に接する際の特有の心理と、過干渉の問題が複雑に絡み合って生じます。以下に原因と手っ取り早く出来る改善策を整理したいと思います。


原因1.父親の「成功体験」への過度な執着

父親は、自らが会社を築き上げたり、困難を乗り越えてきた「成功体験」を強く持っています。
この成功体験は、時に「自分がやってきたやり方が最も正しい」という確信へと繋がり「このやり方でやれば息子も成功するはずだ」という強い思い込みを生み出します。

そのため、息子が異なるアプローチを試みたり、自分の歩んできた道とは違う夢を抱いたりすることに対して、無意識のうちに否定的な感情を抱きやすくなります。

父親自身が「もし別の生き方を選んでいたら、今よりはるかに成功していた可能性だってある」と気づかない限り、この傾向は続いていきます。

原因2.父親の息子への強いプライドと潜在的な競争心

父性的な父親ほどプライドが高く、弱さを隠したがる傾向があります。息子に対して「世の中は厳しいから、もっと力をつけろ」と厳しく接するのは、愛情の裏返しであることも多いのですが、それが過保護や過干渉、時にはダメ出しとなって現れることがあります。

父親は、息子が自分を超える存在になることを期待しつつも、一方で潜在的に対立や競争の意識を持つことがあります。息子にとっては、父親との対立や競争は自立した大人になるための「儀式」とも言えますが、父親がそうした成長過程を理解できないと、息子の個性や夢を「反発」と捉えてしまいあやなった認識をしがちになります。

原因3.過干渉とコントロール欲求

親が子どもに過度な干渉をすることは、子どもの意見や選択を認めず、自らの価値観を押し付けることにつながります。
父親が会社における自身の役割や価値観が絶対だと信じ、「こうあるべきだ」という理想を息子に押し付けると、息子の主体性や自主性を育む機会を奪ってしまいます。

これは、「子どもは親の所有物ではない」という認識が希薄である場合に起こりやすく、親自身が果たせなかった夢を子どもに託す形になることもあります。結果として、子どもは自分で物事を決められなくなり、自分の考えや行動に自信を持てなくなる可能性が高まっていきます。

原因4.コミュニケーション不足とジェンダーバイアス

父親と息子という関係性も影響します。父親は息子に対し、幼い頃から「男だからこうあるべき」といったジェンダーバイアスを無意識に刷り込まれて育っている場合があり、感情的なコミュニケーションよりも「指導」や「しつけ」に重点を置きがちです。
息子が抱える悩みや夢について深く話し合う機会が失われ、父親は息子の本当の気持ちや個性を理解できないままになってしまいます。

ワンマン社長

改善策1.「傾聴」と「共感」の徹底

1. 息子の「夢」を具体的に聞き出す時間を作る

仕事の話ではなく、純粋に息子の「夢」や「興味」について語り合う時間を作りましょう。どのような些細なことでも、頭ごなしに否定せず、「なぜそう思うのか?」「どうして興味があるのか?」と、質問を通じて深く掘り下げて聞く姿勢を見せる必要があります。

それが会社の事業と直接関係ないことであっても、「すごいな」「面白いな」といった肯定的な言葉で反応し、共感を示すことが重要です。

2. 息子の「独自性」を具体的に承認する

息子の仕事ぶりや考え方で、「自分とは違うが、これは良い点だ」と感じる部分を意識的に見つけ出し、具体的な行動や成果を挙げて褒めることが大切です。

「その視点は私にはなかった」「〇〇のやり方は、私の時代にはなかった発想だ」など、息子の個性を認める言葉を伝えるようにします。息子は自分の個性が尊重されていると感じ、自己肯定感を高めることができます。

改善策2.息子の「独自性」を具体的に承認する

1. 小さな成功体験を意識的に「任せて」を積ませていく

息子に「自分の責任で決めて良い」という権限を与える小さなタスクを任せてみましょう。
部署内の特定のプロジェクトの責任者や、新規仕入れ先の選定など、失敗しても会社全体への影響が小さい範囲で自主性を尊重します。
結果を問うだけでなく、そのプロセスで息子がどのように考え、行動したかを評価する「過程を重視する」姿勢に切り替えることが重要です。

2. 「放置」ではなく「見守る」ことを意識する

過干渉は子どもの成長を阻害しますが、完全に放任するのも健全な自己肯定感を育む上で悪影響です。父親が息子に「私はあなたの決定を信頼している」というメッセージを伝え、必要な時にだけ助ける「見守る」スタンスに移行することが大切です。

息子が困ったときに父親が「いざという時は助ける」という安心感を与えつつ、日々の行動は息子自身の判断に任せるということです。

改善策3.「境界線」の明確化と「第三者」の活用

1. 家庭と会社の役割を切り離す意識を持つ

家庭での「親子」の関係性と、会社での「経営者と後継者」の関係性を意識的に切り離す努力をします。会社ではビジネスライクな会話を心がけ、家庭内では仕事の話を減らすなど、会話の内容と場所で境界線を設ける訓練をします。感情的な側面が経営判断に与える影響を減らすことができます。

2. 外部の専門家やメンターを頼る

事業承継のコンサルタントや、息子にとって信頼できる外部のメンター(相談役)を導入することも有効です。
第三者は客観的な視点から状況を分析し、父親と息子の双方にアドバイスを与えることができます。
また、息子が父親には言いにくい本音や夢を、第三者に相談できる場を提供することで、息子の孤立感を解消し、父親も間接的に息子の考えを把握する機会を得られます。

社長会議

結びに

これらの改善策は、父親自身の意識改革が何よりも重要です。長年の習慣や価値観を変えることは容易ではありませんが、これらの「手っ取り早い」行動を意識的に繰り返すことで、親子の関係性が健全化し、息子が個性や夢を伸ばしていける環境が整っていきます。結果的に、会社の持続的な発展にも繋がっていきますので、意識して取り組んでいくことが肝要です。






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上原輝夫
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上原輝夫(経営・生き方・終活カウンセラー/行政書士)

行政書士ヒューマンサポートオフィス

資格と前職での経験、これまでの実績を最大限に活かし、「会社と家族の相談相手」として、経営・メンタルケア・終活を応援、サポートします。お客さまにとって何でも話せる気軽で身近な相談相手を目指しています。

上原輝夫プロは琉球放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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