同族.家族経営で家族でも「社長」「会長」の立場で話してしまう

上原輝夫

上原輝夫

テーマ:同族.家族経営の心理的.感情的な悩み後悔

同族家族経営の会社で、家族なのに「社長」「会長」としてしか会話できなくなるというケースは、多くの同族.家族経営企業で見られる切ない現象です。以下に、原因と手っ取り早くできる改善策を整理していきたいと思います。


原因1. 役割の混同と境界線の曖昧さ

同族.家族経営では、家族としての役割(親子、兄弟姉妹など)と、会社における役割(社長、従業員、役員など)の境界が曖昧になりがちです。
特に、経営幹部が家族である場合、「家族だから言わなくてもわかるだろう」という阿吽の呼吸が、逆にビジネスコミュニケーションを阻害し、個人的な感情が仕事に持ち込まれやすくなります。

改善策1. 「役割」と「人」の明確な分離

役割の意識的な切り替え: 会社では「社長」として、家庭では「お父さん」として振る舞うなど、意識的に役割を切り替える訓練が大切です。
家族会議の場でも、事前に「今日は会社のことを話そう」「今日は家族旅行の計画を話そう」などとテーマを明確にし、その役割に徹するように合意します。
「ノー・ビジネス・タイム」の設定: 週に一度、あるいは毎日決まった時間(例:夕食時、週末の午前中など)を「ノー・ビジネス・タイム」とし、その時間は一切仕事の話をしない、というルールを家族全員で徹底します。純粋に家族として楽しむ時間を作り、心のつながりを再構築する機会として活用しましょう。

家族ミーティング

原因2. コミュニケーションの質の低下

家庭での会話が、会社の指示や業務報告の場になってしまうことがあります。家族としての本音の会話が失われ、常に仕事上の上下関係や利害関係が会話に付きまとうようになります。経営者(社長や会長)の言葉が、ただの「圧」として現場に受け取られることもあります。

改善策2. コミュニケーションルールの設定

「仕事の話は会社で」の徹底: 重要な業務上のコミュニケーションや意思決定は、会社の会議室や業務時間内で行うことを徹底します。家庭内での会話に仕事の進捗報告や指示が紛れ込まないようにします。
傾聴と共感の姿勢: 家族であっても、「社長」や「会長」という肩書きを一旦外し、一人の人間として相手の意見や感情に耳を傾ける姿勢を持つことが重要です。相手の言葉を最後まで聞き、共感を示すことで、心理的な安全性が確保され、本音で話しやすい関係性が育まれます。

原因3. ワンマン経営と意見の封殺

家族経営の多くは、実質的なガバナンスが機能せず、オーナー経営者がワンマン体制になりがちです。社長や会長の意見が絶対となり、他の家族メンバーや従業員が意見を言いにくい雰囲気になると、家庭でも「社長」「会長」としての顔しか見せなくなり、家族としての対話が難しくなってしまいます。

改善策3. 公正な評価と権限委譲

家族メンバーの役割と貢献の明確化: 社長だけでなく、他の家族メンバーにも、会社における具体的な役割と貢献を明確に定義し、正当に評価します。これにより、全員が「会社の重要な一員」であるという意識を持ち、会話の内容も仕事上の指示だけでなく、業務改善の提案など、より建設的なものに変わる可能性も秘めています。
権限の分散と委譲: 経営権が社長や会長に集中しすぎている場合、段階的に他の家族メンバーにも決定権の一部を委譲することを検討します。一方的に「言われる側」から「自ら考える側」へとシフトし、対等な立場でビジネスについて会話できる機会が増えて充実します。

原因4. 公私混同による疲弊

公私混同は、同族.家族経営で頻繁に見られる問題です。会社の経費を私的に流用したり、個人的なトラブルを会社に持ち込んだりするケースがあり、これが家族メンバー間の不信感を招きます。常に仕事とプライベートが切り離されない状態は、家族全員を疲弊させ、心の距離を生み出します。

改善策4. 外部の視点の導入

オブザーバーの起用: 必要であれば、家族間の会話が硬直しがちな際に、第三者(例:コンサルタント、信頼できる親族以外の役員など)をオブザーバーとして会議に招くことを検討します。これにより、会話が仕事中心に偏りすぎたり、感情的になったりするのを防ぐ効果が期待できます。
家族以外への情報公開: 家族経営であっても、組織の透明性を高め、家族以外の従業員にも会社のビジョンや経営方針を共有する機会を増やします。これにより、家族間の会話が会社全体に影響を与える「密室の論理」に陥ることを防ぎ、家族が「会社」としての規律を意識するよう促していくことが大切です。

原因5. 家族以外への配慮の欠如

同族.家族経営では「身内だけの会話で物事が決まる」といった傾向があり、血縁が優先される雰囲気が蔓延すると、家族以外の社員が疎外感を抱きます。
このような状況では、家族としての個人的な会話よりも、会社における形式的な会話(社長、会長としての会話)が重視されるようになり、それが家族関係にも波及してしまうことがあります。

改善策5. 家族としての共通体験の創出

仕事以外の活動の優先: 家族全員で楽しめる共通の趣味やレジャー活動を定期的に計画し、実行します。例えば、年に数回の家族旅行、共通のスポーツ、ボランティア活動など、仕事の肩書きを忘れ、純粋に家族として楽しむ時間を持つことが重要です。
互いのプライベートな関心への配慮: 家族メンバーそれぞれの個人的な興味や関心事について尋ね、尊重する姿勢を持つことが、単なる「社長」「会長」と「従業員」ではない、人間としての関係性を再構築する上で重要になってきます。

チャレンジ

結びに

同族.家族経営特有である課題を認識し、意識的に「家族」と「会社」の境界線を設けることで、家族として温かい関係を保ちながら、会社としても健全に発展するための手助けとなります。
本来の、会社と家族の関係性と役割を分けて考え、家族全員がが両方の立場を実践しながら、焦らず、じっくりと育んでいくことが肝要になってきます。




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上原輝夫
専門家

上原輝夫(経営・生き方・終活カウンセラー/行政書士)

行政書士ヒューマンサポートオフィス

資格と前職での経験、これまでの実績を最大限に活かし、「会社と家族の相談相手」として、経営・メンタルケア・終活を応援、サポートします。お客さまにとって何でも話せる気軽で身近な相談相手を目指しています。

上原輝夫プロは琉球放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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