長男だけに経営を任せ家族関係に亀裂が

上原輝夫

上原輝夫

テーマ:同族.家族経営の心理的.感情的な悩み後悔

同族.家族経営の会社で、長男だけに経営を任せたことで、他の家族が疎外感を抱え、関係に亀裂が入ることがあります。以下に原因と手っ取り早く出来る改善策を整理したいと思います。


原因1. 役割と期待のミスマッチ

長男が経営のすべてを任されることで、「跡取り」としての役割が明確になる一方で、他の家族メンバーの会社における役割が曖昧になったり、あるいは期待された役割が与えられない場合に疎外感が生まれます。
特に、会社に貢献したいという意欲があるにも関わらず、その機会が与えられないと感じると、不満が蓄積されやすくなります。

改善策. 明確な役割分担と権限の可視化

他の家族メンバーにも、会社における具体的な役割と責任を明確に与えることが重要です。
役割と責任の定義: 各家族メンバーのスキルや意欲を考慮し、経営戦略における具体的な役割(例:新規事業開発、人事、広報など)と、それに伴う権限を文書化して共有します。

貢献の可視化: 家族メンバーそれぞれの貢献を正当に評価し、定期的にフィードバックを行う機会を設けます。これは、金銭的な報酬だけでなく、言葉による感謝や社内での承認なども含まれます。

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原因2. コミュニケーションの不足と質の低下

経営権の移行が、一方的または不透明に進められた場合に、他の家族メンバーとの十分な話し合いが不足し、情報共有が滞ることがあります。
家族間のコミュニケーションが希薄になり、「言わなくてもわかるだろう」という甘えや「察してほしい」という意識が先行し、誤解や不信感が生まれることがあります。
感情的な話し方や、目的意識のない話し合いは、かえって、対立を深める原因にもなります。

改善策. 定期的なコミュニケーションの場の設定

家族間の透明性の高いコミュニケーションを確保することが不可欠です。
公式な家族会議の導入: 家族経営における重要な意思決定や情報共有のため、定期的かつ公式な家族会議(ファミリーボード)を設けます。この会議では、仕事の議題に集中し、感情的にならず、全員が意見を出しやすい雰囲気を作ることが重要です。

「ノー・ビジネス・タイム」の徹底: 仕事の話は会社内や設定された会議で行い、家庭内やプライベートな時間では一切仕事の話をしない「ノー・ビジネス・タイム」を徹底します。これにより、家族が「家族」として過ごす時間を確保し、仕事とプライベートの境界線を明確にします。
個別面談の実施: 長男である新経営者は、他の家族メンバー一人ひとりと定期的に個別面談を実施し、彼らの意見、懸念、目標を傾聴する機会を設けます。これにより、個人的な不満が蓄積されるのを防ぎ、信頼関係を築きます。

原因3. 権限と責任の偏り

経営を長男に一任することで、権限と責任が特定の個人に集中しすぎると、他の家族メンバーは「自分たちは蚊帳の外」と感じやすくなります。会社への貢献度や発言権に差が生まれることで、不公平感が拡大し、不満や嫉妬の感情につながる可能性が高まります。

改善策. 公正な評価制度の導入

家族経営であっても、客観的で透明性の高い評価制度を導入することが、社内の公平感を高めます。
評価基準の明確化: 家族メンバーに対しても、一般社員と同様に、達成目標に基づいた評価基準を明確にし、その達成度に応じて公正な評価と報酬を行います。これにより、えこひいきや不公平感を払拭します。
第三者評価の導入: 外部のコンサルタントや監査役など、第三者の視点を取り入れることで、より客観的な評価や意見を取り入れることができます。これにより、家族間の感情的な対立を避け、ビジネスライクな意思決定を促します。

原因4. 家族と会社の境界線の曖昧さ

同族.家族経営においては、家庭内の人間関係と会社組織における役割の境界線が曖昧になりがちです。長男が「会社での上司」としての顔と「家庭での家族」としての顔を使い分けられず、他の家族もその切り替えができない場合、プライベートな感情が仕事に持ち込まれ、仕事上の決定が感情的に受け止められることがあります。

改善策. 外部の専門家の活用

第三者の介入は、家族間の感情的なもつれを解消し、客観的な視点をもたらします。
経営コンサルタントの活用: 家族経営の経験豊富なコンサルタントを巻き込み、事業承継のプロセスを計画的に進めます。コンサルタントは、家族間の役割分担、意思決定プロセス、コミュニケーションルールの設定などについて、客観的なアドバイスを提供できます。

家族療法士の検討: 家族間の感情的な対立が深い場合、家族関係に特化したカウンセリングやセラピーを活用することも有効です。仕事の問題から派生した家族の関係性のこじれは、専門家のサポートによって改善されることがあります。

原因5. 先代経営者の関与

先代経営者が経営権を長男に譲った後も、過度に会社経営に介入したり、他の家族メンバーへの配慮を怠ったりすると、混乱が生じることがあります。特に、先代が長男以外の家族に対して、明確な役割や評価を示さない場合、彼らの不満が増大する可能性が高まります。

改善策. 先代経営者の役割の見直し

先代経営者は、新経営者と他の家族メンバーの関係構築において、非常に重要な役割を担います。
明確な引継ぎと権限委譲: 先代は、新経営者に完全に権限を委譲し、自身の役割を「相談役」や「見守る立場」にシフトすることを明確にします。過度な介入は、新経営者のリーダーシップを阻害し、他の家族の混乱を招きます。

他の家族への配慮: 先代経営者は、長男以外の家族メンバーの会社への貢献を認め、彼らへの配慮を怠らないように促します。彼らが長男への不満を抱えている場合、先代が間に入って話し合いを促すことも有効です。

やるべきこと

結びに

家族経営の会社が健全な形で経営を継続し、家族間の絆を維持するために、改善策の実効は非常に重要になってきます。

特に、コミュニケーションの質を高めること、そして役割と権限を明確にすることが、疎外感を解消し、関係の亀裂を防ぐ上で手っ取り早く、かつ効果的なアプローチとなりますので、地道に取組んでいくことが何よりも求められます。




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上原輝夫
専門家

上原輝夫(経営・生き方・終活カウンセラー/行政書士)

行政書士ヒューマンサポートオフィス

資格と前職での経験、これまでの実績を最大限に活かし、「会社と家族の相談相手」として、経営・メンタルケア・終活を応援、サポートします。お客さまにとって何でも話せる気軽で身近な相談相手を目指しています。

上原輝夫プロは琉球放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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