○登記制度と個人情報○

宮本裕文

宮本裕文

登記制度と個人情報 私的考え

誰でも、誰のでも取得できる登記事項証明書

登記事項証明書を取得すると、その人が所有している土地や建物の面積、所有者の氏名や住所、抵当権が設定されている借入額、また、差押え等の個人的な情報を得ることができます。

そして、手数料さえ支払えば誰でも、誰のでも取得することができます。

個人情報に抵触しないのか?

個人情報ではないのか?たぶん皆さまも感じられることだと思います。他人が自分の所有不動産の登記事項証明書を取得する行為、正直気持ちの良いものではありません。

私的な考え

この登記事項証明書と個人情報については、良く聞かれることでもあり、私的には、次のように考えています。
そもそも個人情報とは、「生存する個人に関する情報であり、当該情報に含まれる、氏名・住所・生年月日・その他により特定の個人を識別することができること」となります。

一方、不動産の登記制度の目的は、不動産登記に関する物的状況と権利関係を登記に公示し、国民の権利の保護、保全と不動産取引の安全と円滑を図るものとなります。

つまり、登記制度がない場合、土地のどの範囲が・誰の所有なのか、明らかでなくなり、不動産取引など行うことはできません。
また、登記がない場合、「この土地は私の所有地だ!」と、どのように所有権を主張すればいいのか、抵当権者も誰に対して、その主張をすることが可能なのか、わかりません。

このように、不動産の情報を公示することは、国民の財産を守ることにも大きく関係し、不動産取引における自己決定権にも影響してきます。

従って、登記事項証明書の内容は個人情報ですが、その個人情報の保護によって国民が得る利益よりも、登記制度により得られる利益の方が大きいため、登記制度を優先していると考えられます。

自らの意思にて登記申請

そしてなにより、登記は自らの意思によって申請しているので、保護の対象外なのかもしれません。


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