○事故物件 経過年数と説明義務○

宮本裕文

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契約の判断に重要な影響を及ぼす事項


●契約の判断に重要な影響を及ぼす事項

過去の自死事故物件(以下、事故等)についてその事実を知っている媒介業者は、そのことを秘匿することは許されず「契約の判断に重要な影響を及ぼす事項」として買主に説明しなければなりません。

しかし、全ての過去の事故等が瑕疵に当たるわけではなく、説明義務があるわけではありません。


●裁判所は次のように判示しています。

「過去の事故等の存在が瑕疵といいうるためには、単に買主において同事由の在する不動産への居住を好まないだけでは足らず、それが通常一般人において、買主の立場に置かれた場合、当該事由があれば、住み心地を欠き、居住の用に適さないと感じることに合理性があると判断される程度に至ったものであると解するべきである。」

瑕疵に当たるか否かについて、裁判所は経過年数や事故等の内容、事故後の利用状況等を総合的に考慮し判断しているようです。

●過去の事故等について、いつまで媒介業者には説明義務があるのか?

実は、事故後の経過年数が「取引の判断に重要な影響を及ぼす事項」に当たるか否かについては、指針となるような判断基準は示されていません。よって、さまざまな考え方があります。

①賃貸5年・売買10年と考える業者
②賃貸3年・売買6年と考える業者

いずれも明確な根拠があるわけではありません。

事故等の状況、その後の物件の利用形態、売買賃貸の経緯、その地域での事故等に対する記憶等を総合的に勘案して判断することになりそうです。

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