「不動産」 権利に関する調査と嫌悪施設の説明

宮本裕文

宮本裕文

「不動産」 調査と説明


●不動産の権利関係は、登記を調べることでかなりのことがわかります。

しかし、日本の登記は完全といえるものではありませんので、注意も必要です。

登記について権利を有する人は、その証拠・根拠となる書類があるはずなので、そのことも考えにいれておくことが重要です。不動産の登記は不動産登記法となるその法令や準則に基づいて行われます。

これは不動産の権利関係をはっきりさせておくために行われるものであり、登記されている不動産については、登記事項とその内容について調査することにより、不動産の権利関係を一応(とりあえず)知ることができます。

しかし、登記することのできない権利もありますし、登記することができても登記していない権利もあります。
権利に関する登記はあくまでも関係当事者の申請によって登記され、原則として強制されるものではありません。

つまり、登記事項の内容が全て真実ではないということです。不動産には登記できない権利、登記されていない権利もあることを知っておく必要があります。


●嫌悪施設の説明

取引物件に影響を及ぼす悪臭・煙・振動・騒音等を生じさせるような施設が周辺にあるときは、その旨を説明することが望ましいとされています。その施設までの距離が離れている場合でも、天候や風向き等により影響を受ける場合があるので注意が必要です。

このような施設は一般的に「嫌悪施設」といわれていますが、その施設の中には、地域住民の社会生活上必要な施設もあり、働いている人も多くいます。

●従って、それらの施設を「嫌悪施設」として表現することは不適切だと思います。

重要事項説明書に記載する必要がある場合は「嫌悪施設」という表現は避け、利便施設等と同様に、施設名とその影響について記載することが望ましいとされています。

ちなみに、悪臭等を生じさせる施設が取引物件から○○メートル以内に存在するときは説明しなければならないなどの具体的な基準もなく、あくまでも通常の生活に支障を来すような影響を及ぼす可能性がある場合には説明することが必要とのことです。

●但し、媒介業者が確実に嫌悪感等を受けることを知りながら、その施設の説明を意図的に省略していた場合などでは、媒介業者の説明義務違反による責任を追及される可能性はあるのではと思います。



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