大規模災害 ガス・水道等が使用出来ない 契約の解除は。

宮本裕文

宮本裕文

大規模な災害と契約の解除


●「地震によるアパートの被害は軽微でしたが、水道・ガス・排水等のライフラインが損害を受け
使用できない状態にあります。復旧工事に着手してますが、完了まで1~2ヶ月程度かかるそう
です。
生活できないので契約を解除したいのですが、敷金の全額返還と引越費用を貸主に請求でき
ますか?」

*大規模な災害では、ありえない話ではありません。

水道管、ガス管等の公設管についての修復は行政が担うものですから、貸主に修理義務を追及
することはできません。復旧までに時間がかかるとしてもアパートの使用が不能となっているわけ
ではないので、借主は自己都合での解約扱いとなりそうです。

したがって、通常に敷金精算を行うことになり、引越費用を貸主に請求することはできないと考え
られます。
(敷地及び建物内に引き込まれた水道等の私設管の修理は、貸主に修理義務があります。)

●では、契約を解除しない代りに、借主は賃料の減額を請求することは可能でしょうか?

貸主の責にない公設管の被害修復に係る借主の使用制限についてまで、貸主は負担を負うこと
はなく、賃料減額に応じる必要はないと考えられます。

一方では、水道、ガス等の供給が受けられない状況では、借主は、使用収益できない割合に応
じて賃料の減額請求をすることが可能との考えもありますが・・・。

*実際の大規模災害時に、このような悠長なことを考えている人はいないと思いますが。



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