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運送会社の従業員が事故を起こして被害者に弁償した場合に会社に請求できるか(肯定)

2021年3月9日

テーマ:損害賠償

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 交通事故対応労務管理労働問題

民法第715条は従業員(被用者)が第三者に損害を負わせた場合、被害者は会社(被用者)に対する損害賠償請求を認めています(使用者責任)。この場合、会社が被害者に弁償した場合には、会社は従業員に一定額の支払を求めることができる(求償)と民法715条3項は規定しています。それでは従業員が被害者に損害賠償を支払った場合、会社に対して請求ができるでしょうか。民法でこの点の規定がなく、判断が分かれていましたが、最高裁(令和2年2月29日第二小法廷)はこれを認めました。
 事案は貨物運送業を営む会社がその保有する車両全てに自動車保険等に加入していませんでした。社員は会社の車両を運転中、死亡事故を起こしました。被害者から裁判を起こされ、社員は1552万円余の賠償義務を負いました。これを社員が会社に請求した事案です。最高裁は社員の負担分は25%、会社の負担分が75%として、社員から会社に対して839万円余りの賠償を認めました。

この記事を書いたプロ

中村有作

損害賠償と労務関係のプロ

中村有作(中村法律事務所)

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