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職務遂行能力の不足等を理由とする賃金・賞与のカット

中村有作

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テーマ:労働事件

 職務遂行能力の不足を理由として賃金減額、賞与減額は可能でしょうか。
 成果主義が言われて久しくなっています。経営者としては成果をあげる社員には
 多くの賃金を、成果があがらない社員には賃金カットしたいと考えるでしょう。
 しかし、裁判所は賃金カットは、従業員の同意が就業規則に明確な規程が必要であると
 しています。
 基本給1万円、職務手当5万円、調整手当1万円の合計7万円を減額したケースについてこれを違法と判断した(福岡地裁平成31年4月15日判決)。
 また賞与について平成25年には下記18万5000円、年末24万円、平成26年には夏季18万5000円、年末16万円支給されていたのが、平成27年には夏季15万円、年末8万円、平成28年には夏季3万円、年末5000円、平成29年には夏季1万5000円、年末3000円の支給となったケースについて平成28年夏季以降について
は裁量権を逸脱しているとして20万円不法行為責任を認めました(前同判決)。
 賃金は従業員にとって最大の関心事であり、生活の根拠となるものですから厳格に解されています。
 ただ、賞与については会社側に広範な裁量権が与えられており、前年からカットした分
が全て賞与の請求権が侵害されたとは認定していません。このケースでは2年間で70万円以上も賞与がカットされていますが、不法行為責任を認められたのは20万円のみです。

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中村有作
専門家

中村有作(弁護士)

中村法律事務所

交通事故案件を多数取り扱っています。当初保険会社が提示していた示談案より大幅な増額をを勝ち取った事案が多数あります。特に交通事故は全国的に相談にのっています。示談で解決の場合は着手金不要です。

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