残業代(5)社長ノーガードでは勝てません。
「付加金」というのは耳慣れない用語かもしれません。
未払残業代等が争われた場合、裁判所は労働者の請求によって、それと同額の「付加金」を認めることができるのです(労基法114条)
一種のペナルティーです。
未払残業代が200万円認定された場合、それと同額の200万円の「付加金」の支払いを認めることができるのです。
結局400万円を支払えということになるわけです。
これは使用者側にとっては非常な脅威です。
裁判において「付加金もありますから200万円の8割の160万円くらいで和解してはどうですか」と強く和解を裁判官から勧められることはよくあります。
ただ、労働審判において「付加金」が認められることはありません。
訴訟になり、判決となった場合には「付加金」が認められるケースがあります。
これは諸事情により、裁判官がこの残業代の未払を悪質とみた場合には「付加金」が認容されることはあります。
使用者としては十分気をつけるべきです。
未払い残業代370万円、付加金292万円請求した事案で、いずれも320万円(未払残業代と付加金)認容した事案で、最高裁は付加金は292万円しか請求
がないとして同額に減額しました(最高裁第三小法廷令和元年12月17日)。
付加金は請求があった範囲で認められるべきだからというのがその趣旨です。