「FPに相談すると、結局何が変わるの?」 ― お金を増やすことだけがFP相談ではありません

三重野徹

三重野徹

テーマ:家計

大分で活動しているファイナンシャルプランナーの三重野徹です。

「FP相談ってお金かかるんですよね」

初めてご相談に来られた方から、こんな言葉を聞くことがあります。

ファイナンシャルプランナーというと、

「資産運用をする人」

「保険を選んでもらう人」

「お金持ちが相談する人」

そんなイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。

でも、実際の相談では、

「何から考えればいいか分からない」

「老後が何となく不安」

「夫婦でお金の話ができない」

といった、まだ答えが見つかっていない段階で来られる方がたくさんいます。

FP相談で最初にすることは、必ずしもお金を増やすことではありません。

むしろ、

「頭の中にあるお金の不安を、一つずつ整理すること」


から始まります。

今回は「相談事例から学ぶ」シリーズの最終回として、FPに相談することで何が変わるのかを考えてみたいと思います。

相談事例「何を相談すればいいか分からないんです」



今回ご紹介するのは、57歳のHさん。

お子さんは独立し、ご主人は数年後に定年を迎える予定でした。

Hさんは相談の最初に、少し申し訳なさそうにこうおっしゃいました。

「具体的に何を相談したいのか、自分でもよく分からないんです。」

ただ、

「このままで大丈夫なのかな」

という不安だけはあったそうです。

お話を伺っていくと、

・年金がいくらになるのか分からない
・退職金をどうすればいいか分からない
・預貯金をどこまで使っていいか分からない
・NISAも気になっている
・親の介護も心配

と、いくつもの悩みが出てきました。

Hさん自身も、

「こうやって話してみると、私、いろいろ心配していたんですね」

と驚かれていました。

お金の悩みは「一つ」ではない



50代のお金の悩みが難しい理由があります。

それは、問題が一つではないことです。

30代なら、

「住宅購入」

「教育資金」

など、比較的目的がはっきりしていることがあります。

しかし50代になると、

年金・退職金・老後資金・住宅・親の介護・自分たちの健康・子どもへの支援・相続

など、いくつもの問題が同時に見えてきます。

だからこそ、

「何から考えればいいか分からない」

という状態になりやすいのです。

そんなときに必要なのは、すぐに金融商品を選ぶことではありません。

まず、

「優先順位を整理すること」


なのです。

最初にやったのは「全部書き出すこと」



Hさんとの相談では、気になっていることを一度すべて整理しました。

すると、大きく3つに分かれました。

① 今のお金

毎月の生活費、住宅ローン、預貯金、保険など。

② これから入ってくるお金

給与、退職金、年金など。

③ これから出ていくお金

住宅修繕、車、旅行、医療・介護、老後の生活費など。

こうして整理すると、

漠然としていた不安が、少しずつ「数字」に変わっていきました。

「老後が不安」から「あと○万円準備しよう」へ



相談前のHさんの悩みは、

「老後が不安」

でした。

これは非常に大きな問題に感じます。

しかし、年金や生活費、預貯金などを整理していくと、

「65歳までに、もう少し老後資金を増やしておこう」

「住宅ローンはこのまま返しても問題なさそう」

「旅行には年間これくらい使っても大丈夫そう」

と、一つずつ具体的な話に変わっていきました。

ここが、とても大切です。

不安そのものがなくなったのではありません。

不安の正体が分かり、

「自分で対策できるもの」に変わったのです。

FP相談は「正解を教えてもらう場所」ではない



「FPに相談したら、正解を教えてくれるんですよね?」

そう思われるかもしれません。

でも、お金については、全員に共通する一つの正解があるわけではありません。

例えば、

「60歳で仕事を辞めて旅行を楽しみたい」

という人もいれば、

「70歳くらいまで働きたい」

という人もいます。

「子どもにできるだけ財産を残したい」

という人もいれば、

「自分たちのためにしっかり使いたい」

という人もいます。

どちらが正しいという話ではありません。

大切なのは、

「自分はどんな人生を送りたいのか」

ということです。

その希望を数字に置き換えて、

「それなら、今から何をすればいい?」

を一緒に考える。

それがFP相談の大きな役割の一つだと私は考えています。

「お金を増やす」より先にやることがある



相談に来られる方から、

「NISAを始めた方がいいですか?」

「どの商品がおすすめですか?」

と聞かれることがあります。

もちろん、資産形成について考えることも大切です。

しかし、その前に、

・生活防衛資金はあるか
・数年以内に使うお金はないか
・老後の生活費はいくらか
・年金はいくら見込めるか

を確認する必要があります。

家計の土台が整っていなければ、どんな制度や商品を選んでも、不安はなかなか消えません。

商品を選ぶ前に、人生のお金を整理する。


私は、この順番がとても大切だと思っています。

相談したからといって、何かを始めなくてもいい



FP相談をすると、

「保険に入らないといけないのでは?」

「投資を勧められるのでは?」

と心配される方もいるでしょう。

しかし、本来の相談では、

「何もしない」という結論もあり得ます。

家計を整理した結果、

「今のままで大丈夫そうですね」

となることもあります。

その場合は、それが一つの答えです。

むしろ、

「何もしなくても大丈夫だと分かった」

こと自体が、大きな安心につながります。

このシリーズで見てきた7つの相談



これまで、このシリーズではさまざまな相談事例をご紹介してきました。

第1回では、

「貯金はあるのに不安」

という相談。

第2回では、

「夫がお金の話をしてくれない」

という夫婦のお金の問題。

第3回では、

「NISAを始めたいけれど怖い」

という資産形成の不安。

第4回では、

「教育費が終わったのに貯金できない」

という50代の家計。

第5回では、

「退職金をどうすればいい?」

という退職前後のお金。

第6回では、

「親の介護費用をどこまで負担する?」

という親と自分の老後の問題。

そして第7回では、

「年金だけで生活できる?」

という老後の収支を考えました。

一見すると、すべて違う相談です。

でも、実は共通点があります。

それは、

「分からないから不安」


ということです。

お金の不安は「見える化」すると変わる



人は、見えないものに不安を感じます。

「年金が足りないかもしれない」

「老後資金が足りないかもしれない」

「介護費用がたくさん必要かもしれない」

この「かもしれない」が増えるほど、不安も大きくなります。

そこで、

年金はいくら?

生活費はいくら?

預貯金はいくら?

これから大きな支出はいくら?

と一つずつ整理していきます。

すると、

漠然とした不安が、具体的な数字に変わります。

数字になれば、対策を考えることができます。

今日の小さなアクション



最後に、ぜひ紙に一つだけ書いてみてください。

「今、一番気になっているお金のことは何ですか?」

老後でしょうか。

年金でしょうか。

貯金でしょうか。

親の介護でしょうか。

NISAでしょうか。

答えは一つでなくても構いません。

書き出すことが、

お金の不安を整理する第一歩になります。

FPからのワンポイントアドバイス



FP相談というと、

「何か問題が起きてから行くところ」

と思われるかもしれません。

私はむしろ、

「まだ何も起きていないとき」に一度整理すること

に大きな意味があると考えています。

特に50代は、

子育て中心だった家計から、

自分たちの老後を中心とした家計へ切り替える時期です。

このタイミングで、

年金・預貯金・退職金・働き方・これからやりたいことを一度整理する。

すると、

「何となく不安だった老後」が、

「これなら準備できそうな未来」

へ変わっていきます。

シリーズまとめ


お金の安心は「たくさん持つこと」だけではありません

8回にわたって「相談事例から学ぶ」をお届けしてきました。

このシリーズを通して、一番お伝えしたかったことがあります。

それは、

お金の安心は、資産額だけで決まらない


ということです。

もちろん、貯蓄は大切です。

資産形成も大切です。

でも、それ以上に、

自分の現在地と、これから進む方向を知っていること。

これが大きな安心につながります。

50代は、決して「もう遅い」年代ではありません。

年金を確認する。

家計を整理する。

働き方を考える。

老後にやりたいことを書き出す。

一つずつ始めればいいのです。

そして、一人では整理しにくいと感じたときには、
ファイナンシャルプランナーという存在を思い出していただければと思います。

お金を増やすためだけではなく、これからの人生を安心して楽しむために。

50代から、一度「わが家のお金」を見える化してみませんか?

今回のテーマついて質問や相談がある方はみらいマネープランニングにご相談ください。 初回無料相談にてサポートいたします。


新NISA制度や資産形成について基礎から学びたい方は、お金の小学校大分校で一緒に学びませんか?

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三重野徹
専門家

三重野徹(ファイナンシャルプランナー)

みらいマネープランニング

ファイナンシャルプランナーとしてだけでなく公的保険アドバイザーとしても年金や健康保険、介護保険等といった公的な保障をアドバイスし、将来を見据えた「未来設計図」をお客様と一緒に作るお手伝いをしています。

三重野徹プロは大分朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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