「親の介護が始まりました。私がどこまで負担すればいい?」 ― 50代から考えておきたい介護費用と自分の老後資金

三重野徹

三重野徹

テーマ:老後

「母の介護が必要になりました。私が費用を出した方がいいのでしょうか?」

50代になると、これまで自分たちの老後について考えていたところに、
突然「親の介護」という問題が入ってくることがあります。

病院への付き添い。

介護サービスの手続き。

実家への往復。

施設探し。

そして、介護費用。

親のことですから、

「できるだけのことをしてあげたい」

と思うのは自然なことです。

しかし、50代は自分自身の老後資金を準備する大切な時期でもあります。

親を支えることに一生懸命になり、自分の老後資金まで取り崩してしまうと、
今度は自分たちの老後に問題を先送りすることになりかねません。

今回は相談事例をもとに、親の介護と自分のお金をどう考えればよいのかを一緒に考えてみましょう。

相談事例「母の施設費を私が払おうと思っています」



今回ご紹介するのは、55歳のFさんです。

80代のお母さまが一人暮らしをしていましたが、
体調を崩したことをきっかけに、これまで通りの生活が難しくなってきました。

Fさんは仕事を続けながら、休日になると実家へ通っていました。

しかし、仕事と介護を両立する負担も大きくなり、施設への入居を検討することになりました。

そこで問題になったのが費用です。

Fさんは、

「母の年金だけでは足りないかもしれないので、私の貯金から毎月出そうと思っています」

とおっしゃいました。

そこで私は、こう質問しました。

「お母さまのお金を、一度全部確認しましたか?」

すると、

「年金額はだいたい分かりますが、預金などは詳しく知りません」

とのことでした。

実は、介護のお金を考えるとき、ここが非常に重要です。

介護費用は、まず「親のお金」で考える



親の介護が始まると、

「子どもである自分が払わなければ」

と思う方がいらっしゃいます。

しかし、最初から自分のお金を出すのではなく、まず確認したいのは、

親自身が介護に使えるお金です。

例えば、

・年金収入
・預貯金
・保険
・その他の資産
・毎月の生活費

などを整理します。

介護費用については、まず親の収入や資産、公的な介護保険制度などを活用しながら考えることが基本です。

そのうえで不足する部分がある場合に、

「家族としてどこまで支援するか」

を考えていきます。

順番が大切なのです。

「月3万円くらいなら」が10年続いたら?



介護のお金で注意したいのは、期間が分からないことです。

例えば、

「月3万円くらいなら私が出しても大丈夫」

と思ったとします。

月3万円なら、それほど大きく感じないかもしれません。

しかし、

1年間なら36万円。

5年間なら180万円。

10年間なら360万円です。

さらに、

・実家への交通費
・日用品
・医療費
・住宅の改修
・施設入居時の費用

などが重なる可能性もあります。

介護は、「いつまで続くか」が事前には分かりません。

だからこそ、

毎月払えるかではなく、長期間続いても大丈夫か

という視点で考える必要があります。

50代は自分の老後準備と重なる



Fさんには、もう一つ大切なことがありました。

Fさん自身も55歳。

老後まで残された期間は限られています。

これから、

・自分たちの老後資金
・住宅の修繕
・車の買い替え
・退職後の生活費

などを準備しなければなりません。

ここで親の介護費用として自分の貯蓄を大きく取り崩してしまうと、
自分たちの老後資金が不足する可能性があります。

親を大切にすることと、

自分たちの生活を守ること。

どちらか一方を選ぶ話ではありません。

両方を守れる方法を考えることが大切なのです。

お金の話を「元気なうち」にしておく



介護が必要になってから、

「預金はいくらある?」

「年金はいくら?」

と親に聞くのは、意外と難しいものです。

親からすると、

「まだ元気なのに、財産の話なんて」

と抵抗を感じることもあるでしょう。

だからこそ、本当は元気なうちに話しておくことが理想です。

例えば、

「もし入院したら、どの口座から払えばいい?」

「介護が必要になったら、どんな生活をしたい?」

「保険の書類はどこにある?」

このような具体的な質問から始めると、話しやすくなります。

財産を聞き出すためではありません。

いざというとき、親の希望に沿った対応をするための確認なのです。

兄弟姉妹がいるなら「お金以外」も分担する



介護では、兄弟姉妹の間で負担の差が生まれることもあります。

近くに住んでいる人が、

通院の付き添いも、

買い物も、

手続きも、

そしてお金まで負担する。

これでは一人に負担が集中してしまいます。

介護の負担は、お金だけではありません。

例えば、

・通院を担当する
・書類や手続きを担当する
・定期的に電話する
・施設探しをする
・費用を分担する

など、それぞれができることを話し合う方法もあります。

「全員同じことをする」のではなく、

それぞれができる形で支える

という考え方も大切です。

公的制度も確認してから考える



介護が始まったとき、家族だけですべてを抱える必要はありません。

介護保険制度では、要介護・要支援認定を受けることで、状態に応じた介護サービスを利用できます。

また、介護サービスの自己負担が一定額を超えた場合に負担を軽減する仕組みなどもあります。

制度の内容や自己負担額は、本人の所得や利用するサービスなどによって異なります。

そのため、

「施設は高そうだから無理」

「自分たちで介護するしかない」

と最初から決めてしまわず、地域包括支援センターや市区町村の窓口などで、利用できる制度を確認することも大切です。

Fさんが最初にしたこと



Fさんの場合、すぐに自分の貯金から施設費を出すことはやめました。

まず、

お母さまの年金、

預貯金、

毎月の生活費、

利用できる介護サービス、

そして今後必要になりそうな費用を整理しました。

同時に、Fさん自身の老後資金についても確認しました。

すると、

「母のお金」と「自分たちのお金」を分けて考えること

ができるようになりました。

Fさんは、

「親のことだから、私が全部何とかしないといけないと思っていました」

とおっしゃいました。

介護で大切なのは、誰か一人が無理をすることではありません。

続けられる方法をつくることなのです。

今日の小さなアクション



まだ親御さんがお元気な方も、今日一つだけ確認してみてください。

「もし急に入院したら、必要な書類や保険証、通帳などはどこにある?」

いきなり財産の金額を聞く必要はありません。

まずは、

「もしものときに困らないために」

というところから話してみましょう。

介護は、始まってから準備するより、始まる前に少し話しておくだけで家族の負担が大きく変わります。

FPからのワンポイントアドバイス



親の介護について相談を受けたとき、私が大切にしているのは、

「親の老後」と「自分の老後」を同時に考えること

です。

親を支えるために、自分の老後資金を際限なく取り崩してしまっては、問題が次の世代へ移ってしまう可能性があります。

まず、

親の年金・預貯金・公的制度を確認する。

そのうえで不足があれば、

「自分はいくらまでなら無理なく支援できるのか」

を考える。

親孝行と家計管理は、決して反対のものではありません。

無理なく長く支えるためにも、お金の境界線をつくっておくことが大切です。

まとめ



親の介護が始まると、

「できるだけのことをしてあげたい」

と思うものです。

しかし、その気持ちだけで自分の貯蓄から費用を出し続ける前に、一度立ち止まって確認してほしいことがあります。

まずは、

親自身のお金を把握する。

次に、

利用できる公的制度を確認する。

そして、

家族で役割を話し合う。

そのうえで、自分たちが無理なく支援できる範囲を考える。

50代は、親の介護と自分自身の老後準備が重なる年代です。

だからこそ、

「親のためにいくら使うか」だけではなく、「自分たちの老後をどう守るか」まで一緒に考えること。

それが、親にも自分にも無理のない介護を続けるための大切な準備ではないでしょうか。

今回のテーマついて質問や相談がある方はみらいマネープランニングにご相談ください。 初回無料相談にてサポートいたします。


新NISA制度や資産形成について基礎から学びたい方は、お金の小学校大分校で一緒に学びませんか?

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

三重野徹
専門家

三重野徹(ファイナンシャルプランナー)

みらいマネープランニング

ファイナンシャルプランナーとしてだけでなく公的保険アドバイザーとしても年金や健康保険、介護保険等といった公的な保障をアドバイスし、将来を見据えた「未来設計図」をお客様と一緒に作るお手伝いをしています。

三重野徹プロは大分朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

お金の不安を取り除き必要なプランを立ててくれるプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ大分
  3. 大分のお金・保険
  4. 大分のライフプラン・人生設計
  5. 三重野徹
  6. コラム一覧
  7. 「親の介護が始まりました。私がどこまで負担すればいい?」 ― 50代から考えておきたい介護費用と自分の老後資金

三重野徹プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼