「年金だけで本当に暮らせますか?」 ― 60歳を前にして初めて老後の生活費を計算した相談事例

三重野徹

三重野徹

テーマ:老後 年金 

大分で活動しているファイナンシャルプランナーの三重野徹です。

「先生、私たち、年金だけで生活できるのでしょうか?」

50代の方からご相談を受けていると、よく聞かれる質問です。

テレビやインターネットでは、

「老後2,000万円必要」

「老後資金は3,000万円必要」

といった数字を目にします。

こうした情報を見るたびに、

「そんなに貯金できない」

「もう50代なのに間に合わない」

と不安になる方もいらっしゃいます。

しかし、老後に必要なお金は、すべての家庭で同じではありません。

大切なのは、

「一般的にいくら必要か」ではなく、「わが家はいくら必要なのか」


を知ることです。

今回は、実際の相談をもとにしたモデルケースから、「年金だけで暮らせるのか」を考える方法をご紹介します。

相談事例「老後2,000万円もありません」



今回ご紹介するのは、58歳のGさん(仮名)ご夫婦です。

ご主人は会社員、Gさんはパート勤務。

お子さんはすでに独立し、住宅ローンも60代前半には完済する予定です。

ご相談のきっかけは、老後資金についての記事を読んだことでした。

Gさんは、

「老後には2,000万円とか3,000万円必要なんですよね。うちはそんなにありません」

と心配されていました。

そこで私は、最初にこうお聞きしました。

「では、老後は毎月いくらあれば暮らせそうですか?」

すると、

「それは考えたことがありません」

という答えでした。

「必要な貯金額」から考えない



老後資金を考えるとき、多くの方が最初に、

「いくら貯めればいい?」

と考えます。

でも、順番を少し変えてみましょう。

最初に確認するのは、

老後の収入と支出です。

例えば、夫婦の年金が月23万円で、老後の生活費が月25万円なら、

25万円-23万円=2万円。

毎月2万円の不足です。

年間では24万円。

仮に20年間続くとすると、単純計算では480万円になります。

一方、生活費が月30万円なら、

30万円-23万円=7万円。

年間84万円。

20年間なら1,680万円です。

同じ年金額でも、暮らし方によって必要なお金は大きく変わります。

だからこそ、

「老後○千万円」という数字だけで不安になる必要はないのです。

年金額は「ねんきん定期便」で確認する



まず確認したいのが、自分の年金見込み額です。

「だいたいこのくらいだろう」

ではなく、できるだけ実際の数字を確認しましょう。

50歳以上の方の「ねんきん定期便」には、現在の加入条件が一定の前提で続いた場合の老齢年金の見込額が記載されています。

夫婦の場合は、それぞれの見込み額を確認して合計します。

例えば、

夫 月15万円
妻 月8万円

なら、

夫婦で月23万円

というイメージです。

ただし、実際の受給額や手取り額は今後の加入状況、受給開始時期、税金や社会保険料などによって変わります。

まずは「老後の収入の目安」を知るところから始めましょう。

次に「今の生活費」を確認する



ここで意外と多いのが、

「毎月いくら使っているか分からない」

というケースです。

完璧な家計簿をつける必要はありません。

銀行口座やクレジットカードの明細などを見ながら、

・食費
・水道光熱費
・通信費
・保険料
・車
・医療費
・趣味・交際費

など、大まかな支出を確認します。

例えば現在の生活費が月30万円だったとしても、その30万円がそのまま老後も必要とは限りません。

老後になると「減るお金」と「増えるお金」がある



退職すると減る可能性がある支出があります。

例えば、

・住宅ローン
・子どもの教育費
・仕事上の交際費
・通勤関連の費用

などです。

一方で増える可能性があるのが、

・医療費
・住宅の修繕
・趣味
・旅行
・介護関連費用

など。

「老後はいくらかかる?」と考えるより、

今の生活費から何が減り、何が増えるか

を考える方が、自分らしい数字を出しやすくなります。

わが家の老後収支・3分チェック



ここで、実際に簡単な計算をしてみましょう。

STEP1 年金はいくら?

夫(本人) 月____万円

妻(配偶者) 月____万円

その他の収入 月____万円

老後の収入合計 月____万円



STEP2 老後の生活費はいくら?

食費・住居費・光熱費・通信費・保険・車・趣味などを考えて、

老後の生活費 月____万円



STEP3 差額を計算

生活費 - 年金などの収入 = 月____万円

例えば、

生活費26万円
年金23万円

なら、

毎月3万円不足

です。

年間では、

3万円×12か月=36万円。

この数字が分かるだけでも、老後資金の考え方はかなり具体的になります。

毎月の不足額だけでは終わらない



ただし、

「月3万円不足だから、20年で720万円準備すれば大丈夫」

と単純に決めてしまうのもおすすめしません。

老後には毎月の生活費以外にも、

・車の買い替え
・自宅のリフォーム
・家電の買い替え
・旅行
・医療や介護

など、まとまった支出があります。

そこで私は、

①毎月の生活費の不足

と、

②将来の大きな支出


を分けて考えることをおすすめしています。

この二つを整理すると、必要な老後資金がより現実的に見えてきます。

Gさんご夫婦が気づいたこと



Gさんご夫婦も、実際に年金と生活費を整理してみました。

すると、

「2,000万円ないから大変」

という状態ではなく、

「毎月の不足をどう補うか」

という具体的な課題に変わりました。

さらに、ご主人が定年後もしばらく働く予定だったため、
その収入も考慮すると、老後資金を取り崩し始める時期を遅らせられる可能性がありました。

Gさんは、

「2,000万円という数字ばかり見ていました。わが家の数字で考えることが大事なんですね」

とおっしゃいました。

ここが老後資金を考えるうえで、とても大切なポイントです。

50代なら「あといくら貯める?」だけでなく「何歳まで働く?」も考える



50代から老後を考えると、

「あと何百万円貯めればいい?」

という発想になりがちです。

しかし、もう一つ大きな選択肢があります。

それが、

働き方です。

例えば60歳で完全に仕事を辞める場合と、65歳まで無理のない範囲で働く場合では、家計は大きく変わります。

働くことで収入が得られるだけではありません。

老後資金を取り崩す時期を遅らせられる可能性があります。

50代からの老後設計では、

貯蓄・年金・働き方

をセットで考えることが重要です。

「年金だけで暮らす」にこだわらなくてもいい



「年金だけで生活できないと老後は失敗」

ということではありません。

現役時代に準備してきた預貯金や資産は、老後に使うためのお金でもあります。

大切なのは、

「年金だけで生活できるか」ではなく、「資産を含めて、生涯安心して生活できるか」

という視点です。

必要以上に貯め込んで、老後にやりたかったことを何もできなかった。

それも少し寂しいですよね。

お金は残すためだけではなく、人生を楽しむためにもあります。

今日の小さなアクション



今日は、老後資金全体を計算しなくても構いません。

まず、

「わが家の年金見込み額はいくら?」

そして、

「今の生活費はいくら?」

この2つだけ確認してみてください。

老後のお金の不安は、

「分からない」

ことから大きくなります。

数字が見えるだけで、次にやるべきことも見えてきます。

FPからのワンポイントアドバイス



老後資金の相談で、

「いくら貯金があれば安心ですか?」

と聞かれることがあります。

私なら、貯金額だけを見て「大丈夫」「足りない」とは判断しません。

確認したいのは、

年金・生活費・預貯金・働き方・これから実現したい暮らし。

この5つです。

老後資金に「全員共通の正解」はありません。

だからこそ、

世間の2,000万円より、わが家の不足額を知る。

これが50代から老後のお金を考える第一歩です。

まとめ



「年金だけで暮らせるだろうか」

と不安になったら、まず年金額を確認しましょう。

そして、

年金などの収入 - 老後の生活費

を計算してみる。

不足するのであれば、

・今から貯蓄する
・資産形成を考える
・支出を見直す
・働く期間を考える

など、対策を検討できます。

一番怖いのは、

「何となく足りない気がする」と思いながら、何もしないこと。


50代なら、まだ準備する時間があります。

「老後2,000万円」という誰かの数字ではなく、

「わが家はいくらあれば安心して暮らせるのか」

を一度計算してみませんか。

数字が見えれば、不安は「準備できる課題」に変わっていきます。

今回のテーマついて質問や相談がある方はみらいマネープランニングにご相談ください。 初回無料相談にてサポートいたします。


新NISA制度や資産形成について基礎から学びたい方は、お金の小学校大分校で一緒に学びませんか?

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

三重野徹
専門家

三重野徹(ファイナンシャルプランナー)

みらいマネープランニング

ファイナンシャルプランナーとしてだけでなく公的保険アドバイザーとしても年金や健康保険、介護保険等といった公的な保障をアドバイスし、将来を見据えた「未来設計図」をお客様と一緒に作るお手伝いをしています。

三重野徹プロは大分朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

お金の不安を取り除き必要なプランを立ててくれるプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ大分
  3. 大分のお金・保険
  4. 大分のライフプラン・人生設計
  5. 三重野徹
  6. コラム一覧
  7. 「年金だけで本当に暮らせますか?」 ― 60歳を前にして初めて老後の生活費を計算した相談事例

三重野徹プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼